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高齢者こそ家具家電レンタルが最適なワケ

プレジデントオンライン / 2019年8月1日 17時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Ljupco)

毎月定額で家具や家電を借りられるサービスの選択肢が増えてきた。どんな人におすすめのサービスなのか。消費経済ジャーナリストの松崎のり子氏は「モノの処分が大変な高齢者に使ってほしい。購入したほうが安い場合もあるが、いいものを必要な期間だけ使うほうが暮らしは快適だ」という――。

■買い物で失敗したくないなら「レンタル」がいい

2019年10月より消費税率が10%に上がる公算が大きくなった。その前に、家電やAV機器などの高額商品を買うべきか悩んでいる人も多いだろう。買うべきか、買わざるべきか、そして買うならいつがいいのか、悩ましい。

そこに、もう一つの手段がある。「買わずに借りる」という方法だ。

借りて使うといえば、思い浮かぶのはレンタルだろう。レンタルを選ぶ理由の多くは、「使う期間が短いので借りたほうが安いから」。旅行用のスーツケースやビデオカメラ、成人式の晴れ着、またベビー用品などが代表的だ。しかし、近年はそれとは異なる動機で、レンタルを利用するケースもある。そこにあるのは「買い物で失敗したくない」とか「管理や処分の手間が面倒だ」という心理だ。

例えば、高額な買い物で失敗したくないのなら、購入前に“お試しレンタル”をすればいい。ロボット掃除機や小型ムービーカメラ、アウトドア用ギアやキッチン家電など、店頭やネットの評判だけではわからない使い勝手を確かめるのに、レンタルはぴったりだ。

■めったに使わない「カメラ」はレンタル向き

筆者が最近「レンタルにすればよかった」と痛感したのが、デジタルカメラだ。シュノーケリングのために水中で使えるデジタルカメラを保有しているのだが、最近はなかなか旅行に行けず、引き出しに眠ったままだった。たまたま利用する機会が訪れて取り出してみたところ、電源が入らない。買い替えも考えたが、まだ数回しか使っていないのでメーカーに連絡して修理を依頼した。むろん、保障期間はとっくに切れていたので有償だ。

電池交換で済んだので支払ったのは1万円ほどだったが、いざ電源を入れてみるとずいぶん画面が小さいなと感じる。使用していなかった数年のうちに、世のデジカメは著しく進歩していたのだ。

もし、カメラを買わずにレンタルすれば、いつでも新しい機種が使える。故障や経年劣化を気にする必要もないし、メーカー保証が切れる心配もない。1年でどんどん機能が進化する高機能カメラやギアなどは、所有するのが趣味という人以外は、必要な時に借りて使うレンタルのほうが理にかなっているのではないか。

■高齢者こそ家具や家電のレンタルが向いている

昭和の時代は、多くのモノが家にあることが豊かさの象徴だった。だが、高度成長期に生まれた世代にとっては今やそれがストレスに変わって来つつある。筆者の親世代は年金暮らしに入っているが、モノをどう減らしていくかが大命題だという。粗大ごみを出すだけでも、自治体に手配を申し込んだり処理業者に頼んだりと手間とお金がかかる。使っていない古い家具を捨てたいものの、運び出すのが大変でそのまま死蔵という家も多いのではないか。

筆者もかつて自治体に家具の処分を頼んだことがあるが、「回収はするが2階の部屋から下ろすのは自分でやるように」といわれ、途方に暮れたことがある。年を経るごとに、さらにおっくうになるだろう。モノを買うのはたやすいが、捨てることが本当に大変な時代になったのだ。

こうした高齢世代や、引っ越しの多い家族は、家具や家電をいっそレンタルに切り替えるというのも有効ではないだろうか。購入費用だけでなく、処分の手間やお金を節約できるからだ。また、短期ではなく期間に応じて使用料を払って利用するサブスクリプション方式が増えており、そのサービス内容は一考の価値がある。

■ダイソンやルンバのレンタルプランもある

例えば、家具・家電のレンタルサービス「CLAS(クラス)」の場合、ソファやベッド、テーブルなどを1カ月から借りられる。通常の範囲であれば、使用中に汚れや傷がついても追加料金はない。不用になったら返却できるため、粗大ごみに出す手間はかからない。

家電メーカーによるサービスもある。ダイソンは「Dyson Technology +」というサービスを提供している。コードレスクリーナー、空調家電、ヘアードライヤーをレンタルできるものだ。コードレスクリーナーなら月額1000円(税別)からプランが用意されている(パフォーマンスプラン・3年間)。

アイロボットジャパンはロボット掃除機「ルンバ」を使用できる「Robot Smart Plan」を6月にスタートした。レンタル事業者「レンティオ」を通じて貸し出しをする。月額1200円(税別/36カ月間)から利用可能だ。

高機能の家電を月額1000円程度から使うことができるのは魅力的だ。筆者もダイソンのクリーナーを試してみたが、それまで使っていた古くて重いスティック式クリーナーとは格段に違う。これまでおっくうだった掃除もやる気になる。

ただし、支払総額は購入した場合の最安価格と比べると高くつくことがある。数千円の使用料を毎月払うか、数万円の初期費用を一度に払うかは家計状況にもよる。だが、暮らしをラクにするという観点に立てば、値段重視で中途半端な製品を買うよりもサブスク方式で最新家電を使うという選択は悪くないと感じている。

■収納場所が足りない家にもレンタルは向いている

ストックスペースに余裕がないマンションなどに住んでいる場合は、収納場所の確保も頭が痛い問題だ。特に、扇風機や加湿器、暖房器具などのシーズン家電は、1年のうち使う時期が限られている。使わない期間は、ただ収納場所を塞ぐだけのものでしかない。こうした季節家電も、数カ月間だけのレンタルに向いているのではないだろうか。

最近増えてきた洋服のサブスクサービスも、使わない期間が限られているものという点では同じだ。クローゼットがすでに満杯だが、新しい服を着たいという女性に受けている。季節が変われば、これもしまい込まれるだけの存在だからだ。

「レンタルするのは買うより安いから」というのがこれまでの主だった、と最初に述べた。しかし、「安さ」よりも性能の高いものを使いたい、モノの管理の手間をなくしたい、所有するより身軽に暮らしたい、という人にとっては、レンタルには価格以上のメリットがある。

■「高品質なもの」を「必要な期間だけ」使う

先ごろ、老後資金に2000万円かかるという報告書が問題になったが、マネー記事ではよく、それより多い3000万円が必要と言われる。車や家電の買い替え費用なども上乗せした金額だ。気が遠くなるような数字だが、年金生活後もサブスクやレンタルを上手に利用すれば、毎月の収入の範囲内で回していけるようになるかもしれない。

家計の健全化を図るためには、毎月発生する固定費は少ないに越したことがない。だからやみくもにレンタル対象を増やすべきではないが、収入が低い若年層や年金収入だけの高齢者層の場合は、家具や家電の購入で貯蓄を大きく減らしてしまうより、月の収支に納まる数千円程度なら利用してもいいのではないか。

これまでレンタルを利用するのは、「めったに使わない特別なモノ」が多かったかもしれないが、これからは「日々使う、生活に欠かせないモノ」にシフトしていくほうがいい。買ったモノを減価償却しながら何年も壊れるまで使うより、機能性が高いモノ・高品質なモノを必要な期間だけ使う方が、暮らしは格段にラクで快適になるからだ。

絶対に欲しいと思うモノは、買って所有しよう。それは自分にとって大事な財産といえるからだ。しかし、生活の中で消耗していくモノは財産や資産にはならない。それならば、快適性にお金を払うと考えるのも合理的ではないだろうか。

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松崎のり子(まつざき・のりこ)
消費経済ジャーナリスト
雑誌編集者として20年以上にわたり、『レタスクラブ』『レタスクラブお金の本』『ESSE』などのマネー記事を担当。現在は雑誌やWebを中心に生活者目線で執筆中。また、「節約愛好家 激★やす子」のペンネームでも節約アイデアを研究・紹介している。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)、『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない』『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(講談社)。著者公式サイト→【消費経済リサーチルーム】

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松崎 のり子(まつざき・のりこ)
消費経済ジャーナリスト
雑誌編集者として20年以上にわたり、『レタスクラブ』『レタスクラブお金の本』『ESSE』などのマネー記事を担当。現在は雑誌やWebを中心に生活者目線で執筆中。また、「節約愛好家 激★やす子」のペンネームでも節約アイデアを研究・紹介している。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術 』(総合法令出版)、『「3足1000円」の靴下を買う人は一生お金が貯まらない 』『定年後でもちゃっかり増えるお金術』(講談社)。著者公式サイト→【消費経済リサーチルーム】

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(消費経済ジャーナリスト 松崎 のり子 写真=iStock.com)

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