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認知症の前兆ありの親を病院へ連れ出す"方便"

プレジデントオンライン / 2019年9月7日 6時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Juanmonino

2025年には700万人に達するといわれる認知症患者。家族はどんな準備をしておけばいいのか。今回、7つのテーマに分けて専門家に聞いた。第1回は「初期対応」について――。(全7回)
▼初期対応
「老親が認知症かもしれない」と思ったらどうするか

■「一人暮らし」できるケースも

親の認知症に早目に気付くには、「ちょっとおかしいな」と思ったことをメモしておくことが有効です。「何月何日にこういうことがあった」とメモをして、親が認知症の専門医を受診するときに伝えると、診断や対処に役立ちます。

「もしかしたら」と思ったら、とにかく早く専門医を受診することが大事です。しかし、親に「精神科に行こう」とは、なかなかいい出せません。また、いうことができても親が拒否することもあります。そこで、嘘も方便と「70歳以上は全員、認知症の検査を受診することになった」とか「今月中だと、認知症の検査は無料。来月からは有料になるよ」と話すなど、みなさん苦労して専門医受診を促しています。ただ、本人のためとはいえ、「食事に行こう」などと誘って病院に連れていくようなことはNGです。本人が「だまされた」と思ってしまうと、今後のコミュニケーションにも影響しますから。

■「何ができなくなっているか」を見極めてサポートする

認知症の疑いがある場合に受診するのは、精神科、神経内科、老年科、もの忘れ外来など。病院によって担当科の名前が異なります。どこに行くべきかわからないときは、地域包括支援センターに問い合わせましょう。内科や整形外科などですでに主治医がいる場合は、そこから紹介してもらうとスムーズにいくケースもあります。

認知症と診断されると、たいてい投薬治療が始まります。自分で薬の管理ができるなら大丈夫ですが、自分で管理ができない状態になっていると、薬を出してもらえないこともあります。飲み忘れを防ぐ「お薬カレンダー」などのツールで管理できることもあるので、適正な対処法を医師や薬剤師と相談しましょう。それでも本人が管理できない場合は、毎日、地域包括支援センターを訪れて飲むなどの工夫をされたケースもあります。早めに受診すると治療の効果も出やすく、薬の管理を自分でできるうちに飲み始めて進行が緩やかになると、その先も自立した暮らしを長く続けられ、親のためにも子供のためにもなります。

認知症と診断されたら、「一人暮らしをさせるのはもうムリ」と思ってしまう人が多いのですが、必ずしもそうではありません。認知症患者でもその人によってできることとできないことが違っていますし、認知症と診断されたあとも、薬を飲んで進行を抑えながら一人暮らしを継続している人はたくさんいます。

ただ、病気の進行が緩やかになっても、親がどのような部分で何ができなくなっているのかを常に見守り察知していく必要はあるでしょう。お金の計算ができなくなるくらいならいいでしょうが、火の始末ができなくなると、近隣に火事の被害を出す恐れもありますから、認知症によって「何ができなくなっているか」を見極めてサポートする、あるいは改善方法を探すことが必要です。

▼おかしいなと思ったらメモしておこう

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太田 差惠子(おおた・さえこ)
介護・暮らしジャーナリスト/NPO法人パオッコ理事長
遠距離介護、仕事と介護の両立、介護とお金などの視点で情報を発信。『親が倒れた! 親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと 第2版』など著書多数。

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(介護・暮らしジャーナリスト/NPO法人パオッコ理事長 太田 差惠子 構成=生島典子)

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