35歳から外資転職するときに必要なスキル7つ
プレジデントオンライン / 2019年9月15日 6時15分
■【1】英語はTOEICの点数より“しゃべれるかどうか”が重要
外資系で働く以上、英語は“できて当たり前”。最低でもTOEIC700点以上を条件にしている企業が多いが、「実は点数はあまり関係ない」と、エンワールド・ジャパンの狐崎壮史さん、ロバート・ウォルターズ・ジャパンのユニ・ホンさんは口をそろえる。「読み書きの能力を求める日本企業に対し、外資系ではディベートや交渉ができる会話力が決め手になります」(狐崎)。「TOEICの点数が高くても会話が苦手という人は多い。話せなくてもポジションによっては入社が可能ですが、管理職になれば外国人幹部とのコミュニケーションが業務の重要な部分を占めます。昇進を目指すなら英語力は必須」(ホン)。業務内容によっては「これから学ぶ」姿勢をアピールして入社をかなえる人も。諦めずにトライする価値はありそうだ。
■【2】転職回数が多いほど、有利になるのはなぜ?
一般的に、転職回数が多いほど転職市場では敬遠されがちだが、外資系の場合はその限りではない。「転職を重ねてスキルを積み、スペシャリストへとステップアップしていくのがキャリアパスの王道。さらに、外資系はビジネスのスピードが速く、変化に対応できる柔軟さとタフさが求められるため、転職経験あり=企業文化・業務プロセスへの適応力があると判断されてプラス評価に」(ホン)。ただし、明らかなキャリアダウンや、毎回仕事内容が変わるような転職は逆効果に。また、「外資系でも日本人比率が高い会社だと日本社会の価値観が根付いているため、転職回数が多いと厳しい目で見られることも。3年程度の在職期間は欲しいところです」(狐崎)。“主体的な転職で専門スキルを磨いてきたか”が、カギになるようだ。
■【3】年齢よりもスキル重視。35歳以上でも売り手市場!
現在、外資系企業の転職市場は非常に活況。「ここ10年で最も売り手市場。特に、フィンテックやAI、仮想通貨といった成長産業での需要が高いです」(狐崎)、「バイリンガルで専門分野のスキルがあり、海外のビジネス慣習に明るい人材層への引き合いは、年々強まっています」(ホン)。各社とも深刻な人材不足のため、スキルさえあれば、35歳以上でも“引く手あまた”の状態で、「年収アップは平均200万~300万円、もっとアップする人も少なくない」(狐崎)という。また、企業文化を大事にする外資系企業では、“企業風土に合うか”や、採用などの権限を持つ“直属の上司との相性”が、重要な基準になる。狙いをつけた企業のセミナーなどに参加して雰囲気をつかむなど、自分とマッチするかをあらかじめ見極めておきたい。
■【4】「短所の改善より、長所を伸ばせ」の理由
数年ごとにジョブローテーションを繰り返しながら人材を育成していくことが多い日本企業と違い、外資系は、職種別採用のため、ポジションごとの役割が明確に分かれている。「求められるのはスペシャリスト。なんでもこなせるゼネラリストは強みになりません。専門性をいかに磨くかに集中し、時間を割くべき。実力主義のため、スキルさえあれば、年齢や性別に関係なく、昇給・昇進が可能です」(ホン)。「“短所は長所でカバーすればいい”というのが、外資系の考え方。この分野では誰にも負けないというスキルを身につけ、どんどんアピールしていく積極的な姿勢が大事です」(狐崎)
■【5】アメリカ系かフランス系か……。本社のお国柄によってカルチャーが違う!
ひとくちに外資系といっても、本社の国籍でカルチャーは異なる。「アメリカは社内の雰囲気がフラットでチャレンジに対してポジティブですが、結果が出ないとプロジェクト単位でクビになるなど成果にシビア。ヨーロッパはワーク・ライフ・バランスが徹底していて、成果に対しては比較的緩め。特にドイツは仕事の進め方が日本企業に近いです」(狐崎)。「アメリカは何事も非常にスピーディー。ヨーロッパはプロセス重視の傾向に」(ホン)。共通するのは女性の働きやすさ。女性が少ない組織は、本国の指示で積極的に採用することもあるという。「女性専用ポジションを設けるフランス企業も」(狐崎)
■【6】結果を出さないとすぐクビになるってホント?
外資系企業の最大の特徴が、徹底した実力主義。その分、常に結果が求められ、パフォーマンス次第ではリストラも……。「日本企業と決定的に異なるのが、採用時に交わす雇用契約書の存在。3カ月間の試用期間内に成果が出ない場合の処遇や、年俸やボーナスといった諸条件が明確に書かれた契約書に相互でサインします。とはいえ、試用期間内にパフォーマンスが悪いからと解雇されるケースはほとんど聞きません」(ホン)。ただし、「自分では成果を出していても、景気の動向を理由に“グローバル全体で何%解雇”など、本国の方針でクビになることもある」(狐崎)と知っておこう。
■【7】「グローバルに働く」が目的なら、外資系企業は不向き
“グローバルに働きたい”と考えるなら、外資系企業への転職は、むしろ期待外れになる可能性も。「日本国内にある外資系企業は、本国にとって海外支社のひとつ。つまり、ビジネスのターゲットは日本人であり、日本の国内市場になるため、基本的に国内での業務になるでしょう。ポジションにもよりますが、海外を視野に入れた仕事に関わることは予想より少ないはず。世界中を飛び回ってグローバルに働きたいという思いを抱いている人にとっては、少々イメージと異なるかもしれません。それならむしろ、日本のグローバル企業の海外部門を目指すほうが希望の働き方に近いと思います」(ホン)
※( )内敬称略
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エンワールド・ジャパン IT部門ディレクター
ユニ・ホン
ロバート・ウォルターズ・ジャパン セールス&マーケティング シニアマネージャー
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(西尾 英子)
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