墓が遠くて困り果てた人が取るべき3つの手段
プレジデントオンライン / 2019年9月15日 11時15分
▼お墓編
遠方の墓を家の近くに移す正しい手順
■墓の悩みは「祭祀承継者」にかかっている
墓については「すでに墓があるのか、ないのか」で選択肢は変わる。墓がない場合、すでにある身内の墓に入るのか、それとも新たな墓を求めるのかを決める必要がある。
「納骨のタイミングについては実は決まったルールがなく、菩提寺との相談になります。すでに墓がある場合は四十九日に合わせて納骨するのが一般的ですが、菩提寺や墓がない場合は、新しい墓が決まるまで骨壺のまま、自宅に置いても構いません」(行政書士の明石久美氏、以下同)
親が管理していた墓はあるものの、墓地が遠方にあり、今後の管理を引き受けるのは難しいというケースも考えられる。
「選択肢としては、まずその地域に住む親族に祭祀承継者として墓を管理してほしいとお願いする方法があります」
親族の承諾が得られれば、墓の永代使用権を引き継ぐ。今後はその親族が寺院や霊園と契約し、維持費を負担することになるため、その費用をどうするのか話し合う必要がある。
では、管理を引き受けてくれる親族がいない場合にはどうすればいいのか。
「寺院や霊園が遺骨を管理・供養してくれる『永代供養』にする選択肢もあります。永代供養には、従来の墓のまま、永代供養扱いにしてもらう方法と、従来の墓から遺骨を取り出し、『永代供養の墓』に移す方法の大きく2つがあります」
■納骨堂、樹木葬、合祀墓など種類もさまざま
従来の墓のまま、永代供養扱いにしてもらう選択肢があるかどうかは寺院や霊園によって異なる。また、永代供養の墓といっても、納骨堂、樹木葬、合祀墓など種類もさまざま。
「ほかの遺骨と一緒に埋葬される合祀タイプの場合は、後から遺骨を分ける『分骨』や、ほかの墓に移す『改葬』をしようとしてもできないことがほとんど。親族と話し合いをせずに決めると、深刻なトラブルに発展しかねません。しっかり話し合い、慎重に進めましょう」
遠方の墓を自宅の近くに移したい場合はどうなのだろうか。
「改葬の手続き自体はさほど煩雑ではありません。ただ、親族からの反対に加えて、従来の菩提寺とのやりとりがスムーズにいかないケースもあるので要注意です」
その寺院以外の場所に改葬すると、寺院と檀家の関係は終わる。寺院としては収入が減ることにつながるため、なんとか引き留めようと、「改葬許可申請書」への署名・捺印を渋ったり、時には法外な離檀料を請求したりするケースもある。
「依頼先が寺院の場合にはまずは先方の住職に会い、事情をしっかり説明し、理解を得ることをおすすめします」
永代供養も、改葬も親族といかに話し合いができるかが鍵
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(1)遺骨を移転する「改葬」は菩提寺・自治体・石材店へ
新たな墓などに「遺骨」を移す「改葬」。墓石は基本的に移転できないため、遺骨のみの移転となる。手続きは従来の墓がある市区町村役場で「改葬許可申請書」を受け取り、寺院など墓地管理者に署名捺印をもらったうえで提出。「改葬許可証」を受け取り、移転先の墓地管理者に提出する。同じ寺院の永代供養の墓に遺骨を移す場合は役所での手続きがいらないケースが多い。従来の墓は石材店に更地にしてもらう。
(2)勝手な散骨は条例違反になる可能性も
遺骨を粉砕し、パウダー状にしたものを海や山、成層圏などに撒いて弔う「散骨」。日本では散骨にまつわる法律はないものの、好き勝手に散骨していいわけではない。遺骨だとわかる状態で散骨すると、遺骨遺棄罪とみなされる恐れがある。また、「熱海市海洋散骨事業ガイドライン」のように、散骨のルールを条例として定めている自治体もある。なるべく散骨業者に依頼し、ほかの人が不快な思いをしないよう配慮が必要だ。
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行政書士
明石シニアコンサルティング代表。相続や終活のコンサルタントとして活躍。全国の企業や団体に向け年間120件以上のセミナーを行っている。
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■▼身近な人が亡くなったとき、墓はどうするべきか?
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ライター
1973年生まれ。東北大学大学院経済学研究科博士後期課程満期退学。編集プロダクション「馬場企画」を共同経営。マネー系の話題を中心に週刊誌などで活躍中。
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(ライター 島影 真奈美 撮影=研壁秀俊)
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