1000人調査こうやったら目がよくなった実体験
プレジデントオンライン / 2019年8月11日 11時15分
■目が悪くなっても、治療で満足度向上
目は起きている間は常に忙しく動き、視覚から得られる情報は人間が得る情報の80%以上を占めるといわれる“働き者”である。脳にも直結しており、人体で最も重要な器官の1つといえるだろう。にもかかわらず、そのメンテナンスやリスク管理について、あまりにも無頓着ではないだろうか。
プレジデント誌が行ったアンケート調査(2019年5月実施)でも、「かかりつけの眼科医」はいるかという設問に対して、「いない」と回答したのは68.5%(図1)。「1年以内の眼科検診・健診の有無」についても、病院、学校や企業、自治体での検診も受けていないという人が58.1%に上った(図2)。ちなみに、「歯」については「かかりつけの歯科医がいる」人が70.8%、「1年以内に歯科検診・健診を受けている人」は100%だった(プレジデント誌19年3月18日号で実施のアンケート調査より)。
調査では、「目の状態」の満足度についても聞いた(図3)。「とても満足」と回答したのはたったの2.4%。「あまり満足していない」(47.2%)が最も多く、「まったく満足していない」(19.7%)を加えると66.9%、実に3人に2人が「目の状態」について不満や不安を抱えていることがわかる。
「満足」と答えた人は、もともと目が悪くない、不便は感じていないという人に加え、メガネやコンタクトレンズ(以下コンタクト)による矯正がうまくいっている、あるいは目の病気にかかったが手術で改善した、という人が多かった。中には「定期的に眼科医に通院して、目の健やかさを保っている」という意識の高い回答も見られた。
一方、「満足していない」人は、「老眼で見えにくい」「目の疲れがひどい」など、老眼や眼精疲労に関する悩みが多かった。老眼鏡やコンタクトなどが合わないという人も多く、「パソコンやスマホの字が読みづらい」「仕事に支障を来している」「化粧のときに見えにくい」など日常生活に不便を感じている人も少なくなかった。中には、「片目を失明」「裸眼ではほとんど見えない」という人もおり、QOL(生活の質)に深刻な影響を与えているようだ。
「過去にかかったことがある『目のトラブル、病気』」については、「近視」(60.5%)がダントツで、「乱視」(34.7%)、「老視(老眼)」(34.5%)が続いた(図4)。結膜炎、ドライアイ、眼精疲労なども上位に入ったが、「目の病気」といえば「白内障」(6.0%)と「緑内障」(4.8%)ではないか。
白内障とは、目のレンズに当たる役割をしている水晶体が、加齢などによって白く濁り、物が見えにくくなる疾患だ。50歳以上であればいつ白内障にかかっても珍しくない。
緑内障は、目の内部から外側に向けて加えられている眼圧が上昇し、視神経を傷つけることで徐々に視野が欠けていくという疾患だ。最悪の場合、失明する危険もある。緑内障によって欠けた視野は元に戻らないため、早期に症状に気付くことが重要だ。視野に異常を感じたときは、速やかに眼科を受診するようにしたい。
■手軽にコンタクト、処方なしは1割強
目のトラブルの上位は「近視」「乱視」「老視」だったが、それを裏付けるように視力や見え方に問題がある場合の「メガネ」の使用率は67.9%に上った(図5)。用途は「近視用」が68.8%、「老眼用」は19.1%、近視と老眼など用途を兼ねた「兼用メガネ」は19.1%だった(図6)。老眼用を使っている人は40代では4.9%だが、50代では32.2%と一気に跳ね上がる。兼用メガネも同様に50代で倍増しており、老眼は「50歳」が1つのターニングポイントとなるようだ。
一方、「コンタクト」の使用率は28.3%に留まった(視力や見え方に問題がない場合の0.9%を含む。図7)。
「現在、使用しているコンタクト」については、「1日使い捨てソフトコンタクト」を使用している人が48.8%と最も多く、次が「2週間頻回交換ソフトコンタクト」(29.7%)、「ハードコンタクト」(22.6%)が続いた(図8)。20代に限ると、59.3%と6割近い人が「1日使い捨てソフトコンタクト」を使用していた。
「コンタクトの処方施設」については「医師の処方は受けなかった」という人が13.5%(図9)、「コンタクトの購入場所」については「インターネット」という人が33.6%にも上った。コンタクトは正しく使用しないと目に異常を来すことがある。眼科の受診は必須だろう。
実際に、「コンタクト装着による目のトラブル」では、「異物感」(45.9%)、「乾燥感」(39.9%)、「充血」(38.2%)、「目の痛み」(27.9%)、「かすみ」(26.1%)などが続き、多くの人がコンタクト装着によってなんらかのトラブルを抱えていることがわかった(図11)。ちなみに、「乾燥感」については50.3%の女性が症状として挙げており(男性は21.6%)、男女によって大きな違いが見られた。
ただ、「コンタクトの使用法」についてはさすがに守っている人が多いようだ。「まあ守っている」が53.1%で、「とてもよく守っている」を合わせると82.4%に上った(図12)。
視力の矯正といえば、一時期ブームとなったのが「レーシック手術」だろう。今も毎年数万人が手術を受けているとされる。調査でも、4.0%の人が過去にレーシック手術を受けている(図13)。そのうち3.2%は「受けてよかった」と答えているが、0.8%は「受けなければよかった」と回答している。
詳しくみると、20~30代は「見えるようになった」などと肯定的だが、40代以上は「目が悪くなってきている」「ドライアイが治らない」などと答える人が散見された。手術の影響かどうかは不明だが、いずれにせよ加齢による見えづらさはあるようだ。
■意識が高い人は、生活習慣にも配慮
「目にいい物を食べているか」という設問には、34.0%が「摂取している」と回答(図14)。多いのは「目にいい」といわれる食品の代表格である「ブルーベリー」で、2割以上の人が食べていた。また、うなぎやレバー、ニンジン、ほうれん草なども挙がった。
ブルーベリーにはポリフェノールの一種である「アントシアニン」が含まれており、その強い抗酸化作用が、眼精疲労の予防・改善に役立つとされている。うなぎにはビタミンEが多く含まれており、こちらも抗酸化作用があり、目の毛細血管の血流を促す。レバーや豚肉、大豆などに含まれるビタミンB群も目の機能を保つために欠かせない栄養成分だ。その他、緑黄色野菜に多く含まれるカロテノイドの一種であり、強い抗酸化作用を持つ「ルテイン」を挙げる人もいた。
「目の健康にあたってやってよかったこと」という設問では、「ブルーライトカットメガネを着用」「ホットアイマスクをつけて休息」「遠くを見る」などが挙げられた。
逆に「目の健康に対して、やらなければよかったこと」では、「ゲームのしすぎ」「コンタクトを着用したまま睡眠」などが挙がった。また、「サングラスをすればよかった」という回答も少なくなかった。紫外線は目の健康の大敵だ。大量に、長期間にわたり浴びることで、加齢黄斑変性や白内障の原因になることがわかっている。UVカットサングラスやコンタクトの着用が望ましい。
「一般的に、目の健康に悪影響を与えると言われている行為・状態」で、日頃行っているものについては、「ブルーライトカットのメガネやコンタクトを使用していない」(44.7%)、「運動不足」(43.4%)、「机に向かうときの姿勢が悪い」(41.2%)が上位に挙がった。
目は、老化とともに衰える傾向が強い。若いころは実感しなくとも、不摂生を続けると中年以降に痛いしっぺ返しを食らうことになる。何よりも大事な目のために、信用できるかかりつけ眼科医を見つけ、早めにケアを始めておいたほうがよさそうだ。
調査方法:編集部とパイルアップで実施。20歳以上の男女各500人から回答を得た。調査日は2019年5月22~26日。
■▼「眼科のかかりつけ医」がいる人は歯科の半分以下
■▼視力が悪くてメガネをかけている人は約7割
■▼コンタクトレンズ使用者の約半数が「異物感」を経験したことあり
■▼目の健康●やってよかったこと
(ライター 衣谷 康 写真=PIXTA、iStock.com)
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