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アラフォー女性の"年下婚活"が超非効率なワケ

プレジデントオンライン / 2019年9月1日 11時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/takasuu)

マッチングアプリで婚活しても、なかなかいい人に出会えない……。そう嘆く読者も多いだろう。『言ってはいけない 残酷すぎる真実』などの著書がある作家の橘玲さんが、マッチングしない理由をわかりやすいデータで示す。

■婚活中37歳女性の嘆き

「マッチングアプリに登録してみたんですけど、全然いい人がいないんですよ」

A美さん(37歳)は昨年末、結婚につながる出会いを求め、会員数100万人以上の大手マッチングアプリに登録した。アプリ上に登録された相手の写真とプロフィールを見て、気になれば「いいね!」ボタンを押し、相手がそれを受け入れれば「マッチング」が成立する。その後は互いにメッセージを送りあい、親しくなれば実際に会ってみる――という仕組みになっている。

ところがA美さんによると、「年が近い男性と知り合いたいのに、マッチング後のメッセージがほとんど来ない。来ても返信が遅かったり、質問しても一言しか返ってこないんです。熱心に誘ってくるのはアラフィフの男性ばかりで……」

A美さんの希望は、自分の年齢プラスマイナス5歳、つまり32歳から42歳の男性だったが、うまくいかないので、メッセージをくれた45歳の男性と会ってみることにしたという。

建設会社で技術職についているというその男性は、年収800万円前後(と自己紹介欄に書かれていた)で、身長も平均以上はあり、見た目もけっして悪くなかった。

「職場に女性がほとんどいないので、思い切ってアプリに登録してみたんです」という男性に、A美さんは当初、好感を抱いたという。

だが、「いつからアプリに登録しているんですか?」というなにげない質問が、この男性の「本性」を早々にあぶり出すことになる。

■45歳男の信じられないひと言

「登録は1年前なんですけどね。最初の3カ月くらいは、20代後半から、30代半ばまでの女性を検索していたんです。でも、若くてきれいな女性には、僕みたいなおじさんは相手にされないってことがわかりました。だから思い切って、年齢の許容範囲を尋常じゃないくらい広げてみたんですよ。ハハハ!」

「へえ~、そうなんですか。苦労されたんですね」

愛想笑いをうかべつつ、彼女が内心カチンときていたのは、言うまでもない。

(つまり、37歳の女=私は、妥協した結果ということね)

(まだ若い女に未練がありそうだし、私より若い人とマッチングしたら、ホイホイそっちにいくんだろうな……)

この男性は「とても若く見えますね!」ととって付けたようなお世辞を言い、早々に次回の会食」を申し込んできたが、A美さんは「仕事が忙しいので」とその誘いをスルー。今は自らメッセージを送った35歳の男性とのやりとりを続けているという。

こうした「よくある体験」について、なぜこんなことになるのか、橘玲さんに読み解いてもらう。

■女性が魅力的と感じる男性の年齢

不特定多数の男女が集うマッチングサイトでは、このような「男女の欲望のすれ違い」が顕著に現れます。

図表1は、アメリカのある婚活サイト(Okキューピッド)の統計をもとに、婚活中の女性が魅力的だと思う男性の年齢を「見える化」したものです。

縦軸は女性の年齢、横軸はそれぞれの年齢の女性が「1番魅力的」と考える男性の年齢で、斜めの点線が同年齢の男女が交わるラインです。女性が自分と同い年の男性に魅力を感じている場合、この点線の上に数字が並ぶことになります。

これを見ると、20代の女性は「自分より少し年上」を好み、30代になると「同い年か少し年下」になり、40代に入ると、対角線を離れてほぼ垂直方向に下がっています。40歳から50歳手前にかけては、女性は10歳前後年下の男性に魅力を感じ、49歳と50歳で再び自分の年齢に近い男性を好むようになります。

女性は「まあ、そうだろうね」と納得するかもしれませんが、男性はこの結果にショックを受けます。男の間では、「女は年齢にかかわらず年上の男を好む」とされているからです。

それでは、男の好みはどうなっているのでしょうか?

「いくつになっても若い女ばかり追いかけて、男って本当にバカだよね」と思っている方に、それを証明するデータをお見せしましょう。

■「男っていくつになってもバカ」を見える化

図表2は、同じ婚活サイトに登録した男性が、自分が魅力的だと思う女性の年齢を見える化したものです。

グラフの右側がぽっかりと空白になっているのは、スマホの画面やPCのモニタが壊れているわけではありません。20代の若者でも、50歳以降のシニアでも、男が魅力的だと思う女性の年齢は「20歳と21歳」に集中し、25歳を超えることはないのです。「男はたいてい年下の女が好き」とわかってはいても、まさかここまでとは――と、驚いたのではないでしょうか。

「サンプル数が少ないのでは?」と疑うかもしれませんが、この婚活サイトは年間100万人以上が利用しており、学術的にも十分信頼に足る研究です。

もちろん全ての男性が若い女にしか興味がないわけではなく、年上の女性に魅力を感じている男性もいるにはいます。データの詳細を見ると、20代前半の若者のごく一部は30代半ばの女性、20代後半の一部は40代前半の女性に魅力を感じています。とはいえ、こうした「年上好き」は、30代以降になると突然消えてしまうようです。

ほとんどの男性が興味を持つ女性はほぼ20代に集中し、年上でも30代半ばまで。30歳以上の男にとって、「5歳以上年上の女性は対象外」ということになります。

■自分の年齢+5歳の男性がおすすめ

建設会社に勤める45歳の男性が20代後半から30代半ばまでの女性を検索したのは「男の本性」として当然ですが、もちろんそんなうまい話はありません。「若い女性に望まれていない」ことに気づけば、「バカな男」も多少は正気に戻ります。同じ婚活サイトで調査した「男性が実際にメッセージを送った女性の年齢」のデータを見ると、実際の男の行動がわかります。

それによると、35歳までの男は「20代の女性」に執着していますが、36歳になると、1番多くメッセージを送った相手は「30歳の女性」になります。そして40歳になると35歳の女性が最多となり、45歳になると、40歳の女性に最も多くアプローチする。つまり、自分の年齢が5歳上がるたびに、対象女性の年齢を5歳引き上げているのです。

「できれば若い女性と付き合いたいけど、10歳も離れるとちょっと無理かな」と男たちは不安になり、「5歳くらいならなんとかなるのでは」と希望を託すのでしょう。

ここから、A美さんのような37歳の女性は、「自分の年齢プラスマイナス5歳」ではなく、「自分の年齢プラス5歳以上」で相手を検索したほうが効率がいいということになります。「同年齢の男性がいい」と思っても、35歳の男(の大半)は、自分より5歳若い女性にせっせとメッセージを送っているのだから、努力が報われる確率はさほど高くありません。

■年齢の壁を越えてパートナーを見つける道はあるか

45歳を過ぎると男はようやく40歳の女性を口説きはじめますが、50歳を超えると45歳の女性に対して積極的になるかというとそうともいえず、アプローチするのは40歳のままです。

その理由はおそらく、「すべての生物は、後世により多くの遺伝子を残すように設計されている」からでしょう。男が若い女性を好むのは、妊娠可能期間が長い分だけ自分の子どもをたくさん産んでくれると(無意識に)思っているからです。自身の人生を安泰に終えたとしても、生殖に失敗すればそこで遺伝子は途絶えてしまいます。それを回避するために、(ヒトを含む)すべてのオスはより多くの子供を作ろうとするようプログラミングされているのです。

そうした「本能」に従った結果、婚活サイトの男たちはここまで説明したような行動をとることになります。婚活中の女性は、この「不愉快な事実」を受け入れた上で、いかにして最適のパートナーを出会うかを考えるべきでしょう。

とはいえ、がっかりすることはありません。全体から見れば少数ではあるものの、女性を年齢だけで判断しない男性も存在します。そんな相手はどこにいるのか。年齢の壁を超えてパートナーを見つける方法はあるのか。次回はそこについてお話しましょう。

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橘 玲(たちばな・あきら)
作家
1959年生まれ。作家『マネーロンダリング』『タックスヘイヴン』などの国際金融小説のほか、『お金持ちになれる黄金の羽の拾い方』『幸福の「資本」論』など、金融・人生設計に関する著書多数。『言ってはいけない 残酷すぎる真実』で2017年新書大賞受賞。近著に『働き方2.0vs4.0』『人生は攻略できる』『上級国民/下級国民』など。

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(作家 橘 玲 写真=iStock.com)

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