体の不調を感知するのは脳より腸は本当か
プレジデントオンライン / 2019年7月12日 9時15分
■快適な日々は、「腸」を整えることから
季節の変わり目や環境の変化などにより、なんとなく続く疲労やダルさ……。毎日のように私たちのカラダは何かしらの不調を訴えている。
働く女性に特に多い症状は、疲れや不眠、冷え・むくみ、肩こりや腰痛・生理痛と、数え出したらきりがないほど。こうした不調を慢性的に抱えている人も多いだろう。
そこで、どうやらカラダの不調には腸が関わっているらしいとの情報を得て、腸を整え、不調改善へと導くという「腸律(腸セラピー)」サロンを訪れてみた。
■腸は最初にできた臓器! 脳よりカラダを司るパワーが?
私たちの多くは、腸は消化器官であるということ以外、あまり腸の役割を知らない。そこで、腸を知りつくし、腸セラピーによって多くの不調を解決してきたという、腸律サロン「セラピーエ」代表の小澤かおりさんに、まずは腸の働きについて伺った。
「意外なことに、腸は生物の進化の過程で一番初めにつくられた臓器だそうです。一般的に、全身の司令塔は『脳である』といわれていますが、さまざまな研究の結果、近年、栄養・酵素・血液・免疫・ホルモンといった、カラダを構成する代表的で大切な要素は腸でつくられていることが解明されてきました。そのことから、カラダの状態を感知し司るのは、脳ではなく腸であるといわれはじめています。
食べ物に付着している細菌などは目で見てもわからないため、脳は『大丈夫』だと思い危険信号を発しませんが、口から消化器官である胃や腸へ送られると、それが危険なものであれば消化器官は危険サインを出します(サイン=吐き気や下痢など)。脳はだませても腸はだませないのです。だからこそ、脳と腸を一致させることが、カラダにとってはもっとも良い状態だといわれているんです」
■腸が悪くなると、全身不調の悪循環に
腸のいちばんの働きは蠕動(ぜんどう)運動。これがきちんとなされなければ排便はうまく促されない。食べ物が腸内に付着し残っている状態は「腸内腐敗」と呼ばれ、まるで生ゴミを放置しているようなものだそう。腸内腐敗は、更年期障害やうつ症状など、一見、腸とは関連がなさそうな病気を引き起こす一因にもなるというから放ってはおけない。蠕動運動がきちんとできることで、自律神経の乱れが整い、不調の改善につながるのだという。つまり、きちんと排便ができていないことや、腸内腐敗の状態が続くと自律神経に関わる病気になってしまう可能性があるのだ。
では、腸の状態が悪いとどうなるのか?
腸が弱る → 消化吸収力が低下 → 腸内腐敗がはじまる → 血液が汚れ血流悪化 → 冷え・むくみかが慢性化 → 代謝の悪くなり、太りやすく痩せにくいカラダに → 肌荒れやカラダの老化が進む → 腸の活動が低下し、セロトニン量が減少 → ホルモンバランスの乱れにより、ストレスの蓄積や不眠や疲労が蓄積または悪化が → 免疫力低下 → 自律神経のバランスが乱れ全身不調へ……。
このように不調の経過を追っていくと、恐ろしくも納得できる状況が見えてくる。
・吹き出物、アトピーなどの肌トラブル
・便秘や下痢などの排便トラブル
・冷え・低体重、むくみなどの代謝トラブル
・頭痛・肩こり
・生理痛・更年期などの女性ホルモン系症状
・ぽっこりお腹・過食・多体重など
・過食・拒食などのメンタル系症状
・不眠、不安などの自律神経系症状
■腸のバランスがカラダ全体のバランスにつながる!
「セラピーエ」で行う「腸律セラピー」とは、腸を律す=腸のバランスを保つことで、「整える・汚れを取り除く・位置を正す」の3つに着目し施術される。良い腸内環境とは、この3つのバランスがくずれていないことらしい。
腸を弱らせる原因には、腹部への過度なマッサージ、便秘薬等の内服薬の副作用などはもちろん、誤ったダイエットやファスティングによる腸への刺激、精神的なトラウマ、ストレスなどさまざま。例えば頭では気にしていないと思っていても、ストレスや疲れを腸は敏感に感じ、下痢や便秘などの不調をきたす。その不調をカラダと脳にきちんと理解させるために、腸律セラピーがあるのだそう。
腸律セラピーは、腸にかかっている負担を自分で理解できるよう、自分自身で行うセルフケアとして開発。お腹を静かにさすることで不調の原因を探ったり、蠕動運動を促したりするものなのだそう。
ウエストのサイズダウンのために腹部をひねったりねじったりする行為や、押すことで便の排出を促す施術があるが、腸律セラピーでは、強い力を使わずに自身の力で腸を動かすように意識させることが目的。つまり、蠕動運動を促すことによって、排便やウエストのサイズダウンは必然的に実現できると考えられている。
■セルフ「腸ほぐし」で、未来のカラダを変えられる⁉
腸律セラピーは、はじめのうちは何度か通い、自分でお腹を触って不調がわかるようになるまでレクチャーしてもらうことが必要。お腹をさすり、どこにどんな痛みや違和感があるかで、カラダの不調を癒やす方法を学べる。毎日腸をさすれば、その日の体調や腸の状態がわかるようになるそう。
腸がキレイであれば、単に便秘やお腹の不快感を解決するだけでなく、排便リズムが整う、不妊予防や肌荒れやくすみの改善、運動能力の維持やパフォーマンス向上、前向きな気持ちを保つなどにつながる。
腸は誰もが持つ臓器であり、年齢や性別に関係がないため、腸律は誰でもできるのだ。
おへそを真ん中にして、小腸を小さい時計(内側)、大腸を大きい時計(外側)に見立て、小さい時計から順に、丹田(たんでん=おへその少し下位置)と呼ばれる6時の位置から時計回りにゆっくりさすり、それぞれ一周する。
さすり方は、そろえた利き手の指の上に別の手指を重ね、ゆっくりと左右に10回ほど揺らすようにさするのが基本の動作。
まずは朝晩、ベッドに横になり、6、7、8時……12時……3時、4時、5時と各位置を10回ほどさするだけでも、便秘や睡眠の改善効果が現れてくるそう。横になれる場所があればどこでもできるので、1日のうちに何度か腸ほぐしをするとより効果的だ。
サロンでの腸セラピーは、生活習慣などを記入したシートを基にカウンセリングを受けた後、50分ほどひたすら腸をゆっくりやさしくさすられる。眠ってしまうほど、全身が癒やされていくのがわかる。腸律の後は、不調部位を図で示されながら、腸の状態の説明を受けながらセルフケアの指導を受ける。怖いほど自分の不調を見抜かれたのには、驚いた。
病気とまではいかずとも、慢性的な不調を抱えていたり、ダイエットがうまくいかない人は、腸律でその原因が解明できるかもしれない。
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(田村 サチ 写真=iStock.com)
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