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「実家の親はボケてない」と安心する人の末路

プレジデントオンライン / 2019年9月23日 6時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Obencem

2025年には700万人に達するといわれる認知症患者。家族はどんな準備をしておけばいいのか。今回、7つのテーマに分けて専門家に聞いた。第6回は「保険適用の実際」について――。(全7回)
▼保険適用の実際
体は健康でも生活がつらい。「介護保険」の対象になるか

■区役所などの窓口で申請を

認知症は介護保険の対象になります。『令和元年版高齢社会白書』によれば、認知症は65歳以上の人が要介護者となった原因の18.7%を占めています。

介護保険の支給を受けるには、区役所などで「要介護認定」の申請をし、医療機関を受診したうえで、「要介護」または「要支援」と認定してもらう必要があります。65歳以上の場合、介護が必要と認定されれば、原因を問わず介護保険サービスが利用できます。

今は医療費の高騰もあって、病院で長期入院を認めない方向になっています。その分、退院した人の受け皿が必要になっており、介護保険がその役割を担っています。

「要介護」に認定された場合、「居宅介護支援事業所」などでケアプランが作成され、症状の悪化防止のためのリハビリや生活補助などのサービスが受けられるようになります。1カ月に利用できる介護保険サービスの上限は要介護度の段階によって変わり、上限をオーバーした分は自己負担になります。

■より軽度な「要支援」の場合

より軽度な「要支援」の場合は、市区町村の「地域包括支援センター」などで「介護予防ケアプラン」が作成されます。ただ、私たち現場の感覚としては、要支援は介護保険の対象からは外される方向で扱われているように思います。サービスも、できるだけ体を動かし、動ける状態を維持していくことに重きが置かれ、ボランティアを活用することも多くなります。

要介護認定の際には主治医の診断書が必要ですが、専門医でなくても構わないので、本人が受診を嫌がる場合は、「健康診断に行こう」などと言い方を工夫し、かかりつけの病院に症状を伝え、診断書を書いてもらうといいでしょう。受診の際には親だけに任せず、子供も付き添って、医師の質問に正確に答えるよう配慮しましょう。要介護認定が出るとケアマネジャーがつけられ、いろいろと相談できるようになります。

親が高齢になったら、認知症が疑われるようになる前に、遺言書や任意後見契約などを手配し、親子で話し合って「エンディングノート」を作成しておきましょう。

エンディングノートは、自分の死を想定して書くものとは限りません。「もし認知症になったらどんな生活をしたいか(ずっと自宅がいいのか、介護施設に入るのか)」「好みのライフスタイルは何か(お酒を飲みたいとか、旅行のようなアクティビティをしたいとか)」といった希望を、将来に備えて書き留めておくものです。

そして親の希望をかなえるためにどのような介護態勢をとるか、子供たち同士で役割分担を決めておきましょう。1人に任せず、兄弟姉妹で協力していくことです。

久しぶりに実家に戻って親の顔を見たとき、「ボケてなくてよかった」と胸をなで下ろすのではなく、「今のうちに対策を考えておかなければ」と、発想の転換が大切です。

▼エンディングノートを用意しましょう

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鈴木 雅人(すずき・まさと)
行政書士・社会福祉士/「人生最期の付添人」
みそら行政書士・社会福祉士事務所代表。後見人として10年以上活動し、相談件数は7000件超。著書『認知症700万人時代の失敗しない「成年後見」の使い方』など。

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(行政書士・社会福祉士/「人生最期の付添人」 鈴木 雅人 構成=久保田正志)

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