大学デビューで「レーシック失敗」した人の末路
プレジデントオンライン / 2019年8月28日 9時15分
■田舎くさい容姿からイメチェンしたい
消費者庁は2013年、レーシック手術による重大危害について注意喚起を発表した。レーシックは研究などでは“確立した視力矯正法”となっているが、消費者庁には術後に「危害が発生した」という情報が複数寄せられた。プレジデント編集部はレーシック手術で“失敗した”と嘆く、30代の男性会社員に話を聞いた――。
私がレーシックの手術を受けたのは、10年以上前、大学1年生のときです。北関東の田舎から、東京の私大に入学した私は総合格闘技系の部活を始めました。練習で顔面にパンチをくらい鼻血を出すことも度々ありました。
当時の私の目は右も左も0.1くらいで、最初のうちはメガネをかけながら練習をしていました。ただ、練習中に3回も壊してしまいまして。それで部活をしているときだけは、コンタクトに替えたのですが、高校まではずっとメガネだったので、あまり馴染めませんでした。それに、コンタクトが練習中にポロッと落ちることもありました。
レーシックの手術を受けようと思ったきっかけは一緒に入部した同期の友達が手術を受けたことです。友達は「見える世界が全く違う。君も受けるべきだ」と私に勧めてきました。当時はまだレーシックがそれほど一般的ではなく、私も彼を通じてそんな施術方法があるのだと知りました。
入学から半年。まだ彼女がいない私は、これを機に田舎くさい容姿からイメチェンしたいと思いました。少々遅い“大学デビュー”を目論み、レーシックを受けることにしたのです。
■夜、電灯がまぶしすぎて、目を開けていられない
都内のクリニックでの手術費はおよそ20万円。同期の友達の“紹介キャンペーン”で、数万円安くなってその値段でした。「目の角膜を切ってレーザーを照射する」という施術方法は友達や医師から聞いていましたが、友達が成功していたことからか、あまり不安に思いませんでした。手術のときも麻酔がきいていたので「なんか光っているなぁ」くらいにしか感じませんでした。
術後、両目の視力は1.0ほどまで回復しました。物心ついたときからメガネで生活していたので、初めて裸眼で見るクリアな光景に感動もひとしおでした。が、夜になるとすぐに違和感を覚えました。
なんだが、街の電灯やネオンが異常にまぶしく見えたのです。光がつぶれて見えるというか、太陽を見ているような感じです。とても直視できません。
特に困ったのは車の運転です。田舎に帰ったとき、父の車で夜道を走っていたら、電灯がまぶしくて目を開けているのが辛くて……。夜道の運転は怖くて仕方がありませんでした。
■手術を受けたクリニックに相談
その後、手術を受けたクリニックに相談しましたが「そういう副作用はあります」と言われました。たしかに、私は副作用に関する情報も含まれた手術の同意書にサインをしていました。結局、その病院には一切とりあってもらえず、自力で、レーシック手術失敗者の救済団体を探し出し、助けを求めました。
その団体によれば、どうやら私は瞳孔がほかの人より大きく開くタイプ。手術したときにカットした角膜の大きさが開いたときの瞳孔とマッチしていないため、目に取り入れた光がカットした部分で乱反射してしまい、まぶしく感じるのだというのです。
団体からは切り取った角膜を補う目的でハードコンタクトを渡されました。今もこれで、角膜を元のような状態に戻し、乱反射を抑えています。これがなくては生活ができません。しかし、このハードコンタクトのせいか、だんだんと視力が落ちてきて、今は両目で0.5ほど。今後も落ちていく見込みです。
ちなみに同期の友達は今も変わらず、目の調子はいいみたいです。執刀医についてちゃんと調べるべきだったと思います。でも、過去に戻れたとしても、レーシックは受けませんね。
(プレジデント編集部 撮影=プレジデント編集部 写真=iStock.com)
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