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座る時間が長い人ほど認知症になりやすい訳

プレジデントオンライン / 2019年9月16日 17時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/parinyabinsuk

2025年には700万人に達するといわれる認知症患者。家族はどんな準備をしておけばいいのか。今回、7つのテーマに分けて専門家に聞いた。第5回は「治療・予防法」について――。(全7回)
▼治療・予防法
最大リスクは糖尿病。頼れる医師をどうやって探すか

■ランニングよりもウオーキング

認知症はケアのやり方や生活習慣を見直すことで、症状の進行を止めたり、進行を緩やかにすることが可能な病気です。

認知症を引き起こす最大のリスク要因は糖尿病。肥満になると、細胞内の老廃物を排出する働きを有するアディポネクチンというホルモンが低下し、アミロイドβなどが脳細胞から排出されず溜まった結果、アルツハイマー型認知症を発症することがわかってきました。認知症予防には糖尿病を防ぐ生活習慣を守ることが大切です。

食事でいえば糖質の過剰摂取を改めてバランスの取れた食事にします。またオリーブオイルなど体によい油を摂ること。いきなりご飯を食べずに最初に野菜を食べるなど、食べる順番にも気をつけます。また高血圧も認知症の危険因子で、まずは減塩が基本です。医師や栄養士の指導に従ってください。もう1つ大事なのが、日々の歯のお手入れです。歯の本数と認知症には強い相関があることがわかっています。

食べることと並んで重要なのが運動です。なかでも効果的なのは軽い有酸素運動です。特に高齢者にはランニングではなくウオーキングがお勧めです。歩くことで脚部の骨や筋肉からメッセージ物質が放出され、それが脳、特に短期記憶の仮置場である海馬に作用して、神経細胞の再生を促したり、脳のなかの神経伝達物質であるアセチルコリンの分泌を増やし、脳の血流を増加させます。

■座っている時間が長い人ほど認知症になりやすい

日々の生活の中でこまめに歩くことがなによりも大切です。短距離の移動に車や自転車ではなく、リュックサックを背負い両手を大きく振って歩くようにしましょう。椅子に座っている時間をできるだけ短くするよう心がけます。座っている時間が長い人ほど認知症になりやすいことがわかっています。

Getty Images=写真

認知症予防協会では「あれっ?」と思ったときに簡単に自己診断できるよう、簡便な「認知症自己診断テスト」をネット上で公開しています。そうしたテストなどで家族の誰かが認知症ではないかと感じたら、市町村の医師会が認定している認知症サポート医など、認知症に詳しい医師に相談することをお勧めします。各区市町村が運営する「地域包括支援センター」や医師会も、認知症についての相談窓口を設けています。

日本には60万人もの「中高年の引きこもり」がいるとされています。その中には相当数のMCIがいるのではと想像します。ご本人のためにもご家族のためにも、早い段階で医師に相談することが理想です。しかし引きこもりに限らず多くの人は医療機関の受診を嫌がります。当然、認めたくないという自尊心が関わっています。実際、うっかり「認知症の検査をします」と突然持ちかけたら、「誰が認知症だ!」と怒りだしてしまうことが多いのです。

私の場合、適当に口実を作って家にお邪魔し、仲良くなったところで、「実は医者もやっていますが」と打ち明け、「よかったら1度健康診断を受けますか」と丁寧に話してから、検査を受けていただくケースもあります。いい言葉を選び、自尊心を傷つけない対応を常に心掛けています。

▼受診させるには当人への十分な配慮を

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長尾 和宏(ながお・かずひろ)
長尾クリニック院長/医学博士
東京医科大学卒業後、大阪大学第二内科に入局。1995年兵庫県尼崎市で開業。複数医師による365日無休の外来診療と24時間体制での在宅医療に従事。

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(長尾クリニック院長/医学博士 長尾 和宏 構成=久保田正志)

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