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「戦争扇動議員」を堂々と擁護するN国党の本性

プレジデントオンライン / 2019年9月6日 6時15分

陸上自衛隊の富士総合火力演習を視察に訪れたNHKから国民を守る党の丸山穂高衆院議員=2019年8月25日、静岡県御殿場市の東富士演習場 - 写真=時事通信フォト

■「竹島は戦争で取り返すしかないんじゃないですか」

これほど非常識な国会議員は見たことがない。あの太宰治も驚く、「議員失格」である。

北方領土の返還問題を巡って「戦争で取り返すしかない」との趣旨の発言をして批判を浴び、日本維新の会を除名された後、今年6月に衆院で議員辞職を促す「糾弾決議」が全会一致で可決された丸山穂高衆院議員(35歳、大阪19区)のことだ。

今度は何をやらかしたのかと言えば、韓国の国会議員6人が島根県の竹島に上陸したことについて、ツイッターに「竹島は戦争で取り返すしかないんじゃないですか?」と投稿したのだ。

ツイートとはいえ、同じ問題発言をまたもや繰り返す。まったく反省していない。8月31日のことだったが、発言の波紋は大きく広がっている。

■1点共闘はどこに消えてしまったのか

その後、丸山議員は無所属となったが、7月29日に「NHKから国民を守る党」の党首、立花孝志氏(51)と国会内で会談し、この日付でN国党に入党した。丸山氏の入党によってN国党の国会議員は、2人となった。

丸山氏は入党理由について「無所属ではできることも限られている。受信料を払った人だけが視聴できるNHKのスクランブル放送を実現する1点において共闘する」と話していた。

それがどうだろうか。1点での共闘などどこかに消え、2度目の戦争発言である。丸山氏はよほど戦争が好きなのだろう。

■開き直るN国党の立花党首も丸山氏と同罪だ

一方の立花氏は9月2日の記者会見でこう発言している。

「処罰の対象にはならない。今回の発言は表現の自由が優先されるべきで、問題提起の範疇(はんちゅう)じゃないかと思う」
「(丸山氏の投稿は)『戦争をしないと取り返せないけども、戦争なんてしたくないですよね?』」という意味にも取れるわけですよ。彼の投稿は、はてなマークだから」
「我が党の方針は、特定の個人や団体に直接迷惑をかける、裁判したら明らかに負けるような案件には処罰を下さなければいけないと承知している。だが、今回の件は、党員や一般の有権者から『処罰をすべきだ』とか『除名すべきだ』という声はない」

7月21日に投開票された参院選挙の結果、N国党が比例選で1議席を獲得して立花氏が当選を決めた。N国党は公職選挙法と政党助成法上の政党要件を満たし、政治治団体から政党に格上げされ、立花氏は代表から党首となった。

しかし立花氏が「表現の自由」の意味を理解しているとは思えない。表現の自由とは、表現する者の責任に裏打ちされたものだ。丸山氏に責任感があるとは到底思えない。仮にも丸山氏は公に責任のある国会議員である。しかも前回の「北方領土戦争発言」で国会から議員辞職を勧告された身である。

立花氏は一体、何を考えているのか。自分が有権者から選ばれた身であることへの自覚がなく、開き直っているとしか思えない。問題発言を繰り返した丸山氏と同罪だ。

■韓国が不法に占拠する竹島は「日本固有の領土」だ

竹島についてここで触れておこう。

竹島は隠岐諸島の北西約160キロに位置する2つの小島と岩礁で、島根県隠岐の島町にある。

外務省「竹島問題フライヤー」より

日本は1905年2月22日に領土編入を決め、島根県知事が県の帰属を宣言した。しかし1946年、連合国軍総司令部(GHQ)の覚書により、日本の行政区域から分離された。

韓国は1952年に当時の李承晩(イ・スンマン)大統領が公海上に「李承晩ライン」を設定し、竹島を「独島(トクト)」と呼んで竹島を取り込んだ。しかも韓国は1954年から武装警察隊を常駐させ、灯台やヘリポートを建設。観光客にも開放している。これが韓国の実効支配である。

日本はGHQの覚書を暫定的なものと判断し、竹島の領有権を主張してきた。領土編入を行った1905年からちょうど100年目に当たる2005年には島根県が条例を制定し、領土編入記念日の2月22日を「竹島の日」と決めた。

沙鴎一歩は竹島問題に関し、日本が最初に領土に編入した事実などから「竹島は日本固有の領土」と考えている。韓国の実行支配は大きな問題であり、不法占拠である。

■朝日は「院の意思を冒涜」「議員への居座り」と痛烈に批判

さっそく朝日新聞の社説(9月3日付)が、「戦争発言再び 議員居座りは許されぬ」との見出しを付けて噛(か)みついた。

「衆院で全会一致の『糾弾決議』を受けながら、戦争による領土問題の解決を肯定するかのような発言を繰り返す。院の意思を冒涜(ぼうとく)する振る舞いであり、これ以上、議員への居座りを許してはならない」

朝日社説は冒頭からこう批判する。そのストレートな書きぶりは、皮肉好きな朝日社説にしては珍しい。中国や韓国を批判するときの産経新聞の社説(主張)のようだ。「院の意思を冒涜」「議員への居座り」との文言も痛烈だ。それだけ丸山氏の行いがひどいのである。

■丸山氏は当然、議員辞職するものだと思われたが……

丸山氏の居座りは、N国党の立花氏と同じ開き直りそのものである。丸山氏の北方領土の戦争発言の問題は、5月17日付の記事「エリート議員の戦争発言は酒だけのせいか」で指摘した。

少しばかりおさらいしておこう。

丸山氏は北方四島の「ビザなし交流」の訪問団に顧問として参加し、5月11日夜、国後島の宿舎で元島民の訪問団長に「戦争で島を取り返すことには賛成ですか、反対ですか」「戦争しないとどうしようもないじゃないですか」などと迫った。団長は「戦争はするべきではない。戦争なんて言葉は使いたくない」と反論したが、丸山氏は戦争発言を繰り返した。

丸山氏は13日夜になって「非常に配慮を欠いていた」と発言を撤回して謝罪し、14日には離党届を提出した。日本維新の会は14日午後、大阪の党本部で論議して「党として発言は容認できない」として離党届を受理せず、最も重い除名処分を下した。

丸山氏はツイッターを使って「無所属で国会議員を続けていく」意向を示したものの、「国会議員そのものを辞職するべきだ」との声は強く、維新の会の代表で大阪市長の松井一郎氏も「政治家としてあるまじき行為と発言だ」と厳しく批判し、丸山氏に自ら議員辞職するよう促した。そして6月6日には衆院で議員辞職を促す糾弾決議が全会一致で可決されたのである。

糾弾決議を受け、丸山氏は議員を当然、辞めて出直すと沙鴎一歩は思った。しかし辞めずにN国党に入る。よほど面の皮が厚いのだろう。丸山氏の入党を許した立花氏も問題である。党員の数を増やして政党助成金を増額するのが狙いなのか。丸山氏と立花氏はともに世論や有権者をばかにしている。今後、2人はどこまで開き直る気なのか。

■政治家としてこれまで何を学んできたのか

朝日社説に戻ろう。

「丸山氏は外務省の韓国への抗議を『遺憾砲』と揶揄(やゆ)し、『朝鮮半島有事時を含め、自衛隊が出動し、不法占拠者を追い出すことを含めたあらゆる選択肢を排除すべきではないのでは?』とつぶやいた」
「憲法9条も国連憲章も、武力による国際紛争の解決を認めていない。この極めて重要な原則を、一顧だにしない発信を重ねることは、国会議員としてあるまじきことだ」

丸山氏は東大経済学部を卒業後、経済産業省に入った元キャリア官僚だ。2009年に退官して松下政経塾に入り、28歳で初当選。連続計3回の衆院議員当選を果たしている。普通なら将来を嘱望される若者政治家だ。それが「憲法9条」の内容も、「国連憲章」の意味も理解していないようでは情けない。政治家としてこれまで何を学んできたのだろうか。

■「民主主義がポピュリズムに食われている」

さらに朝日社説は批判する。

「『議員失格』を衆院から宣告された丸山氏を、それと知って招き入れたN国の責任は極めて重い。立花孝志党首はきのう『表現の自由。問題提起の範疇』と述べたが、丸山氏の発言は言論の名に値しない。無責任な言いっ放しでもある」

朝日社説も沙鴎一歩と同じく、丸山氏を議員失格と批判し、N国党の立花氏を同罪とみなす。

最後に朝日社説は「糾弾決議を足蹴にされた格好の衆院は、この事態を見過ごしてはならない。与野党が一致して、議員辞職を迫る意思を明確に示すべきである」と訴える。

沙鴎一歩もこれに大賛成だ。

それにしても丸山氏や立花氏のような人物を選ぶ有権者がいること自体に驚く。7月9日付の記事「NHKや安楽死を名乗る党派が出てくるワケ」では、「民主主義がポピュリズムに食われている」と指摘した。この2人はそれ以前の問題だ。

(ジャーナリスト 沙鴎 一歩)

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