腸内環境を整えれば、アレルギーを撃退できる

プレジデントオンライン / 2019年8月15日 6時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/bymuratdeniz)

ようやく暑さが和らぐ季節に。朝晩の涼しさに秋の気配を感じますが、気温の変化に体調が追いつかないことも。この時期に大切なカラダとココロの養生法を知りましょう。

■朝晩は涼しくなり、秋の気配が漂う“処暑”

処暑は8月23日~9月7日の時期。暑さが和らぐ頃を指し、「処」には、来て貯まるという意味があります。昔から、立春から数えて210日目の9月1日は台風が来ると言われ、暑さがようやく治まり、朝の風や夜の風に、秋の気配が漂いだします。次第に涼しくなってくるために、体調管理には十分気をつけましょう。

処暑は、朝晩の気温差や夜の虫の声などで秋の気配を感じます。ただし、日中はまだまだ暑さが続くため、納涼床や屋形船などで涼むのがこの季節の風物詩です。

季節のはじまりの初候は、スダチや魚のカサゴなどが旬を迎えます。また、綿の木の花が咲いた後、蒴果(さくか)という実につく白い線維が綿花になるため、綿花の収穫の時期でもあります。そして、季節が進む次候では、ブドウが旬を迎え、立春から数えて210日目の二百十日(にひゃくとうか)には、昔から台風がやってくると言われており、野分(のわき)と呼ばれる草木を分けるほどの激しい風が吹き荒れます。

終わりである末候は、イワシやイチジクが旬を迎えるとともに、チロチロと鳴くマツムシの声があちこちで聞こえはじめると、秋もそろそろ中盤へと移り変わります。

■季節の変わり目には自律神経が乱れ、アレルギーが悪化

ようやく暑さも落ち着き、朝晩は過ごしやすくなってくる頃。季節の変わり目には自律神経の異常が起こりやすく、アレルギーなどの症状を持つ人はひどくなりやすいのもこの時期です。

近年、アレルギーの出現には腸内細菌が重要な役割を示すことが知られています。特に小児期に抗生物質などを多用すると、大切な腸内細菌が死滅してしまい、アレルギーになりやすいとの研究が報告されています。さらに腸内細菌は食べ物の消化吸収にも関係していることから、食物がうまく消化吸収されないことで体力が落ち、免疫力が低下すると風邪などを引きやすくなります。

そのため、この時期は腸内環境を整え、アレルギーとも関係が深い免疫力の増強に努めることが大切です。

気候的にも過ごしやすくなるため、仕事ははかどり、やる気に満ち溢れてきます。読書の秋や運動の秋と呼ばれるように、この時期は積極的にいろいろなことをはじめたくなります。その一方で、自律神経の調整がうまく行えずに免疫力が低下していると、やる気が起こらず、気持ちだけが焦りやすくなります。そのため、感情が不安定なり、喘息が起こったり、感情がコントロールできずに不意に涙がこぼれたりするようなことも。カラダの管理だけでなく、ココロの管理もしっかり行うようにしましょう。

■呼吸法、食生活を整えて、肺と腸を強化しよう

「カラダとココロの養生法」

この時期は肺の病に注意が必要です。そのため、肺のケアとしての呼吸法をマスターし、きれいな空気をカラダの奥まで吸い込むことが大切です。息を吐ききった後、カラダを前に倒してお辞儀をし、息を大きく吸ってみましょう。肺の中がきれいな空気で満たされるとともに、副交感神経が優位になり、カラダがリラックスします。また、せっかくきれいな空気で肺を満たすのであれば、山や海など自然の多い場所に出向き、おいしい空気を吸うようにしましょう。自然治癒力も高まり、心身ともに元気になります。

また、生活習慣を見直すことも大切です。早寝早起きをして、自然のリズムとともに生きることは、健康なカラダを維持するためには大切なことです。また、食事もなるべく自然の味を楽しむようにしてください。特にダイコンは気の巡りを良くし、胃腸を強化する働きがあるため、口内炎や便秘、二日酔いの改善にも効果的です。東洋医学では白い色や辛い味の食物は肺に効果的とされているため、呼吸を強化し、風邪予防にも有効です。なお、味付けをするのであれば、味噌や醤油などの調味料が有効。味噌や醤油は発酵食品であり、大腸の腸内環境を整える働きがあります。腸内環境の改善はアレルギー対策にはとても重要なので、味付けにはぜひ発酵食品を利用しましょう。

「食養生」

この季節には辛味成分を取ることが大切です。特にダイコンには甘みと辛味があり、気の巡りを良くしてくれる働きがあります。また、ダイコンに含まれる消化酵素のジアスターゼやビタミンCは胃腸や呼吸を強化してくれるので、口内炎や便秘、二日酔いにも効果的です。

一方、ビワは胃腸を丈夫にし、消化吸収を高めてくれることから、腸内環境を整えるには効果的な食材です。ビワに含まれる成分は痛みや炎症を抑え、癌にも効果的とされているため、この時期にはお勧めです。

イラスト=うぐいす(イラストAC)
「お勧めのツボ」

処暑を乗りきるためのお勧めのツボは、太淵(たいえん)です。太淵は手首にあるツボで、親指側の手首の付け根のくぼみにあります。喉や鼻などの呼吸器症系の不調に効果的で、咳やのどの痛み、鼻水・鼻づまりなどの風邪の症状にお勧めのツボです。

太淵を押してみて痛い場合には、風邪を引いているか、風邪を引く前兆と考えられます。イタ気持ちいい程度に10秒程圧迫し、5秒いて5回程度刺激するようにしましょう。また、風邪が治りにくいときには、太淵に米粒などの小さな粒を絆創膏などで貼っておくとさらに効果的です。

イラスト=筒井よしほ(イラストAC)

■消化吸収機能の衰えには、善玉菌を増やして、腸内環境を整える

「タイプ別・アレルギー症状の原因」

この時期に胃腸の調子が悪くなると、腸内環境がくずれ免疫力が低下してアレルギー症状が強くなることが知られています。

特に、一生懸命頑張りすぎている頑張り屋さんタイプの人は、交感神経が亢進(こうしん)しているために、血流が悪くなり、消化吸収機能が低下して腸内環境のバランスが偏りがち。消化機能はリラックスしたときに高まるためアロマやハーブなどを活用することでリラックスする時間をつくり、胃腸に血液が回るように心がけましょう。また、生活リズムの乱れによっておこる生活習慣タイプの人は、腸内環境の悪化が原因に。腸内の善玉菌を増やすように食習慣を改善しましょう。

年齢による加齢タイプは、肺の機能が低下しているため、呼吸法を利用して肺を鍛えることが大切です。

なお、自分のタイプに関しては、カラダの状態を入れるだけで簡単にわかる無料アプリYOMOGIを利用すると便利です。月に1回(毎月10日まで)入力すると、あなたに合ったその月の養生法が送られてきます。

「タイプ別:アレルギー症状の対処法」

頑張り屋さんタイプの人は、アロマやハーブを用いてリラックスする時間を増やすしましょう。レモンやペパーミントなどの柑橘系のアロマやハーブには消化機能を高める役割があります。食後や睡眠前、さらにはリラックスタイムにこれらを活用するとよいでしょう。なお、アロマを用いたハンドマッサージも効果的です。親指の付け根のあたりには、肺に関係する経絡が流れていますので、マッサージするのがお勧めです(図表1)。

(図表1)肺絡マッサージ 太淵から鎖骨を通り、脇の横に至るまで、肺絡のツボが点在している。親指の付け根から脇に向かって、ツボに沿って軽く親指で押すようにゆっくりマッサージを行う。

生活習慣タイプの人は、善玉菌の1つであるビフィズス菌を増やすように心がけましょう。ビフィズス菌は穀物、芋類、豆類、干しシイタケ・切干しダイコンなどの乾物、大豆、バナナ、牛乳などのオリゴ糖が豊富な食品や、ヨーグルトなどの発酵乳製品に多く含まれています。これらの食品をなるべく多く摂取するようにしましょう。

最後に加齢タイプの人は肺を鍛えましょう。具体的には、8秒数えながら肺が一杯になるまで息を吸い、吐き出します。その後16秒を使って少しずつ息を吸っていきます。最後に2~3秒息を止めてから力強く息を吐きます。この呼吸法を3回程行いましょう。

処暑は、秋の深まりを徐々に感じる季節です。台風が通過するごとに秋の気配が強まり、虫の音色も夏とは少しずつ異なってきます。そのため、季節の変化に心身が追いつかず、自律神経の調整がうまくいかないことが、腸内環境を乱す原因となり、アレルギーなどを引き起こしやすくなります。

そのため、この時期は腸内環境を整えるためにビフィズス菌をなるべく多く取るとともに、消化機能を高めてくれる柑橘系のアロマやハーブを用いることでリラックスし、消化機能を高める努力をしましょう。

「処暑の特徴」

●心身の症状
カラダ:アレルギー症状の悪化、腸内環境の悪化
ココロ:感情が不安定、涙がこぼれる

●季節に多い症状
アレルギー、消化不良

●心身の養生法
呼吸法、生活習慣の見直し

●食養生に効く食材
ダイコン、ビワ

●ツボ
太淵(たいえん)

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伊藤 和憲(いとう・かずのり)
明治国際医療大学大学院/養生学寄付講座教授
鍼灸学医学博士・全日本鍼灸学会理事。同大学附属鍼灸センター長。トリガーポイント鍼治療の第一人者であり、慢性痛の緩和治療に精通。現代女性のための、東洋医学に基づく心身のセルフケアも指導している。

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(明治国際医療大学大学院/養生学寄付講座教授 伊藤 和憲 写真=iStock.com)

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