将来子供を望む女性が35歳でやるべきこと3つ
プレジデントオンライン / 2019年8月10日 6時15分
■具体的なアクションが必要
仕事に恋にと全力投球で駆け抜けてきたら、気づけばあっという間に30代半ば! そんなキャリア女性も多いはず。仕事でも裁量が大きくなり、おもしろさが増してくるころでしょう。
そして、そうしたキャリアが充実する時期に重なるのが、妊娠適齢期。女性の場合は、30歳以降ゆるやかに妊娠率が下がり始め、35歳前後からはその下落スピードが急速にアップします。妊娠できるリミットがちらつき始め、ライフプランについてモヤモヤした思いを抱えている女性も少なくないかもしれません。
「私が以前勤めていた都内の産婦人科では、妊婦さんの平均年齢が35〜36歳でした。35歳をすぎたからといって、急に妊娠が難しくなるわけではありません。ただ、卵巣機能をはじめ、妊娠する力は年齢に伴って少しずつ衰えていくのは厳然たる事実です。今すぐにではなくても、近い将来に子どもを、という思いがあるなら、35歳というのは具体的な行動を起こしていきたい時期に入っています」(月花さん)
■まずは気軽に「ブライダルチェック」を
具体的行動の第一歩となるのが、自分の生殖機能を把握すること。生理があっても、正常に排卵していないケースもあります。今すぐ妊娠する希望がなくても、検査を受けることでその後の妊活プランを立てやすくなります。
「子宮や卵巣、ホルモンの分泌などを検査できる『ブライダルチェック』は、体の現状を知るためにおすすめです。不妊治療専門クリニックのほか、産婦人科でも実施しているところも。『不妊治療』と身構えず、気軽に検査を受けてほしいですね」
施設ごとに検査の内容は異なりますが、問診、内診、超音波検査、血液検査などで、検査自体は30分ほどで完了するのが一般的です。子宮筋腫や子宮内膜症などの子宮や卵巣の病気がないか、子宮や卵巣の形態異常がないか、性感染症の有無、風疹の抗体があるか、などを調べます。
「例えば、子宮内膜症は生理のたびに少しずつ炎症が広がり、悪化していく恐れがあります。炎症によって臓器の癒着などが起きると、不妊の原因にも。子宮内膜症を抑える治療をするか、あるいは早めに妊活をスタートするか、といったことが検討されます。
また、風疹の予防接種を受けると、その後2カ月は避妊をする必要があります。いざ妊活となってから、風疹の予防注射を受けることになれば、そこで2カ月足止めされてしまうわけです。検査を受けておけば、妊活のために必要な準備も整いますね」
■AMH検査で「卵子の在庫」が分かる
月花さんが、プレ妊活期におすすめするもうひとつが、AMH検査。一般的なブライダルチェックではオプションとなっていることも多い検査ですが、妊活プランを立てるときの指標になる数値だと言います。
「AMH検査とは、アンチミューラリアンホルモン(AMH)の数値を測るもので、採血で調べることができます。AMHの数値を見ることで、卵巣のなかに卵子がどのくらい残っているかの目安がわかります」
卵子に育っていく原始卵胞は、胎児のときにすでに卵巣にスタンバイしています。生まれたときには約200万個ある原始卵胞は、初経のころには約30万個にまで減少。その後、1日に約20〜30個ずつ卵子を失っていき、残り1000個以下になったあたりで閉経を迎えます。
「AMHの値が低ければ、妊娠できるタイムリミットが迫っている、と考えられます。また、高すぎる場合は、多嚢胞性卵巣症候群が疑われます。いずれの場合も、早めに妊活をスタートさせたほうがいい、と考えられます。
ただ、AMHで分かるのは、あくまで“卵子の在庫数”です。妊娠にいちばん大きく関わる、“卵子の質”を表すものではありません。数値が低いからといって、現在の妊娠力が低いとは言い切れないので、この数値だけで一喜一憂しないようにしましょう」
■低容量ピルで、卵巣の「ムダ疲れ」を予防
子どもは欲しいけれど、今はまだ考えられない。そうした時期にひとつの選択肢として考えたいもの、として月花さんが教えてくれたのが低容量ピルの存在です。
「月経周期に合わせて、女性ホルモンの数値は大きく変動します。それに反応して、卵巣が腫れたり、卵巣上皮が破裂したりして、排卵する。この周期的な腫れや破裂は、卵巣にとっても負担になります。低容量ピルを服用すると、排卵が抑えられ、ホルモンバランスを一定に保つことができます。
子宮内膜症と診断された方には、低容量ピルの服用によって炎症の進行を抑え、内膜症を改善する効果が期待できます。また、そうしたトラブルがない人にとっても、月経前症候群や生理中の不快感、体調不良などを防いだり、肌の調子がよくなったりと、うれしい副効果がいろいろ。卵巣がんや子宮体がんのリスクを下げる、という報告もあります。排卵がないからといって、卵巣機能が落ちたり、萎縮したりすることはありません。産婦人科の20・30代の女医は、おそらく8〜9割は低容量ピルを使っていると思いますよ」
ピルの服用中は絶対禁煙、血栓症のリスクが高まるため、脱水に気をつけるなどの注意点はあるものの、働く女性にとってもメリットが大きいと言えそうです。
「ピルをスタートすると、1日1回、ほぼ同じ時間に薬を服用することになります。保険のピルを内服する場合は、保険処方できるのが3カ月分までなので、3カ月に1回は産婦人科を受診することに。またピルの内服中は1年に1回の子宮頸がん検診をマストにしているクリニックも多いです。こうした習慣を持つことも、自分をケアし、いたわる意識につながるのではないかと思います」
妊活のタイムリミットがうっすら見え始める、30代半ば。焦る必要はないとはいえ、自分の体をきちんと知り、今できることから着手していくことが大切です。プレ妊活は、自分の望むライフプランの実現にむけて、具体的に考えるきっかけにもなるはずです。
(日本産科婦人科学会産婦人科専門医 月花 瑶子 文=浦上 藍子 写真=iStock.com)
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