「進学より就職」を選んだ16歳エンジニアの本音
プレジデントオンライン / 2019年9月3日 6時15分
■16歳でクラウドエンジニアとして就職
「検索では引っかからない情報」をテーマにしたテレビ番組『ダーレモシラナイ~爆笑!日本の新知識~』が9月4日午後8時~、MBSほかで放送される。この番組では日本全国3万人にアンケートを実施。視聴者から「自分しか知らないだろう」という情報を集め、本当に「誰も知らない」情報なのかを取材して検証する。今年5月に第1弾が放送され、今回は第2弾となる。
スタジオには3人の「検索マスター」が登場し、取材内容が本当にインターネット検索で得られないのかを徹底的に調べる。その一人として登場するのが、16歳のエンジニア「もこ」さんだ。もこさんは、東京都千代田区に本社がある、クラウドコンサルティングなどを手掛けるクラスメソッドの札幌オフィスで、クラウドエンジニアとして働いている。高校へは進学せず、エンジニアとして働く道を選んだ。
文部科学省の「学校基本統計」によれば、日本の高校進学率は98.8%(平成30年度、通信制を含む)。誰もが当たり前のように高校に進学している。なぜ、もこさんは就職の道を選んだのか。番組収録後に聞いた。
■小6でパソコン自作、サーバー運用もしていた
——今はどんな仕事をしていますか。
AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)事業本部でクラウドエンジニアをしています。お客さんのビジネスにおける、サーバー面での課題解決が主な仕事です。例えば瞬発的に大量のアクセスが来るサイトで、突然トラフィックが増えたときにサーバーのリソースを使い切って、サイトが落ちてしまうという課題を抱えていたとします。サーバーを増やしても、平常時は1台しか使わないのだから、増やすお金がもったいない。管理も大変。そういうときに、AWSを使った課題解決を提案し、構築する仕事をしています。
——なぜ就職を選んだのですか。
小学校2年生の時に、家のパソコンでインターネットを使い始めました。自分で検索しながら学び、6年生のときには自由研究で自作パソコンを作り、サーバー運用を始めました。中学の時点で、情報系の大学1年生くらいのレベルに達していたと思います。だから、高校や大学に行く以外の選択肢もあるのではないかと思いました。
中学生の頃から個人でプログラミングをしていて、お金も稼いでいました。卒業後も半年間は個人で活動していて、それから1社目となる会社にクラウドエンジニアとして入りました。就職を選んだのは、もう一歩踏み込んで仕事をしたいと思ったからです。クラスメソッドは2社目になります。
——高校に進学し、大学でより高度な勉強をしたいとは思わなかったのでしょうか。
大学と現場にはギャップがあるんです。勉強を頑張って大学に入って、そこで「やらされる」感じで学ぶよりは、現場で勉強したほうがいいと思いました。家族も、中学時代から個人で活動していることを知っていたので、大きく反対されることはありませんでした。
■年齢に関係なく「実力」で採用された
——クラスメソッドにはどんなきっかけで入社したのですか。
1社目で担当していたAWSについて調べている時に、クラスメソッドのエンジニアが書いているブログを見つけて知り、応募しました。
二次面接にあたる試験では、40人くらいが参加するオンラインミーティングの中に入って実際の仕事と似たようなAWS環境の構築をして、レビューをもらいます。他に中卒で入社している人はいないので年齢には驚かれましたが、技術が好きであることと技術力を見て採用してくれました。
一緒に働いている人には30代や40代の人が多いので、「うちの子供と同じ年齢の子が働いているぞ」と言われます(笑)。
——社外のお客さんに驚かれることはありませんか。
社外には、年齢はあまり気づかれていないと思います。テレビ会議に出ても、普通に進んでいきますね。
■「アウトプット」できるのがいいエンジニア
——進学ではなく就職を選んで、今の職場環境はどうですか。
楽しいです。趣味でプログラミングをやっていた頃と同じような領域の仕事なので、好きなことができている実感があります。それと、情報を集めて、蓄えて、実践して、アウトプットできる環境なのが大きいです。
会社はエンジニアが技術系のブログを書いてアウトプットすることを推奨しています。エンジニアは、知識を蓄えるだけでは死んでしまいます。蓄えた知識をどう使ったのか、自分で記事を書いたりイベントに参加したりしてアウトプットするのがいいエンジニアになるためには必要なんです。
私自身も、「もこ」としてブログを書いています。自分のノウハウをアウトプットしたり、イベントに行ってきた報告を書いたり、時には遊びに行った話を書くこともあります。こういうブログを書ける会社は、あまり多くないと思います。
この番組に出ることになったきっかけも、ブログだと思います。他社の人が番組スタッフに紹介してくれたみたいなんです。社長がSlackに出演依頼のメールをそのまま貼ったら、みんなが「おおーっ」と盛り上がって、引くに引けなくなりました(笑)。
——ブログ以外に、今の環境でいいと思っているところはありますか。
自分の弱点がわかることです。うちの会社は、自分から手を挙げて案件に参加するシステムなんです。「○○構築案件」といった仕事がSlackに流れてきて、「やります」と手を挙げた人が担当します。そうすると「これ、手を挙げられないな」という仕事が出てくるんです。そこで、苦手なものに気づけます。それは大事なことだと思っています。
■「好きな人ほど力を伸ばせる」世界
——大卒でエンジニアになるよりも、7年早いキャリアのスタートです。この先どうなりたいですか。
スタートが早いことは、エンジニアとしては成長できると思います。今の会社には、AWSの認定資格を11個すべて取得している人も多数いて、まだまだ技術的な知識が浅いと実感します。この先どうなりたいかは即答できませんが、もっと技術力を伸ばしていきたいなと思います。
——就職のためにエンジニアになったのではなく、小学校の時からプログラミングが純粋に楽しいと思ってやってきた延長線上に今がある、という実感でしょうか。
そうですね。情報系の高校、大学で勉強をしてきた人が、みんな技術が好きで得意とは限りません。一方で、趣味でプログラミングなどをしている人たちの技術力にはすごいものがあります。好きでやっている人のほうが、圧倒的に力を伸ばせる世界なんです。少なくとも、今の職場には技術が好きな人しかいないので、それはいい環境だと思っています。
何でも「インターネット検索」ができてしまうこの時代に、あえて「ネット検索で出てこない"私だけが知っている"オモシロ情報とは?」という問いで全国の方々にネタを大募集。投稿された情報を番組スタッフが徹底取材し、スタジオでは「検索の達人」たちが持ちうるスゴ技を駆使してネット検索。もしもその情報が検索でヒットしなければ「ダーレモシラナイ日本の新知識」に認定する。「テレビの取材力」と「インターネット検索」にスポットを当てた新感覚のバラエティ番組。
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2003年生まれ。小学2年生からインターネットを始める。6年生のときにパソコンを自作。中学生の頃から個人のプログラマーとして仕事を始める。中学卒業後、2018年10月からファッション系ECサイトで働く。2019年7月よりクラスメソッドに移り、現職。
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(クラスメソッド ソリューションアーキテクト(クラウドエンジニア) もこ 構成=プレジデントオンライン編集部)
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