1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

頭のいい人が「食べログ検索」で気づく真理

プレジデントオンライン / 2019年8月18日 11時15分

■食べログの検索で「データセンス」を磨く

飲食店の検索・予約サイト「食べログ」。店探しに利用している読者も多いのではないか。私もよく使う。食べログにはいろいろな検索機能があるが、その1つがスマホで現在地の周辺で店を検索できるというもの。友達と飲むことになったときなど、いまいる場所の近くにどんな店があるのかを探すのに便利だ。検索範囲は500mが標準設定されているようだが、300m、800m、1km、3km、5km、10kmと設定を変えられる。

たとえば、当社の本社がある渋谷第一教室(東京都渋谷区渋谷3丁目)で居酒屋を検索すると、300mで461軒の店がヒットする。500mだと1270軒、800mでは2719軒となる。この数字を見て少し不思議な感じがしないだろうか。300mと500mでは距離は約1.67倍なのに、店の数は約2.75倍に増える。800mだと約2.67倍離れるが、店の数は約6倍にもなる。

どういうことか。答えはエリアの面積と関係する。ここでの範囲とは300mなら、検索地点を中心に直線距離300mという半径で描かれた円なのだ。では、300mと500m、800mの面積を見てみよう(図)。円の面積は「半径×半径×π(3.14)」で求められるが、ここでは3つの円の比をざっくり「300×300:500×500:800×800=9:25:64≒10:25:60」ととらえる。そうすると半径300mの円の面積に対し、500mは2.5倍、800mは6倍の広さになっていることがわかる。なるほど確かに店舗数の増え方とほぼ一致する。

つまり、距離の比の値に対して店の数は、その2乗の割合で増えているのだ。たとえば距離が2倍の場合は、お店の数は4倍になるということである。これは渋谷という過密な地域性も関係しているだろうが、理論上はそういう計算になる。

このことからわかるのは、もし300m圏内でよさそうな店が見つからなかったときは、500m、800mと範囲を広げていけば、ヒットする可能性が格段に大きくなるということだ。

なかには距離が遠くなるのはイヤだという人もいるだろう。しかし、食べログに表示された距離と時間の関係を見ると、「徒歩1分=80m」と計算できる。すなわち300mは徒歩4分という近い距離だ。表示されているものが直線距離のため、実際はもう少し歩かなければならないが、さほど苦にならないのではないだろうか。

■希望の部屋が見つかる可能性

同じことが住まい探しにも当てはまる。賃貸物件を探す際、間取り、予算、最寄り駅からの距離などを考慮する。しかし、希望にかなう駅近物件は少ないのが実状だ。そこで徒歩5分、7分、10分とエリアを少しずつ広げていく。徒歩5分を10分に広げると、歩く距離は2倍になるが、物件数は2の2乗の割合で増えるので4倍になり、希望の部屋が見つかる可能性は大きく広がるだろう。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/voyata)

また、あなたが独立して自分のカフェを経営するとしよう。人通りの多い駅周辺は賃料が高くて厳しい場合でも、徒歩5分、10分とエリアを広げれば、同様に物件が見つかりやすくなる。ただし立地が不利な分、店のレベルやコンセプトがより重要になるだろう。

「距離」という1つのデータが「軒数」に大きな影響を及ぼす。「データセンス」を磨くには、データの裏にあるロジックを常に探る姿勢が大切だ。

----------

堀口 智之 和から 代表取締役
山形大学理学部物理学科卒業。2010年、大人のための数学教室「和(なごみ)」を創業。月間600人を超える社会人が学ぶ。著書に『デキる大人になるレシピ 明日の会議ですぐ効く 伝わる数字の使い方』がある。

----------

(和から 代表取締役 堀口 智之 構成=田之上 信 写真=iStock.com)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください