チャイナマネーにすり寄るギリシャ首相の是非
プレジデントオンライン / 2019年8月26日 17時15分
■中国に接近する新首相
ギリシャのポピュリズム政権に引導を渡したサラブレッドエリートの“常識人”。
2019年7月の総選挙で単独過半数を取り、政権の座に親EUの新民主主義党(ND)を返り咲かせた新首相は、父が首相経験者、姉は外相経験者、親戚に政界財界の大物が並ぶギリシャ三大名家出身の御曹司だ。しかも米ハーバード・ビジネススクールでMBAを取得し、マッキンゼー・アンド・カンパニーなどで経営コンサルタントとして活躍、英仏独語を操る超エリートだ。自他ともに認める口下手。「常識的手法」で政治に臨むと訴え、法人税・消費税減税を軸とした親企業・市場重視の政策を掲げる。ただ既得権益層とは距離を置く清新さがこれまでのNDとは違う。
急進左派進歩連合(シリザ)を率いたチプラス前政権は、反EU政権の先駆けとして2015年1月に誕生。貧困向けバラマキ政策をけれんみたっぷりに訴えて国民の不満を取り込んだが、結局、財政緊縮を求めるEUとの妥協に流れた。口先だけの人気取り政策ではギリシャは回復しないと有権者が思い知った4年半だった。
有権者の判断は、おそらく今後、欧州に蔓延するEU離れの流れを変えていく。ギリシャ国債利回りは経済危機以来の過去最低を更新、国際社会の期待も高まりつつある。
ただ、経済復活の鍵を海外投資、特にチャイナマネーに見出そうという姿勢は、中国によるEU分断戦略を利することになると、再び軋轢を生むかもしれない。今後のEUの命運を占ううえでも注目だ。
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ギリシャ首相
1968年生まれ。米ハーバード・ビジネススクールでMBA取得。2004年ギリシャ議会議員、16年新民主主義党党首。19年7月首相就任。
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(ジャーナリスト 三河 五朗)
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