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夢日記をつけると逆に精神が不安定になるワケ

プレジデントオンライン / 2019年9月29日 17時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Hispanolistic

イヤな夢ばかり見るとき、夢日記をつけると逆にその夢の内容が忘れられなくなり、逆効果だ――という俗説がある。松田英子教授(東洋大学社会心理学科)にその真偽と夢日記の正しいつけ方を聞いた。

Q. 夢日記をつけると精神が不安定になる?

■「その日のできごと」も書いておく

イヤな夢が気になるのは、それが実際に起こるのではという恐れがあるからではないでしょうか。心理学では、「悪いことが起こる」という予測にとらわれて積極的な行動がとれなくなることを「ネガティブな自己成就的予言」といいます。本来はもっとニュートラルな対応のできる人なのに、その夢のせいで悪い結果を自分が引き寄せてしまうのです。

そこで、重要なのは夢の解釈のしかたです。

こうした場合は、むしろ夢日記をつけることをおすすめします。ポイントは、「見た夢」だけでなく「その日の主要なできごと」を書いておくこと。夢の覚えている部分だけ、ふだん使っているダイアリーにメモしておくのでもいいでしょう。

夢には、現実の出来事が2、3日~1週間ぐらいたって出てくることがよくあります。夢と現実の出来事を併記しておくと、何がトリガー(引き金)になってその夢を見たか、どんな記憶がミックスされてその映像になったかがわかってきます。すると、「夢」と「現実」の事象が整理されて「悪い夢がいつも実現化する」というわけではないことが実感できます。

■よりよく生きていくため

夢の役割は、記憶の整理や定着、感情の処理にあります。その情報処理の目的は、人を不安にさせるためではなく、よりよく生きていくためにあることは間違いありません。

イヤな夢だと思っていたものも、客観的に見ることができればセルフモニタリングになります。自分の体調や健康、家族、仕事のことなど、今起きていることについて、その人が今、何を不安に思っていて、今後どのような対処をしたほうがよいかということを、夢を見ることでわかる場合もあるのです。

たとえば、学生時代に疎外感を感じた体験を夢に見て、社会人になった今も繰り返し夢に見るという場合は、その人が今同じような気持ちを抱いている可能性があります。そのことに気付くことが重要なのです。夢日記をつけて、自分が不安だと思っている要素を洗い出す手掛かりにしてみるといいでしょう。

「追われる」「襲われる」「~がない(失う)」など夢がいつもイヤな終わり方をするとき、起きたあとに、その筋書きや結末を書き換えてポジティブなイメージを足していくのもいいです。これは「イメージ・リハーサル・セラピー」といって心理療法の1つです。ただし、ポジティブな内容に書き換えるといっても、どういう結末なら納得がいくかは人によって違います。自分にとってしっくりくる内容にすることが大切です。

▼イヤな夢をポジティブな内容に書き換えるのもいい

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松田 英子(まつだ・えいこ)
東洋大学社会学部社会心理学科教授
お茶の水女子大学大学院修了(博士・人文科学)。臨床心理士として活躍し、江戸川大学教授、放送大学大学院客員教授などを歴任。2015年から、東洋大学社会学部社会心理学科教授。著書に『夢と睡眠の心理学』『図解 心理学が見る見るわかる』など。

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(東洋大学社会学部社会心理学科教授 松田 英子 構成=南雲つぐみ)

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