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いつも"平常心"でいられる上司の秘密2つ

プレジデントオンライン / 2019年7月12日 6時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/visualspace)

部下に対して感情的になってしまったことがあるという管理職の方は多いのではないでしょうか。多くのマネジメント層と接してきた識学の安藤広大社長は「職場で人が感情的になる原因は主に2つ。これをスマートに解消していく方法があります」と言う。“感情型マネジメント”から脱却する方法とは――。

■女性管理職によくある悩み

女性管理職と相対する現場で多く聞かれるのが「感情的になってしまう」というものです。医学や心理学などの学問的見地から性別による感情的コミュニケーションの頻度に差異があるのかどうかはここでは触れません。あくまで、そのような意見が女性管理職から多く聞かれるという枠内で議論を進めます。

具体的によく聞くのは以下のようなものです。

「求めている成果物にならない」「何度も同じ間違いをする」……そんな時、部下に対して感情的に叱ってしまいます。
部下が複数いる場合、どうしても好き嫌いがおもてに出てしまいます。
仕事でもプライベートでも嫌なことがあり気分がふさいでいると、部下を呼ぶトーンにまで感情が出てしまうことがあります。
社長(男性)が幹部である自分(女性)をご機嫌ななめにしないために、気を遣っているのがわかります。決して気を遣って欲しいと思っているわけではないのですが、たまに、ご機嫌取りをされているなと感じますが、実際にそれで気分が上がることがあります。

■人が職場で感情的になる原因2つ

このように、集団の中で人が感情的になる理由は主に2つあります。

1.集団内に価値観、基準、ルールの統合がなされていない
2.上司部下間で交わされる指示、ルール、目標などが不明確

これら2つについて、「感情型マネジメント」から脱却していく方法を考えていきます。

1.集団内に価値観、基準、ルールの統合がなされていない

この状態は要するに、集団を構成する個々人が、それぞれの価値観で好き勝手に言いたい放題、やりたい放題になっているということです。

突然ですが、「上司の言うことを聞きたくないなあ」と思ったことはありませんか? おそらく、一度くらいはあるのではないでしょうか。では、どのような上司の物言いに対して、部下は聞きたくないな、嫌だなと感じてしまうのでしょうか。例を挙げてみようと思います。

【威圧的、脅迫的】
属人的恐怖(恫喝など)を用いて言ってくる場合

【あいまい】
どっちつかずの指示、部下に選択させ、迷わせるような指示、ゴールイメージが不明確なもの

【後出しじゃんけん】
「○○って言っておいたでしょ」「言ってなかったっけ」といった後出し、後付けの物言い

他にも、「理不尽すぎる」「そもそも嫌い」や、限定的な状況ですが「年下の上司だから」などがよく聞かれる項目です。

■部下が上司の言葉に耳を貸さなくなる瞬間

これらの共通項は何でしょうか。それは部下が上司の物言いについて「個人的な見解で言っているな」と感じていることです。部下は上司が個人的な見解を示したときに「言うことを聞きたくない」となってしまうのです。

では逆に、上司の言うことを聞かざるを得ない状況とはどういうことになるでしょうか。それは決め事に沿っている時、ということになります。

みなさんは、交通違反で切符を切られたことがあるでしょうか。はみ出し禁止など軽微なものならば経験のある人もいるでしょう。そういう人はイメージがつきやすいと思います。その際に、白バイ隊員が自分より若い人であっても最終的には罰金を払わざるを得ないですよね。つまり、従わざるを得ない。集団の中で統合され、共有されているルールに沿って上司が発言しているものは、基本従わざるを得なくなる、ということになります。

上司部下という関係性はあくまでも組織内の機能対機能という関係なのですが、これに、個人的見解をまじえたコミュニケーションが反復されると、上司部下の関係は、個人対個人となり、さらに好き嫌いの感情対感情の関係になりかわってしまうわけです。

よって、上司は組織内にルールを設定し、それにのっとったコミュニケーションをとらなければなりません。

■感情型マネジメントはルールの確認から

では具体的にどのようなコミュニケーションが理想的なのでしょうか。ある介護事業者幹部(女性)の例で見ていきましょう。

【BEFORE】
例えば前髪が伸びてだらしなく見えるスタッフに対して、その子の家の環境や性格、タイミングなどを考慮して「前髪は目が隠れないように切ってきて」「身だしなみができてない」と否定的な言葉を使って感情的に指摘することもあれば、言わずに放置したこともありました。時間がたてば気づいてくれるかも、というおよび腰な対応になることもあり、対応にブレがありました。
【AFTER】
現在は、以下の3点を徹底しています。
・身だしなみを含め組織の「ルール」を周知(基準の設定)
・まず「前髪が伸びてるよ」ということを伝える(基準外であることを通知)
・できなくても、できていないことを伝えるのみにし、そこに感情は入れない(脱感情型マネジメント)

脱感情型マネジメントの第一歩は、自身の会社や管轄部署にルールが存在するか、明文化して共有されているか、文言はあいまいになっていないか、それに則った管理ができているかを確認していくことです。

■部下への期待値をハッキリ伝えているか

次に、2番目のケースについて見ていきましょう。

2.上司部下間で交わされる指示、ルール、目標などが不明確

フランクリン・コヴィー氏のベストセラー「7つの習慣」で人間関係の不和についてこう書かれています。「人間関係の不和は相手に対する過度な“期待”である」と。

不和とは、好き嫌いの感情的な関係性と言い換えられます。そしてそうした感情的な関係性が生じる原因は、期待値に対する上司部下間の認識のズレなのです。

上司部下間で交わされているコミュニケーションは、「指示」「ルール」「目標」のそれぞれ伝達、管理に関係するものがメインです。具体例を挙げてみていきましょう。

【指示】なるべく早くやってね パフォーマンス高い人に情報共有して 等
【ルール】適宜、整理整頓しなさい 礼節をもった対応を行う 等
【目標】顧客ファーストな対応をしよう、リーダーシップの発揮、全力で取り組む 等

上記の例では、上司が部下に求める“期待値”があいまいなので、相互認識のズレが生じやすくなります。相互認識のズレは、家族間という近い関係においても起きることなので、会社という集団の中ではなおさら生じやすいといえます。そして「フツーこの期待値でやるだろう」という上司と「なぜ上司は怒っているのか」という部下の間で、徐々に感情的なコミュニケーションが生まれてきます。

■感情を挟まない練習

では、どうすればよかったのでしょうか。こちらもビフォー&アフターでみていきましょう。

【BEFORE】
「これやっといて」と期限を示さず指示して、優先順位を部下に押し付けていました。それで、「まだ?」「まだです。今からやります」「いや、いいわ。私やるからかして。先にやってほしかったんだけどな。できると思ったからお願いしたのに」と結局自分がすることになりイライラ。部下に嫌味まで言ってしまいまさに不和な状態でした。
【AFTER】
以下の2点を徹底しました。
・「これを何日の何時までに終わらせて。終わったら報告ちょうだい』と伝える(明確化)
・相手に任せられるようになった(ゴールイメージの相互認識が合致)
そうすることで、以下のような変化が出てきました。
・完了報告を習慣化させることで、自分から確認する手間暇が軽減した
・マストを仮に守れなかったとしても怒りではなく、「あぁ、これならできるのか」「じゃあ次はこうしようかな」「相手の能力に他責した自分(上司)が悪かった。次から管理するポイントを変えよう」と新しい発見として受け止められるようになった

この例は単純な指示ですが、ルール設定や目標設定も本質的には同じプロセスを経ることで脱感情型マネジメントに発展させていくことができます。

■忍耐は必要だ。しかし、感情は必要ない

このように、集団内の感情発生とその弊害は思いのほか、単純なメカニズムで起きていることがわかります。そしてその対処法もいたってシンプルです。

基準の策定や、取り締まり、あいまいさを排除していくプロセスでなかなか思い通りのスピード感で整っていかないこともあるでしょう。つまり、忍耐は必要と言えます。しかしながら、感情は必要ないことがご理解頂けたと思います。

大きな職責をもって、日々業務に取り組み、チームを率いているみなさんには、感情的になって疲弊する、という事態を何とか回避してほしいと思います。

(識学 代表取締役社長 安藤 広大 写真=iStock.com)

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