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安眠に「赤やピンクのシーツ」がよくないワケ

プレジデントオンライン / 2019年9月22日 17時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/JZhuk

Q. よく眠れるシーツの色があるってほんと?

■消灯したら、寝具の色は見えないが……

人間は目をつぶって眠る以上、本来ならどんな寝具の色だろうと究極的には関係がないはずです。しかし実際にはシーツの色が睡眠に影響しているというアンケート結果もあり、これは心理学上の「プライミング効果」によるものと考えられます。

「プライミング効果」とは、先行する刺激が後の行為や知覚、意味づけなどに影響を与えること。わかりやすい例で言うと、料理の盛り付けがあります。盛り付けと料理の味は実際には関係しませんが、盛り付けが美しいと、そうでないときよりも、料理がおいしく感じるのです。

だから、寝るときにも、電気を消す前に見るシーツの色によって、心が落ち着いたり、安眠に導かれるような効果があるかもしれません。

人間を含む霊長類は、進化の結果、約100万色を見分けることができるようになったとされています。自然界の色以外にも、私たちは日常的にさまざまな用途に応じて色彩でメッセージを発し、また受け取っています。「青=冷静沈着・冷たさ」「赤=情熱・熱」といったように、選挙戦では候補者のネクタイの色に有権者へのメッセージを込め、ボクシングなど一対一の勝負では、互いのユニホームの色が勝敗に影響を与えているという研究結果もあります。

■色彩効果を寝具に取り入れるのもいい

そんな色彩効果を寝具に取り入れるのもいいでしょう。一般的には、いわゆる興奮色とよばれる情熱的な赤よりも、青や緑などの心を落ち着かせる色のほうがいいと思います。それから、不安にさせる色は避けましょう。何色を見ると不安になるかは、その人のそれまでの経験によっても違うと思います。自分の経験を振り返って、自分が落ち着ける色を選ぶといいと思います。

僕個人の意見としては、寝具選びでもっとも大切なのは肌触りだと思っています。綿や麻、シルクやポリエステルなど、寝具にはさまざまな素材があります。どの季節に、どの素材の寝具で、どのパジャマで寝ると一番快適に眠れるのか。空調の強さや枕の高さ、音や光の調整など、自分好みの睡眠プロデュースをするのです。

かくいう僕も長年眠りの環境には無頓着でした。しかし仕事柄、地方や海外の宿泊施設を泊まり歩くうちに、寝具によって寝起きの質にかなり差が出ることに気づいたのです。

どうも僕は空調が苦手なようで、夏場も冷房がついていると深い眠りができない。たどり着いた結論は、さっぱりした寝具に上半身裸で空調・扇風機なし、枕はあるメーカーの高反発タイプが最適なようです。

脳は眠っている間に、その日起きた出来事の意味づけをし、情報の整理をし、大切な事柄を記憶しています。つまり睡眠の質こそ仕事のパフォーマンスを決める一大要因といっていい。上質な睡眠を確保するのは、もはや仕事の一部であり、クリエーティブな仕事で成果を上げている人はみな、自分に合った睡眠パターンや環境を確立しているものです。

睡眠に正解はないからこそ、自分でカスタマイズするしかありません。ぜひ試行錯誤してみてください。

▼進化の結果、人間は約100万色を見分けられる

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茂木 健一郎(もぎ・けんいちろう)
脳科学者
1962年生まれ。東京大学理学部、法学部卒業後、同大学院理学系研究科修了。『脳と仮想』(新潮社)で第4 回小林秀雄賞受賞。『幸せとは、気づくことである』(プレジデント社)など著書多数。

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(脳科学者 茂木 健一郎 構成=三浦愛美)

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