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"東大クイズ王"が机に座らないで勉強するワケ

プレジデントオンライン / 2019年8月25日 6時15分

クイズプレーヤー 伊沢拓司氏

高校時代、「全国高等学校クイズ選手権」で史上初の2連覇を達成した伊沢拓司氏。その後、東大に進学した「知識モンスター」が、記憶のコツを語る。

■東大にいた勉強ができる人たちも僕と同じ

「どうやって記憶力を高めたんですか?」とよく質問されます。しかし、自分の記憶力がいいと感じたことはありません。ただクイズが楽しくて、過去の問題などを覚えようと工夫するうちに記憶のコツをつかみ、それが勉強にも役立って東大に合格できたのだと考えています。中学高校、そして東大にいた勉強ができる人たちも僕と同じでした。勉強もクイズも、努力して記憶した人が最終的に勝つのです。

クイズのトッププレーヤーには共通点があります。それは、復習をすること。例えば、自分が出場したクイズ大会の録音を何度も聴くような復習です。

なかには机に座ってやるような復習が嫌いなのに強いプレーヤーもいますが、彼らは大量の問題をものすごく高い頻度で解いていくという勉強法を採用したりしています。つまり、いやが応でも過去に間違った問題に何度も巡り合うので、そこにはやはり復習の要素がある。問題を解くだけのやりっぱなしでは、東大生だろうとクイズ王だろうとすぐに忘れてしまいます。「復習こそが記憶の王道」なのです。

僕自身も復習好きで、勉強の8割は復習でした。復習のいい点は、机に向かう必要がないことです。自分の頭に定着したかどうかのチェックですから、電車の中でもすぐに始められます。しかも、やればやるほど「できる、できる」という実感が湧きます。反対に、新作クイズなど未知の問題を解いていく方法だと「進んでる感」は得られるものの、頭に定着しません。復習は、成功が約束されている勉強法だから、飽きずに続けられるのです。

■暗記を通して内容の理解が深まる!

僕は暗記する際、「ミクロ暗記」と「マクロ暗記」という分類法を意識しています。「ミクロ暗記」とは、一つ一つの情報量は多くないけれど、細部まで完璧に覚えないと意味がないもの。英単語、漢字、歴史の年号などです。一方の「マクロ暗記」は、一字一句正確に覚える必要はないけれど、ストーリーや論理関係など、全体の構造を覚えようとする暗記です。

昔話の「桃太郎」でいうと、「桃から桃太郎が生まれる」「村から出かける」「イヌ、サル、キジを子分にする」「鬼を倒して、金銀財宝を持ち帰る」というメーンの要素があります。そこに「おじいさんは山へ芝刈り」「きびだんごを与える」など、サブの要素が付随していく。このメーン要素から頭に入れていくのが「マクロ暗記」です。

まずメーン要素の数がいくつあるかを覚えます。前例でいえば「4つ」という数を設定することで、「3つ思い出せたから、あと1つある」と知識を引き出す助けにもなります。そして、各パーツのつながりを意識し、頭の中で再現できるように繰り返す。こうして幹が完成したら、枝になるサブ要素を覚えていくという作業です。実際にマクロ暗記に取り組むと、「幹の2と3はほとんど同じ内容だから、一緒にしよう」と気づくことがあります。暗記を通して内容の理解が深まり、いろいろ気づきがあるのも面白い点です。

■頭に定着させるにはやはり復習

ミクロ暗記もマクロ暗記も、頭に定着させるにはやはり復習が必要です。ただし復習の頻度には違いがあって、僕の個人的なペースとしては、前者は1日に2度も3度も繰り返すのに対して、後者は3日に1度ぐらいのペースで記憶しているかを確認していました。

クイズの復習で、重宝しているツールが表計算ソフトのエクセルです。左側の縦列に問題文を入力し、右側に答えを入力するというシンプルなもの。答えの文字色を背景と同じにすれば、答えが見えないドリルになります。1つのシートに15分ほどで終わる問題数を並べ、完璧だと思えるまでに反復したら、順番をシャッフルしてさらに復習します。

そのような記憶のノウハウは、付け焼き刃の勉強にも威力を発揮します。以前、FP(ファイナンシャルプランナー)の資格試験を受けたとき、勉強期間がわずかしかありませんでした。FPの試験は100点満点で60点以上を取れば合格。そこで採ったのが、出題範囲の2割を捨て、残りの8割を100%の確度を目指して記憶するという作戦です。100%を目指して、結果的に90%発揮されれば、80点×90%=72点。出題範囲のすべてを70%の力で覚えるよりも、効果的です。結果、6割ぴったりで合格しました。

どうしても時間がないときは、一夜漬けの暗記に取り組むこともあります。僕の場合、一番頭に入るのは、答えを手で隠して一問一答形式で覚える方法です。ただし、どのやり方が短期記憶に向いているかは、人それぞれ。自分の得意な方法は、普段から勉強していないとわからないものです。王道の勉強をやっていればこそ、泥縄にも対応できる。やはり復習を中心に自分に合った方法で勉強するのが、最善の手段なのかもしれません。

▼東大式 勉強のポイント
1. 勉強の8割を復習に費やす
2.「ミクロ暗記」と「マクロ暗記」に分類
3. エクセルを使って、クイズ形式で復習

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伊沢 拓司(いざわ・たくし)
クイズプレーヤー
1994年生まれ。東京大学経済学部卒業。TBSのクイズ番組『東大王』で活躍。2016年に立ち上げたwebメディア『QuizKnock』で編集長を務め、19年には株式会社QuizKnock を設立。CEOに就任する。近著に『勉強大全』(KADOKAWA)など。

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(クイズプレーヤー 伊沢 拓司 構成=Top Communication 撮影=大崎えりや)

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