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「悪夢のような民主党」に戻る立憲民主の残念さ

プレジデントオンライン / 2019年8月23日 18時15分

会談に臨む立憲民主党の枝野幸男代表(中央右)と国民民主党の玉木雄一郎代表(同左)ら=2019年8月20日、国会内 - 写真=時事通信フォト

■支持伸び悩みで結集するしか選択肢はなかった

立憲民主党と国民民主党が衆参両院での会派を合流させることになった。「安倍1強」に対抗するには野党が一本化するしかないと、何年も言われ続けていただけに、やっと野党結集に一歩前進した形だ。

しかし、永田町も世論も、今回の結集には冷ややかだ。それもそのはず。立憲民主と国民民主らが一緒になるということは、安倍晋三首相が「悪夢のような」と皮肉る民主党時代に戻ることを意味するのだ。

8月20日午後、国会内で2人の野党党首は共同記者会見に臨み、こう話した。

枝野幸男立憲民主党代表「今の安倍政権とは違うもうひとつの選択肢を、力強く訴えていけば、今の日本の政治を変えることができる

玉木雄一郎国民民主党代表「国民の期待を受け止めることができる新しい動きにつなげたい。ひいては政権交代につなげる第一歩だと考えている

両党の会派合流問題は8月5日に枝野氏が提唱。ただし、立憲民主の衆院会派に国民が加わるよう求めた「上から目線」の要求だった。

これに対し国民民主は衆参両院で新たな統一会派を組むべきだと逆提案。15日の会議では双方の意見が平行線をたどり、交渉は決裂に向かうかと思われていた。報道陣にとってツーショットの記者会見は意外だったことだろう。

■「れいわ新選組」の躍進に強い危機感を持った帰結

プレジデントオンライン編集部では8月13日にアップした「枝野氏も豹変させた山本太郎の圧倒的な存在感」の中で、枝野氏の提案は、「衆参両院で」という国民民主側の要望を受け入れる形で合意に達する、と予測した。結局、その予想通りとなった。

記事で指摘したように、7月の参院選で立憲民主、国民民主ともふるわなかったこと、山本太郎氏が率いる「れいわ新選組」の躍進に強い危機感を持ったことを考えれば、合流は当然の帰結だった訳だが、政治メディアはその読みができなかったのだろうか。

共同通信社が17、18の両日に行った世論調査で立憲民主の支持率は10.0%で前回7月の調査と比べて3.5ポイント減。国民民主は1.4%で0.3ポイント減。一方、れいわの支持率は4.3%だった。国民民主の3倍もあるのだ。国民民主が立憲民主との合流を目指さないほうがおかしい。

■会派合流は「民主党の再来」にしか見えない

ただ、この共同通信社の調査には野党共闘について気になる数字もある。調査では国民民主との会派合流を提案した立憲民主の対応についての賛否を聞いている。「評価する」はわずか30.2%にとどまり、「評価しない」は50.3%で過半数に達している。2党が合流に向かうことを全く歓迎していないのだ。

両党はともに民主党をルーツに持つ。2017年の衆院解散を前に、小池百合子氏が率いる希望の党が誕生。当時、民主党の後継政党である民進党は希望の党に合流する方針だったが、小池氏に「排除」される議員が続出。その受け皿として枝野氏が立憲民主を立ち上げた。

結果として同年の衆院選で、旧民主党勢力は希望の党、立憲民主、さらには無所属で出馬したグループに3分割した。衆院選後、希望の党で当選した議員が中心となり国民民主党に衣替えした。

今回の会派合流は、立憲民主、国民民主が結集する。さらに17年の衆院選では無所属で勝ち上がってきた議員を中心とする衆院会派「社会保障を立て直す国民会議」も加わる見通し。

「社会保障」代表の野田佳彦元首相は22日、「(安倍政権の)強引で理不尽な国会運営を許してきたというのは『他弱』という問題があった。国会対策を考えた時には強力な野党第1党が必要だ」と会派合流の意義を語った。

■要するに3分解した民進党勢力が再結集をするという話

3会派が合流すれば、衆院での議員数は117人となり、2012年に安倍氏が首相に返り咲いて以来、野党の塊としては最大のものになる。一定のインパクトはある。ただし国民の目には「失敗への道をもう一度歩もうとしているだけだ」とも映る。要するに3分解した民進党勢力が再結集をするという話なのだ。

立憲民主と国民民主は原発政策、憲法などを巡り温度差がある。今回の会派合流は、それぞれの違いをある程度理解した上で、目をつぶって手を結ぶことになる。「大人の対応」ということもできる。ただし、そのことは主要政策でばらつきが大きく「何も決められない」と批判を受けた民主党政権時代を思い出させる。安倍氏ならずとも「悪夢のよう」だと思う国民も少なくないだろう。

通常ならば新しい党や会派ができると国民の支持は、上がる。本当に期待しているかどうかはさておいて、新しもの好きの国民による「ご祝儀相場」が期待できるのだ。しかし、今回はご祝儀相場は期待できないだろう。新会派は国民にとって新しいものではなく、失敗した「古いもの」が再結集しているだけだからだ。

■「れいわ」の山本氏を取り込むしかないが……

民主党政権時代を知る永田町関係者は自嘲気味に語る。

「ご祝儀相場ではなくて、今回は不祝儀相場なのかもしれない。それでも今、できることはこれぐらいなのだよ」

会派合流後、立憲民主、国民民主などは新党結成など新たなステップを模索することになるだろう。その時、かつての民主党とは違うものに見えるようにするのが最重要課題だ。

民主党を超えた存在に見せるためには、参院選でブームを起こした「れいわ」の山本氏を取り込むしかないのではないか。それを可能にするには山本氏らが、立憲民主、国民民主らの会派に魅力を感じることが必須だ。先に紹介した共同通信社の調査結果を見るまでもなく、その道は険しい。

(プレジデントオンライン編集部)

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