アルツハイマー型など"4大認知症"の違いとは

プレジデントオンライン / 2019年9月15日 17時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/SIphotography

2025年には700万人に達するといわれる認知症患者。家族はどんな準備をしておけばいいのか。今回、7つのテーマに分けて専門家に聞いた。第4回は「種類と進行」について――。(全7回)
▼種類と進行
アルツハイマー型、前頭側頭型……4大認知症はこう違う

■実は別の病気のこともある

認知症にはいくつかの類型があり、数が多い順に、アルツハイマー型、レビー小体型、脳血管性、前頭側頭型などが挙げられます。

アルツハイマー型は、脳細胞にアミロイドβをはじめとする老廃物が溜まり、徐々に細胞が死滅して、脳が萎縮する病気です。短期記憶をつかさどる海馬が最初に萎縮するため物忘れがひどくなり、同じことを何度も聞く、簡単な計算ができなくなる、道に迷うといった症状が見られます。

レビー小体型とは、脳の神経細胞を顕微鏡で観察してレビー小体というかたまりが観察されることからその名前がつきました。几帳面な性格の人、たとえば公務員や先生をしていた人、あるいは中年期にパニック障害や鬱の傾向があった人に発症するケースが目立ちます。幻視が特徴的で、歩行障害や薬剤過敏症や大声での寝言などの特徴的な症状がある一方で、短期記憶は比較的保たれている場合が多い。諸症状の個人差も大きく診断が難しいときがあります。

■対処が早ければ健常な状態に戻すことも十分可能

脳血管性認知症は、脳の血管が詰まる「脳梗塞」や血管が破れる「脳出血」などの脳血管障害などにより、その周囲の神経細胞がダメージを受けて発症します。症状はダメージを受けた部位により異なり、判断力や記憶は比較的保たれている一方、言語障害が目立ったり、意欲や自発性がなくなったり、感情の起伏が激しくなる症状が見られます。発症後も脳出血や脳梗塞の再発のたびに階段状に症状が進行することもあります。

前頭側頭型認知症は脳の前頭葉と側頭葉の神経細胞が壊れていく病気です。「ピック球」というかたまりが観察されるケースが多く、「ピック病」とも呼ばれます。芸術家や自由業、自営業の人などに多く、興奮しやすく衝動的になり、周囲に合わせられなくなります。よく銀行や病院の窓口でキレて怒鳴り散らしているお年寄りがいますが、前頭側頭型認知症の可能性があります。ただこの病型は少量の向精神薬を使うことで通常の社会生活を保つことができます。病院に連れていくまでが大変なのですが、医療の力が一番発揮できる認知症とも言えます。

以上の分類はあくまで便宜的な記号のようなもので、実際には加齢にともなって複数の要素が混じりあい割合が変化していきます。

素人目には認知症でも、実際には甲状腺機能低下症や正常圧水頭症で、内服治療や外科手術で改善できることもあります。それを鑑別するのが医師の役割。認知症診療では必ずCTやMRIなどの画像診断や血液検査により、治る認知症を見逃さないことが大切です。

認知症の症状が一部に見られるが、日常生活に大きな支障がない状態をMCI(軽度認知障害)と呼びます。対処が早ければ健常な状態に戻すことも十分可能。本格的な認知症化を防ぐためにも家族が異変に気づき認知症に詳しい医師に相談することが大切です。

▼軽度認知障害だったら「治る」ことも

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長尾 和宏(ながお・かずひろ)
長尾クリニック院長/医学博士
東京医科大学卒業後、大阪大学第二内科に入局。1995年兵庫県尼崎市で開業。複数医師による365日無休の外来診療と24時間体制での在宅医療に従事。

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(長尾クリニック院長/医学博士 長尾 和宏 構成=久保田正志)

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