公明党票240万減「創価学会はまるで老人会」だ

プレジデントオンライン / 2019年8月15日 9時15分

「山口代表は信心がわかっていない」と古参学会員。 - 時事通信フォト=写真

■創価学会の行事はもはや老人会

「今回の選挙、投票日が雨模様で助かった。晴れてたら(投票率が上がって)危なかったですよ」

東京都在住のある創価学会員は、冗談ともつかぬ顔でそう言う。

2019年7月21日に投開票された参議院選挙で、公明党は改選議席11のところ14人の候補者を当選させた。一方の自民党は、自公の与党で改選議席の過半数を押さえたとはいえ、改選議席66のところ当選57と党勢を衰退させた。いわゆる改憲勢力も参院の3分の2を割り込み、単純に「勝利を祝う」というムードでもない。しかし公明党は22日に出した党声明で、この結果を「わが党の大勝利」と表現。表面上、喜びに沸いているともいえる状況だ。

ただし「大勝利」の背後にある数字は、決して公明党の将来について楽観視できるものではない。今回の選挙で公明党が全国から集めた比例票は653万票。国政選挙における公明党の比例票は、2005年衆院選の898万票を頂点に以後減少し続けているが、17年衆院選の697万票から、ついに2回連続で700万票を割った。比例票だけで見れば、最盛期と比べて、14年間で公明党の票は240万以上(約30%)が消えた計算になる。

ただし今回の参院選で公明党を救ったのは、48.8%という過去2番目に低い投票率だった。これで公明党は得票数を減らしながら、比例代表全体の得票率では前回同様の13%台をキープ。それで「正直、比例での議席は取れて最大6と考えていた」(ある創価学会幹部)との予測を裏切る勝利となった。投票日の19年7月21日は全国的に天候もすぐれず、「晴れていたら投票率が上がって危なかった」という前出の学会員の言葉は、あながち的を外したものでもない。

公明党票の減少、つまりアクティブな創価学会員の減少という問題に関して、その第一の原因と多くの関係者が指摘するのが学会員の高齢化だ。カリスマ・池田大作名誉会長とともに学会の伸張を支えてきた熱心な世代の会員たちは、現在軒並み高齢者。現在の新規入会者がほとんど「親が創価学会員だから」という理由で入る2世や3世で、創価学会の活動に関してそこまで熱心ではない。今や創価学会の日常行事などの多くは「まるで老人会」と内部関係者でさえ揶揄するほどだ。

ただ今回の参院選の比例票減少には、別の要因があると指摘する声もある。

「今回は比例票の掘り起こしはいいから、とにかく選挙区候補の応援をがんばれというのが上からの指示だった」

そう話すのは、関西在住のある古参学会員。19年4月の統一地方選から続く維新旋風への警戒感は今なお強く、「大阪と兵庫の選挙区から出ている候補者だけは絶対に落とすなという厳命だった(結果として大阪・兵庫の候補は無事当選)」(同前)

■自公政権の改憲姿勢などに異議を唱える

東京都選挙区でも似たような構図があったようだ。山口那津男・公明党代表が出馬する選挙区に、現在の自公政権の改憲姿勢などに異議を唱える現役創価学会員・野原善正氏がれいわ新選組から出馬。

「とにかく野原を許すな、山口代表を守れというのが東京全体の空気。結果、山口代表は81万票と、前回当選時より2万票近く積み増して勝ち、野原氏は落選した。それはよかったのだが、比例票への対策がなおざりになったのは事実」(前出の東京の学会員)

創価学会の気質として「逆境に強い何くそ魂」があるとのことは、昔からよく指摘される。彼らの追い込まれたときの粘り強さには定評があり、それが発揮された選挙区の公明党候補7人全員当選という結果ではあったのだろう。ただ今回の選挙結果は、「選挙区も比例も同等に力を注ぐ」という体力が、もはや「高齢化した創価学会」には残っていない可能性も示唆する。

選挙後の19年7月25日、公明党の山口代表は若年層へのアピールのため、SNS活用の検討を党幹部らに指示したと報道された。しかし古参学会員らからは「信心の何たるかがわかっていないピント外れの案」との批判も漏れる。この逆境は、果たして次の躍進に結びつく「何くそ魂」を刺激できるか。

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小川 寛大 雑誌『宗教問題』編集長
1979年、熊本県生まれ。早稲田大学卒業。宗教業界紙『中外日報』記者を経て現在。著書に『神社本庁とは何か』。

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(雑誌『宗教問題』編集長 小川 寛大)

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