日本人が選びがちな"報われない投資手法"とは
プレジデントオンライン / 2019年9月6日 6時15分
■長期投資の制度は整っている
日本では多くの人たちが投資を相場で勝負する投機的行為と誤解していていまだに敬遠しがちです。けれども、本物の投資はお金を経済活動に働きに出す行為であり、投資先の長期的な成長からリターンが還ってお金が育つのだ、と従前の当コラム「日本人が投資でお金を増やす人を嫌うワケ」でお伝えしました。
プレジデント ウーマン読者の皆さんには、本物の投資へと行動を起こして、成長からのリターンを得ることで自ら納得できる豊かな人生創りを実現してほしいと切望しています。そして、その実践の場としての「iDeCo」と「つみたてNISA」の有効活用を前回「月3万積立30年でお金はどれだけたまるか」で解説しました。
「iDeCo」も「つみたてNISA」も徹底した長期資産形成を目的として構築されている制度です。すなわち本物の投資によって、経済成長から得られるリターンをコツコツと積み上げていく絶好な機能を有しているわけです。ということは、両制度を通じて長期投資の成果を合理的に実現するためには、将来にわたって成長が見いだせる投資先にお金を働きに出すことが肝要だと気付くでしょう。
■お金が安定的に増える運用先とは
資産運用において最も普遍的に長期の成長軌道が見いだせるお金の働き場所はどこか? 世界的潮流として定着している考え方は地球全体です。地球経済、つまり世界経済全体は過去から現在に至るまで基本的にずっと成長を続けています。無論その時々で成長をけん引する主役は次々と入れ替わりますが、世界全体としての成長ペースは長期的に3~5%程度の範囲で、毎年極めて安定した軌道を示しているのです。
プロの運用においても、世界の経済成長という軌道にお金を載せてリターンを積み上げていく考え方がメインストリームになっており、これを国際分散投資といいます。それをかなえるべく世界中の経済活動に分散させてお金が働きに出られるよう構築された資産配分を国際分散型ポートフォリオと称しています。
ここで大切なことは、しっかりと世界の経済成長を取り込める適切なポートフォリオの商品を選択することです。それは地域の偏りなく地球経済全体に分散して投資することであり、世界経済にくまなく一定のルールにのっとって分散させることです。換言すれば特に高いパフォーマンスが期待できる地域を選別することなく、いつも世界全体の成長軌道を捉えて、そこに相応なリターンを享受していく、言わば「足るを知る」考え方でもあるのです。
■日本人が選びがちなポートフォリオ
日本では国際分散型ポートフォリオといっても、「私たちは日本人だから」と日本への投資比率が高い商品が多くなっています。しかし、日本は21世紀に入って以降世界の経済成長率をずっと大きく下回る成長力にとどまっており、日本への投資配分を大きくしていると、世界全体の成長力そのものを取り込むことが難しくなります。ですから、相対的に日本の投資比率が高い国際分散型の商品は避けた方が無難ではないかと考えています。
また、国内市場だけのポートフォリオで運用するものや、日経平均やTOPIXといった代表的なインデックスファンドだけでは、成長力の脆弱(ぜいじゃく)な日本経済に専ら依拠してしまうことになります。資産形成を目的にするならば、この選択肢のみに集中することはいくら長期保有しても合理的には報われにくいといえるのではないでしょうか。
■有望かどうかの判断は不要
グローバルに投資する商品の中でも、日本を除いたポートフォリオの商品がありますが、これはこれで世界全体をカバーしていないことになります。日本経済は停滞が続いているとは言っても世界経済の6%を占める世界第3の経済大国ですから、相応の比率で組み入れておくことも必要だといえましょう。国際分散投資の肝要は、ここが有望そうだとか、こっちはダメそうだ、といった憶測を排除して世界全体の経済軌道に虚心坦懐(きょしんたんかい)に乗り込むことにあるのです。
世界全体の滔々(とうとう)と流れる大河のごとき成長軌道にしっかりと時間を味方につけてお金を働きに出すことによって、経済の成長の恩恵を受けてお金が育ってくれる。その果実を私たち日本の生活者がしっかりと取り込むことで、たとえ拠って立つ日本経済がこの先も元気になれなかったとしても、私たちのお金が豊かな人生創りの糧となってくれるはずです。それを合理的にかなえてくれる投資行動3原則が「長期・積み立て・国際分散」投資なのです。
「iDeCo」も「つみたてNISA」も長期で積立投資を自然と実践させてくれる仕組みが構築されています。あとは世界全体を的確に網羅する国際分散型ポートフォリオの商品をしっかりと選択することです。このコンセプトで真摯に運用してくれるお相手(商品であり運用会社)を自らの目で見つけ出して、プレジデント ウーマン読者の皆さんは将来の経済的自立へ向けて、早速行動を起こしてください!
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セゾン投信・代表取締役社長
1987年明治大学卒業、クレディセゾン入社。関連会社資金運用部にて債券のポートフォリオ運用に従事後、投資顧問事業を立ち上げ運用責任者としてグループ資金運用や、海外契約資産の運用アドバイスを手がける。2006年セゾン投信を設立。
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(セゾン投信・代表取締役社長 中野 晴啓 写真=iStock.com)
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