欧米のエリート女性は上に行くため何を学ぶか

プレジデントオンライン / 2019年9月15日 11時15分

仕事に役立つ実用書から、“心の栄養”になるノンフィクションまで、ぜひ本棚に加えたい一冊がズラリ。グローバルな人脈を持つ2人の女性が「欧米で働く女性のバイブル」を厳選して紹介します。

■男性社会で自分らしくいるために

グローバルな思考を養いたいなら、パワフルな海外のキャリアウーマンの愛読書が役立つはず。彼女たちはどんな本を積極的に読んでいるのか。世界で活躍する経済ジャーナリストの谷本有香さんはこう話す。

「トップで活躍する女性は、男性社会で生き抜くための指南書を意識的に読んでいます。一見強そうなリーダーでも、実は女性ならではの悩みや葛藤を抱えているもの。意外に思えますが、“あなたのままでいい”というメッセージの本も人気」

自分らしく仕事をするためには、足元を固め、ぶれない精神を持つこと。そのための処方箋を本に求め、自身の考えを形成しているのだ。

一方、六本木ヒルズライブラリーの選書を担当する小林麻実さんは、「海外の女性は、自分の意見をつくっていくための道具として本を活用している」という。歴史や古典から、環境問題やLGBTなど話題の本まで、幅広いジャンルを読む。そして、「目の前の課題とすり合わせて、自分なりに消化している」と小林さん。

パズルのピースを組み合わせるように本から解決策を見つけ出し、考えを醸成するというわけだ。彼女たちの「本棚」を見てみよう。

■仕事の方法論が変わる一冊

仕事に行きづまったときに突破口を見いだす本。男性社会での立ち居振る舞いを学ぶのもよし、環境問題からビジネスの考え方を転換させるもよし。仕事への取り組み方が変わるはずだ。

環境問題から学ぶ発想の転換
『HOPE 都市・企業・市民による気候変動総力戦』
マイケル・ブルームバーグ、カール・ポープ著●ダイヤモンド社

筋金入りの資本主義者が、堅く考えがちな環境問題を軽やかに論ずる。「『ルールに従う』という発想から『環境にいいモノはもうかって、客も喜ぶ』という明るい話に転換。ビジネスがモノを生み出す楽しさを学べる」(小)

男性社会という名のゲームの攻略本
『ビジネス・ゲーム』
ベティ・L・ハラガン著●光文社知恵の森文庫

男性社会で女性がビジネスという「ゲーム」のルールを知り、かしこいプレーヤーとして生き延びる策を列挙。「キャリアウーマンにふさわしい服の選び方、言葉の使い分け、お金の考え方など、実用的な記述が満載」(谷)

■女性の働き方を見直す

女性リーダーのロールモデルが少ない世の中で、いかに公私を両立させながら出世の階段を上っていくか。女性らしさ、自分らしさは持ち続けていいのか――。悩めるキャリアウーマンたちがバイブルにしている必読の書。

キャリアアップに必要な視点とは
『大人の女のキャリア計画 「5つの柱」で理想の仕事を手に入れる』
ジョアンナ・バーシュ、スージー・クランストン著●海と月社

マッキンゼー&カンパニーの現役女性コンサルタントによる指南書。「例えば『自分自身の意義と捉えがちな点を、会社にとっての意義に置き換えるとリーダーに抜てきされやすい』など、女性が出世するために必要な方法論が満載」(谷)

女性はもっと自信を持つべき!
『なぜ女は男のように自信をもてないのか』
キャティー・ケイ、クレア・シップマン著●CCCメディアハウス

女性が成功するために必要な「自信」のつけ方を説いた本。「一見強そうな海外のサクセスウーマンにも支持されています。自己評価がマイナスの人は、ゼロに引き上げるだけで活躍できるというメッセージが込められています」(谷)

フェミニストだと世の中どう変わるか
『男も女もみんなフェミニストでなきゃ』
チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ著●河出書房新社

フェミニストの視点を持つとどんなメリットがあり、どんな社会になるかをわかりやすく説いた本。「個人が自由と自分らしさを手に入れるためのヒントが満載。世界的なスピーチフォーラム『TED』で大きな話題になりました」(谷)

米国女性の日常や思考がわかる
『私はこうして受付からCEOになった』
カーリー・フィオリーナ著●ダイヤモンド社

受付から大企業のCEOにまで上りつめた女性のノンフィクション。「『上司の運が悪かったら良くするわ』という、著者の根性に拍手を送った女性は多数。ソリが合わない上司との関係に悩みがちな日本人が学ぶ点は多いです」(小)

■価値観を広げる

めざましい活躍を続ける女性ほど価値観を広げる努力を惜しまず、次々と未知のジャンルを探究していく。歴史の見方、LGBTと経営の関係、目に見えていない“価値”の存在――。モノの見方をガラリと変え、世界を広げてくれる3冊。

従来の認識を覆す人類の歴史
『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』
ユヴァル・ノア・ハラリ著●河出書房新社

法律や平等といった考えは虚構である――。私たちの固定観念を根底から覆す驚きの歴史本。「“帝国”という概念1つとっても、定義やサイクルなどを深く掘り下げる視点が評判。仕事や日常での視座も変わるはず」(小)

「第三の道」を見つけられるかも
『サード・メトリック しなやかにつかみとる持続可能な成功』
アリアナ・ハフィントン著●CCCメディアハウス

事業の成功のためにがむしゃらに働き、過労で倒れた著者。「金や権力以外の価値、“第三の道”を見つけるための実践法を解説。“ワクワクすることを追い求めていい”。このメッセージで救われた女性は数知れず」(谷)

LGBTと経営のwin-winな関係
『カミングアウト LGBTの社員とその同僚に贈るメッセージ』
ジョン・ブラウン著●英治出版

日本にいると見えにくいLGBTと経営の関係が鮮やかに描かれている。「海外では勉強のために読んでいる女性が多いです。会社もビジネスも多様性がプラスになる、という明るい視点がこの本から伝わってきます」(小)

■人とのつきあい方を学ぶ

男性中心のビジネス社会で生き抜くには、彼らの頭の中を知り、己を知ることも必要。男性の上司や部下、わかり合えない相手とどうコミュニケーションをとるか。世界共通の悩みに答えてくれる4冊。

男性の頭の中がわかる本
『説教したがる男たち』
レベッカ・ソルニット著●左右社

男性が女性を見くだしながら話す「マンスプレイニング」を、データを交えて解説。「男女の支配、被支配の関係性を説きつつ、DVやセクハラに対処するヒントも得られる。この本で留飲を下げている欧米女性は多数います」(谷)

弱くて傷つきやすい人への処方箋
『本当の勇気は「弱さ」を認めること』
ブレネー・ブラウン著●サンマーク出版

ネガティブな感情の正体を解き明かす。「自分の弱さの見つけ方や克服の仕方がわかる。一見パワフルな欧米女性でも、『自身のもろさをきちんと意識することで、他者との関係が築きやすくなった』そんな声をよく聞きます」(谷)

意見が100%違う相手と交渉する話術
『NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法 新版』
マーシャル・B・ローゼンバーグ著●日本経済新聞出版社

自分とまったく意見が違う人にはハッキリと反論する。立場に頼らず、対話で交渉していくスキルを指南。「お互いに相手の気持ちを理解し、違いの中から接点を見いだす。そのうえでどう対話を導いていけばいいかを学べます」(小)

人と接するときの基本ルールを再確認
『道は開ける』
D・カーネギー著●創元社

欧米の経営者が愛読する、さまざまな悩みを解消するための古典。随所にちりばめられた名言を胸に刻むリーダーも多い。「『人は誰しもほめられるとうれしい』といった、公私ともに知っておくべき王道ルールに定評があります」(小)

■想像力に磨きをかける

奇想天外な冒険小説やユーモアある探偵小説で感性を高めている欧米の女性たち。想像力を磨くために役立つ小説を読めば、無意識に制限をかけていた考えが自由に広がり、新しいアイデアが生まれる。

想像を超える行動力に勇気が湧く
『シャンタラム』
グレゴリー・デイヴィッド・ロバーツ著●新潮文庫

脱獄犯が逃走後に、医者や映画制作者など、自分のなりたいものになっていく自伝的小説。「『枠組みを超えて何でもできる』と、世界中に希望を与えています。バックパッカーになった大企業の元部長の女性も愛読」(谷)

英国ユーモアの真骨頂
『ジーヴズの事件簿 才智縦横の巻』
P・G・ウッドハウス著●文春文庫

英国ユーモアが爽快な話題の探偵小説。「キーパーソンである優秀な執事の話術が見事。例えば、相手にはほめ言葉と思わせ、実はけなしている……など。会話のセンスを磨くのに役立つと評判です」(小)

悩める女性を勇気づける名言の嵐
『アルケミスト 夢を旅した少年』
パウロ・コエーリョ著●角川文庫

少年が旅をしながら人生を学んでいく物語。「夢を追い求めていい。まだ目的が見つかっていなくても、旅の途上なのだから大丈夫と、世界中の女性たちに希望を与えている本です。名言がちりばめられた良書」(谷)

■思考パターンを変える

「時間がないから」「こういう立場だから」と、とかく思考や生き方に制限をかけがちな私たち。おもいきって枠をとっぱらい、本来の自分を取り戻してみませんか?

たまには一時停止する時間も必要
『遅刻してくれて、ありがとう』
トーマス・フリードマン著●日本経済新聞出版社

多忙な人たちを救う書として人気。「タイトルには『あなたが遅刻したおかげで急に時間ができ、いろんなことを考えられた』という意味が込められています。いつもの思考を止め、世界を広く考える視点を教えてくれる」(小)

履歴書上の成功と人柄、大事なのは?
『あなたの人生の意味』
デイヴィッド・ブルックス著●ハヤカワ文庫NF

ビル・ゲイツはじめ、世界のトップリーダーらが支持。「自分は死後、どんな弔辞を読んでもらいたいか。仕事での成功をたたえられたいのか、人柄をしのばれたいのかを想像し、今、すべきことを考えさせられる一冊」(谷)

もっとクレイジーになっていい!
『SHOE DOG』
フィル・ナイト著●東洋経済新報社

ナイキの創業者の自伝。「起業家の友人はみな大絶賛。目的を達成するにはクレイジーになっていいし、むしろそこまでやろうと後押しされる。失敗しても成功するんだというエネルギーの源泉にも気づかせてくれます」(谷)

「こうであるべき」な思考から離れて
『BIG MAGIC 「夢中になる」ことからはじめよう。』
エリザベス・ギルバート著●ディスカヴァー・トゥエンティワン

心躍らせながらやりたいことをやる「創造的な人生」にエールを送る本。「これを読んだ友人たちは、社会性を切り離してただ純粋に、『やりたかったことを思い出した』『好奇心に忠実に生きよう』と思えたそう」(谷)

■逆境に負けない心を育む

予期せぬ事態はいつだって突然襲いかかってくる。そんなとき、海外の第一線を走る女性たちはどう対処してきたか。フェイスブックCOOや元アメリカ国務次官などのトップ女性に学ぶ、セルフマネジメントや心の持ち方。

第二の選択肢を選ぶときの心得
『OPTION B 逆境、レジリエンス、そして喜び』
シェリル・サンドバーグ、アダム・グラント著●日本経済新聞出版社

愛する夫を亡くした著者が、人生で起こる困難をいかにマネジメントするかを伝授。「“最良”ではなく“次善”の選択肢(オプションB)を選ばざるをえない経験は誰にでもある。その乗り越え方に多くの女性が救われた」(小)

環境を変えられないときどうするか?
『Uncensored』
ザカリー・R・ウッド著●Dutton

富裕層が通う学校に奨学金で入った著者による実話。「言葉遣いも考え方も家庭環境も違う世界や、絶対にわかり合えない母親とどう対峙(たいじ)するか。『耐えるだけでなくやり返すタフさ』をこの本から学んだ人は多い」(小)

パワフルウーマンの割り切る力を学べる
『Not for the Faint of Heart』
ウェンデイ・ルース・シャーマン著●PublicAffairs

元アメリカ国務次官の女性による自伝。「私生活にどんな出来事があろうと、環境に関係なく目標を持って力をつけていく。そんなパワフルなアメリカエリート女性は結構います。彼女たちの価値観や強さ、真面目さが伝わる本」(小)

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谷本有香(たにもと・ゆか)
経済ジャーナリスト
金融経済専門TV局のキャスターなどを経て、現職。各国のトップリーダーに取材実績も。「Forbes JAPAN」副編集長。
 

小林麻実(こばやし・まみ)
ライブラリー・ディレクター/アドバイザー
マッキンゼー&カンパニーなどを経て、会員制の六本木ヒルズライブラリーを創設。書棚に入れる本を毎月200冊選ぶ。
 

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桜田 容子 ライター
明治学院大学法学部を卒業後、男性向け週刊誌、女性向け週刊誌などで取材執筆活動を続け、気付けばライター歴十数年目に突入。にもかかわらず、外見は全然ライターっぽく見られない。趣味はエアロビとロックンロールと花見など。

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(ライター 桜田 容子 撮影=村林千賀子)

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