日本人のスーツがアメリカで大笑いなワケ

プレジデントオンライン / 2019年7月16日 9時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/shironosov)

一流のエリートになるためには、どうすればいいか。ニューヨークコレクションデザイナーとして活躍したアケミ・S・ミラーさんは「カジュアルな服装の日でも、靴や時計は高級なものを身に着けていれば一目置かれます。一流のエリートとは、服装も仕事も自分のスタイルをしっかり確立している人です」と指摘する――。(第3回、全5回)

■NYエリートは自分に合う装いを知っている

ニューヨークコレクションのファッションデザイナーとして25年間働く中で、数々のトップエリートとの出会いがありました。彼らの身なりの共通点は、確立された自分のスタイルを持っているということですね。エリートだからといってギラギラした感じはなく、ナチュラルに自分に似合う服を知っていて、それを身に着けています。

自分に似合う服はどうやって見つければいいのか? 答えは単純で、まずはデパートなどの専門店の店員に相談することです。きちんと採寸をしてもらい、肩幅や袖丈、後ろ身頃などを測ってもらった上で、肩や胸元のゆとりはどれくらいだときれいに見えるかを調整してもらいます。

ジャケットなら、その人の胸幅によってダブルが似合うかシングルが似合うか、第1ボタンの位置はどのあたりがいいのかも決まってきます。それによって顔の大きさが大きく見えたり小さく見えたりするのですよ。プロにきちんとジャッジしてもらうことが大事になってきます。

■高級時計はカジュアルな格好でこそ光る

私の夫は超エリートと言われる弁護士でしたが、彼も収入がたくさん入ったときには事務所に洋服屋を呼んで、オーダーメードの服を仕立ててもらっていました。採寸と聞くとハードルが高いと思われる方もいるかもしれませんが、一度自分のサイズを知れば、2着目以降を買うときもフィットするものを選べますよね。加えて、4シーズンごとに流行の色や布地などもお店の人に聞いてみて、どんなものが自分に似合うかを知ることも大事です。

日本では、ぴちぴちで丈の短いスーツがはやっていますが、あれはお子さまっぽくてエリートの服装とはかけ離れていると思います。そのままニューヨークに着て行ったら大笑いですよ。インターナショナルなスタイルではないですから。そのときは何も言われなくても、後で間違いなく“He is crazy!”なんて言われてしまうはず……。

服装以外に、男性なら時計や靴も大切なポイントですね。すごく高級なスーツを着ているのに、せこい靴を履いていたり、1000円ぐらいのおもちゃのような時計をしていたりする男性って信用できないでしょう? 逆に、ちょっとカジュアルな服装の日でも靴と時計がバリっとしていたら、「今日はカジュアルだけど、やっぱりちゃんといいものを身に着けているんだ」と一目置いてしまいますね。

毎日身に着けるものだからこそ、飽きのこない品質の良いものを選びましょう。ダブルカフスのシャツにオシャレなカフスボタンを習慣にしている人は、スーツにこだわりがある人なんだと思います。

■着飾るのはあくまで「素材を生かす」範囲

男性の話をしてきましたが、女性の場合はどうかというと、“ナチュラルで自分の個性を生かしている”というのがエリートのスタイルですね。具体的にいうと、年を重ねていても髪につやがあり、ヘアカットやカラーも常にし、お肌もきれいで、首にもしわがないとか、太り過ぎていないとか、人から見た自分のイメージを常に意識しています。ファッションは、昼の働くスタイルと夜のディナーに行くスタイルは明確に区別しています。

マニキュアひとつとっても、エリートや富裕層の女性は、ストレートカラーやフレンチネイルといった上品でシンプルなネイルしかしません。日本の女性はストーンを付けたりぎらぎらした色のマニキュアをつけることがおしゃれだという意識があるかもしれませんが、そういう方向で個性を出そうとするのは一流のすることではないのです。あくまでも本物志向。どうすればナチュラルに見えて個性が出るだろうと考えています。

エクステンションをしてまつげをバサバサさせるのも、派手なネイルと同様、「素材を生かす」ということとは反対に「フェイク」ととられるので、どうも感心できません。日本の女の子はすぐに整形したことを公表しますよね。あれはどうかと思います。日本人には「整形することに対する後ろめたさ」があるから、ばれる前に先に言ってしまおうという意識なのかもしれません。

でも整形したことを責めるほうも、あけっぴろげに公表するほうも両方おかしいと感じます。

■プライベート重視のアメリカでも、トップエリートは違う

外見の話をしてきましたが、トップエリートはもちろん中身を磨くことも怠りません。取引先との会話で今の時代のトピックについて意見を述べることがあったり、面白い話題が求められたりしますよね。

私の夫は毎日何紙もの新聞を隅から隅まで読み、知識をインプットしていました。ニューヨーク・タイムズ、USAトゥデイ、ワシントン・ポスト、ウォール・ストリート・ジャーナルなどのほか、ニューヨーク・ポストとかデイリーニューズなどのゴシップ的な新聞や、ネットニュースにもくまなく目を通していました。だから「何でそこまで知っているの?」ってくらい物知り博士で、何か話を振ると必ず「読んだ、読んだ」と返ってきました。

次に、アメリカのトップエリートがどのような働き方をしているのかをお話ししましょう。アメリカでは、家族とのプライベートの時間を大事にするのが常識です。仕事終わりに部下を飲みに誘うといったことはほとんどなく、仕事以外の時間は家族や恋人と過ごすのが一般的です。

ただ、トップエリートともなるとそうはいかない。ニューヨークの大手投資会社、ベアー・スターンズの取締役であったアーサー・J・パチェコは、私の兄貴的存在だったのですが、彼の働きぶりからそれは見てとれます。夜6時に仕事を終えても郊外の自宅へは帰らず、ミリオンを動かしてくれているクライアントを、次のディール(取引)のため食事に誘い、ドンペリなどを開けて接待するのです。

■長期バカンスを取ってメリハリをつける

ロンドン証券取引所がオープンするのはニューヨーク時間の早朝なので、それに合わせて朝早くから仕事を始め、夜も遅くまで接待。アーサーは月曜日から金曜日まではずっとマンハッタンにいることになります。土曜日にニュージャージーの広大な自宅に帰って週末を家族と過ごし、日曜日の夜にはもうマンハッタンに戻っている、という生活スタイルがアーサーにとっては当たり前でした。

ただ、彼らは働き方にはメリハリをつけていて、休みをとるときは2~3週間は当たり前に取っています。例えばアーサーだったら、世界中に自分の投資している場所があるので、長期のバケーションを取りあちこちを巡っていました。フランスのワイン工房や、サウスアメリカでは所有している馬100頭の様子を見に行ったりなどですね。どの場所にも別荘やマンションを持っているのでホテルは取りません。

日本は年間を通して祝日が多いですから、長期の休みはなかなか取りづらい雰囲気がありますよね。でも、休むときはしっかり休んで英気を養うという働き方のほうが、メリハリがあっていいのではないかと思います。

■自分の考え、選んだ道をハッキリさせるのが一流

アメリカ人と日本人の違いは、働き方以外にもあると思います。例えば、人から意見を求められたとき。日本だったら同じことを言わなきゃ駄目みたいな空気があるようですが、みんなそれぞれの意見を持っているわけだから、気にして周りに同調することはまったくないと思います。自分の心の中のことを遠慮なくもっと発言してほしい。本当におかしいと思うことはおかしいと言うべきだし、目上の人が言わないからといって忖度(そんたく)して言葉をのみ込む必要はないと思います。

例えば私は、染めを失敗したようなスカーフが当然として売られるのを見たとき「そのピンクのスカーフ、最悪の色」とか言ってしまいます。仕事に関わることは妥協できません。インターナショナルな人間として、世界で活動していく場合、何よりも自分の考えや思いをはっきり発言できることが必須です。心の中の考えを取り出し形にしていく、そこからがスタートです。

日本人って何事も穏便に済ませたくて、白黒つけずにグレーでいることを好む傾向がありますよね。私はビジネスにおいて白黒がなくてグレーなんてあり得ないと思います。よく女の人は白黒つけたがると言いますが、男か女かとかは関係なく白黒はっきりしないと次に行けません。

グレーでいるということは、3車線の場合、ずっと真ん中を走っているということ。都合の良しあしで右に行ったり左に行ったりできるように真ん中を走っている。決められない人にとってはそこが安心なのかもしれません。

私? 私は嫌、居心地悪い! 初めにコンセプトを決めて堂々と自分の選んだ道を走りたい。それが一流のビジネスマンの姿だと私は思います。

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アケミ・S・ミラー(Akemi S. Miller)
トータルビューティープロデューサー
兵庫県生まれ。京都できものを学び、1979年から東京で“曽根あけみ”として活動。89年にニューヨークに渡り、AKEMI STUDIOを設立。ニューヨークコレクションのデザイナーとして活躍した。

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(トータルビューティープロデューサー アケミ・S・ミラー 構成=万亀すぱえ 写真=iStock.com)

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