帰省中に「妻が不機嫌」になる本当の理由

プレジデントオンライン / 2019年8月10日 11時15分

2017年08月11日、帰省ラッシュで混雑するJR東京駅の東海道新幹線ホーム - 写真=時事通信フォト

帰省中の夫婦喧嘩は離婚のきっかけになることがある。どうすればいいのか。夫婦問題研究家の岡野あつこ氏は「帰省先でうまくやっているように見えても、妻は疲労し、いらだちや不満を抱えている。帰省中のストレスは自宅に戻る前に解消したほうがいい」という――。

■「帰りの新幹線に乗った途端、口もきいてくれなくなった」

夏休みやお盆の帰省シーズンは、実は夫婦にとって注意が必要な時期である。実家の家族とのトラブルが起きたり、夫婦関係に向きあう時間がマイナスに働いたりすることがあるからだ。「実家に帰るのが苦痛」と帰省自体がストレスになることもある。

帰省シーズンにもっとも増えるのは、夫側からの「不機嫌な妻」についての相談だ。

「帰省中はオフクロとうまくやってくれているように見えたが、夫婦二人で帰りの新幹線に乗った途端、口もきいてくれなくなった」(40代男性)
「てっきり嫁姑問題とは無縁と思っていたのに、『今年からはもうあなたの実家には行かないから』と宣言された」(30代男性)

夏休み中の帰省がきっかけで、離婚に至った夫婦もいるほどだ。そこで今回は、実際に帰省中に起きたことがきっかけで離婚の危機を招いた夫婦のエピソードと、帰省中に変貌した「不機嫌な妻」への対策を考察していく。

■「元妻との比較」で嫁姑戦争が勃発

「男と違って女性はコミュニケーションをとるのが上手。オフクロと嫁も仲良くやってくれてると思っていたのですが……」と肩を落とすAさん(37歳・男性)。バツイチで再婚したAさんが、8歳年下の妻との夫婦の危機を迎えたのは、再婚後初めての夏休みにAさんの実家に夫婦そろって帰省した時のことだった。

「息子の好物を食べさせたいから」と張り切って食事の用意をしている母親に、Aさんの妻が手伝いを申し出たところ「大丈夫よ」と断られたとのこと。言葉通りに受け取った妻がテレビを見てくつろいでいると、Aさんがキッチンにいる母親に呼び出され、こんな文句を言いはじめたという。

「今どきの若い人はなかなか図々しいわね。いつもこうなの? ちゃんと手料理は食べさせてもらっているの?」

夫婦関係に亀裂が入ったのは、母親の「○○子さん(元妻の名)は、お料理上手だったのにね」というひと言。「元妻と比べられていると知った妻は一気に不機嫌モードに。自宅へ戻ってからも冷戦ムードは続き、一時は離婚の話まで持ち上がった」。

■年をとるほど「マザコンが重症化」する夫にキレた妻

「ウチでは帰省の話はタブーです」と苦笑しながら話すのはBさん(44歳・女性)。2年前までは夏休みのたびに子供をつれて夫の実家に帰省していたが、現在では夫が単身で帰省しているとのこと。きっかけは「夫が超マザコンだったことが判明したから」。

それまでは帰省するたびに気になっていた夫のマザコンの度合いが、年齢を重ねるたびに激しくなっていくことに気づいたBさんの堪忍袋が切れたのは2年前。夫のことより子供のことが優先的になっていたBさんへのあてつけのように、夫は自分の実家で母親に甘え放題。いろいろと世話を焼く母親にすっかりデレデレになっている夫の姿を見て白けた気持ちになっていたところ、追い打ちをかけるような夫からの心ない言葉があったという。

「『お前もお母さんみたいに気がきく女だったらよかったのに』と夫から言われたとき、私の頭は怒りで真っ白になりました」。経済的な問題や子供の進学のこともあって離婚は避けられたものの、それ以降、夏休みと年末年始の帰省にはBさんと子供は夫に付き合わないことにしたという。

■「円満な夫婦」を装い、罪悪感で苦しくなった

Cさん(40歳・男性)は、今まさに離婚の危機を迎えている。きっかけは去年の夏休み、義父の初盆で妻の実家に数日間滞在したときのことだった。普段からイライラが止まらず、家事も不得意な妻は自分の実家に帰ったことで「久しぶりにのんびりできる」と堂々と羽を伸ばせることに機嫌をよくし、日中はテレビを見ながらゴロゴロするだけ。

「母親の家事を手伝おうとしないだけでなく、化粧もせず、オシャレにも無頓着。結婚以来15kgも太った妻がテレビを見てだらしなく笑っている姿に、女性としての魅力を感じなくなっている自分に気がついた」

実はCさんは、妻とは別の独身女性と恋愛関係にあり、「いずれ妻とは別れて、新しい人生を歩みたい」と考えている最中だった。「妻の実家に帰省して表面的にだけでも円満な夫婦を装っていると、余計に『こんなことをしていていいのか』という罪悪感で苦しくなった。これからは自分らしく人生を生きるために、今の妻とは別れようと決めた」。

■帰省前には「ヒアリング」をしておく

3つめのケースのように第三者の存在が夫婦関係を脅かしている例をのぞいて、基本的に帰省の際に離婚の危機を招かないための対策は次の2つだ。

ひとつは、帰省前にパートナーに丁寧にヒアリングすること。たとえば、前回の帰省の際、どんな点に不満があったかをしっかり聞くようにするのも手。「オフクロが気に障ること言ったみたいだけれど、今度そういうことがあったらオレに言ってほしい。オレからしっかり言っておくから」と妻を守る姿勢を見せるのも効果的。たとえどうにもならないような難しい問題でも、相手の言い分聞いて共感してあげることで解消される不満は多い。

■帰省中のストレスは帰宅する前に解消

もうひとつは、帰省後にパートナーを手厚くフォローすること。たとえば、とくに男性の場合に多い例として、「そんなにオフクロに気を遣わなくても平気だよ」と気軽に考えていても、妻にしてみれば食事の手伝いから入浴の順番まで細かすぎるほど気を遣っていることがある。

この場合、一見帰省先でうまくいっているように見えても、妻の疲労感は大きく、いらだちや不満を抱えてしまっている。たとえ口には出していなくても、妻が夫の実家に帰省する際はなんらかの不満を残している場合が多いのも特徴だ。

だからこそ、帰省中にたまったストレスは、自宅に戻る前に解消させる必要がある。具体的には「感謝」と「ねぎらい」の言葉をかけることが大切。「おかげでオフクロもよろこんでいたよ」「おつかれさま。帰ったら、うまいものでも食べに行こう」など、しっかりフォローすることで妻の機嫌の悪さは相当軽減できるはずだ。

帰省中は自分や相手の親を大切にすることはもちろん、同時に同じボリュームでパートナーを大事に扱うことを忘れないことも重要だ。帰省中でも気を抜かないことが、帰省後の自分の幸せにもつながっていることを肝に銘じておこう。

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岡野 あつこ(おかの・あつこ)
夫婦問題研究家
NPO日本家族問題相談連盟理事長。株式会社カラットクラブ代表取締役立命館大学産業社会学部卒業、立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科修了。自らの離婚経験を生かし、離婚カウンセリングという前人未踏の分野を確立。これまでに25年間、3万件以上の相談を受ける。『最新 離婚の準備・手続きと進め方のすべて』(日本文芸社)『再婚で幸せになった人たちから学ぶ37のこと』(ごきげんビジネス出版)など著書多数。

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(夫婦問題研究家 岡野 あつこ)

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