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心理学者「"自分が死ぬ夢"を見たら喜んでいい」

プレジデントオンライン / 2019年11月3日 11時15分

PIXTA=写真

心理療法において人間の内面を理解するのに有効な手段の1つとされる夢分析。昨日見た夢にはどんな意味があるのか。心理分析の専門家に話を聞いた。

■蛇が出れば億万長者!?「あなたの夢」分析ノート

夢を理解するために、まず知っておきたいのが夢の「ストーリー性」です。例えば、犬に追いかけられる夢を見たとします。追いかけられてその後どうなったのかに注目を。逃げ切れたのか、逃げたときに誰かが助けてくれたのか、振り向いて戦ったのかなど、追いかけられた後どのように展開したかを見ることが大事です。ストーリーの変化は心の変化。夢分析で重要視される部分です。

「反復夢」と呼ばれる、同じテーマの夢を見る人がよくいますが、ストーリーは月日の経過とともに変わっていきます。誰かに追いかけられる夢を見たら、「今までは怖かったけど、今回は追いかけてくる人の顔を見ることができた」「よく見るとそんなに怖い人じゃなかった」など、起こる変化に注目してみましょう。

1つ例をあげると、私の友人で、光の玉に追いかけられる悪夢を見る人がいました。最初は必死で逃げていくのですが、何回も見るうちに、光の玉は自分に追いつけないことがわかってくる。すると徐々に追いかけられるのを楽しむようになってきたそうです。「怖い」と思っていた夢に変化が表れることで、心理的な症状も変わってくることがあります。繰り返し見る夢がどう変わっていくか。心理療法における「夢分析」ではこの部分が実は大きいのです。

■悪い夢を見るのは実は、いいことなんです

夢を理解するうえでのもう1つのポイントは「象徴性」です。例えば「蛇」の夢。蛇は脱皮をする生き物で、死と再生を表す象徴。大きな変化が起こることを表すなど、よい意味があります。

また日本では「白い蛇が夢に出てくるとお金持ちになれる」と言われることもありますが、私はあまり関係ないと思っています。ただ、白い蛇は普通の蛇よりも象徴性が高く、特別な夢であることは間違いない。スピリチュアルな意味や、癒やしの意味がある可能性はありそうです。

夢は逆説的なところがあります。例えば自分が死ぬ夢では、ネガティブに捉える人が多いと思いますが、実際に死ぬわけではありません。自分が大きく変わる、よい意味の可能性があるのです。

実際、悪い夢はいい夢なんです。発達障害の方で、楽しい夢しか見ない人は割と多い。治療が進んでくると、怖い夢や、宿題をしていなくてあせる夢などを見始めて、しっかりした意識ができてくるわけです。ネガティブな夢を見るということは、それだけ課題を持って、なんとかしようと思っていることですから。

夢はすべて逆説で象徴的というわけでもありません。日本では「正夢」と呼ばれるものもあります。例えば、宝くじが当たるなどの大成功する夢を見たら、好機と捉えて行動するのもいいでしょう。ただし夢は必ずズレが生じます。宝くじで大金を得るのではなく、別の方法で、もしかしたら株かもしれません。いずれにせよ、行動しましょう。引き際を大切にして、「なんか違う」と思ったら、潔く撤退することが大切です。

夢は極めて多義的で、人によりコンテクストも異なります。「こんな夢だからこうだ」と、一義的な意味を持たせないことが大切です。

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PIXTA=写真

▼それぞれの夢が表す意味は?

贈与する/される【チャンス到来!】
穴を掘ってみると金貨がザクザク出てきたり、桜の花が小判になったり。何かと交換ではなく、ただ贈与される夢は、何か大きなチャンスがやってくる可能性がある。逆に自分が誰かに贈与する夢も大きな意味が。贈与の夢を見たら現実世界で何かお返しがあると思ってもよさそうだ。


歯が抜ける【自分が変わる】
歯は噛み砕くための機能を持つ。歯が抜けることは、現実を把握できていない、咀嚼できる力が落ちているニュアンスもある。また、体の一部を殺すことでもあり、ある種のマイルドな「死」でイニシエーションにも使われる。その点からいえば「自分が変わる」という意味もありそうだ。
蛇が出てくる【変化と癒やし】
蛇は脱皮をする生き物。そこから死と再生を象徴する。この夢を見たら、身の上に大きな変化が起きるかもしれない。また蛇は古来、薬として使われたり、ギリシャ神話に出てくる蛇が絡まった「ヘルメスの杖」は薬の神様の象徴。癒やしを意味している可能性もある。
空を飛ぶ【自由な心】
年を重ねるごとに見なくなる夢。子どもは自由だからいくらでも空を飛べるが、しかし大人になるにつれて、現実世界で苦しみが増えると飛べなくなる。大人で飛ぶ夢を見る人は、自由な心をキープしているとも、現実離れしていたり、大人になり切れていない部分があるとも言える。
高所から落ちる【現実に着地】
理想の高さを象徴することも。「自分はできる人間だ」などと高い理想を持っていたり、高望みしている状態にいるのであれば、「現実に着地する」ということで基本的によい夢であることが多い。場合によっては、高い地位からの転落を意味することもあるので注意したい。
誰かに殺される【ズバリ、愛!】
殺される夢は、愛の夢。相手との関係が最高値に達しているといえる。殺しにきた相手との関係性と、その人が象徴すること、両方を考えてみる必要がある。また銃など距離がある殺され方なのか、首を絞めるなど近い距離での殺され方なのか、その辺も考えてみる価値はありそうだ。

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河合 俊雄(かわい・としお)
心理学者
京都大学こころの未来研究センター教授。著書に『ユング派心理療法』ほか。発達障害の増加など心理療法の実践から見えてくる現代の意識に関心を持つ。

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(心理学者 河合 俊雄 構成=岩井理紗 撮影=小西健三)

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