内閣改造「小泉進次郎×、三原じゅん子◎」の裏
プレジデントオンライン / 2019年9月6日 18時15分
■骨格の「長老」は不変で、「その他」は総入れ替え
安倍晋三首相は11日に自民党役員人事と内閣改造を行う。あらかじめ伝わってくる情報では麻生太郎副総理兼財務相ら「大物・長老」は、おおむね留任し、残ったポストに大量の入閣待望組がひしめくという「2層構造」になっている。
「参院選でいただいた国民の皆さまの力強い支持と信任、負託にしっかりと応えていくため、人事を刷新し、安定と挑戦の強力な布陣を敷きたい。そのため党役員人事および内閣改造を、9月11日に行いたい」
3日朝、東京・永田町の自民党本部で開かれた党役員会の冒頭、安倍氏は人事の日程を語った。
一連の人事は10日に行われるとの見方が強かっただけに「11日」は、意外と受け止める党役員も少なくなかった。1日遅くなった理由について、安倍氏側近は「1日でも長い間、構想を練るため」と解説する。2012年12月、安倍氏が首相に返り咲いて以来、9回目の人事。党を掌握し、人事にも慣れている安倍氏だが、それでも難しい。むしろ回を追うごとに難しくなっていると感じていることだろう。
■「骨格」は麻生氏78歳、菅氏70歳。二階氏80歳
安倍氏が手掛ける人事は「2層構造」だ。主要なポストは実力者を配し、その多くは留任させる。麻生氏、菅義偉官房長官、二階俊博幹事長らが、それにあたる。麻生、菅の両氏は12年に安倍氏が首相に返り咲いてから7年近くの間、同じポストについている。二階氏の在職日数は1000日を超え、今年8月には連続在職日数が歴代最長になった。年齢は麻生氏が78歳、菅氏は70歳。二階氏は80歳だ。
今回の人事でも麻生、菅氏の留任は内定。二階氏の留任も固まった。さらに岸田文雄政調会長の留任も有力となっている。政権が安定している時に新しい血を入れるというのが人事の常道だろうが、あまりに長期政権となったことで、骨格をいじって政権のバランスを崩してしまう危険が出ているのだ。
一方、官房、財務、党幹事長、政調会長などの中核ポスト以外は大幅に入れ替えることになりそうだ。これらのポストには初入閣組が大量に押し込まれる。
■3回以上当選した「入閣候補」が70人に
安倍氏は昨年10月、内閣改造を行ったが、その時も中核ポストは実力者が続投させる一方で12人が初入閣した。この時の人事については既報の「『右寄りのお友達』で固めた安倍内閣の真意」「問題閣僚が続出も安倍首相が動じないワケ」に詳しいのでご参照いただきたい。
安倍氏は、今回の人事での昨年の手法を踏襲する。
12年の衆院選で勝って政権に返り咲いて以降、自民党は14年、17年と衆院選を勝利。13、16、そして今年の参院選でも勝った。「勝つ」とは、議員の当選回数が増えることを意味する。今の自民党は、自薦、他薦を含めた入閣候補者が大量発生している。一般的に衆院なら5回、参院なら3回以上当選した議員が「入閣候補」と言われる。その人数は今、70人に達する。
■改憲に向けて人事で「貸し」をつくる考え
今、自民党には7つの派閥が存在する。派閥単位で少なくとも数人、多い派閥では10人を超える入閣待望組を抱えている。派閥領袖たちは自派のメンバーを1人でも多く入閣させたい。しかも派内の治安維持を考えると、できれば当選回数が多い順に入閣してもらいたい。だから領袖たちは「派閥順送り」「年功序列」の人事を安倍氏に求める。
安倍氏は昨年、領袖たちの要望をできる限り受け入れて12人を初入閣させた。今回も前回並みか、それを上回る初入閣者が出ることになるだろう。
今の安倍氏の求心力からすると領袖たちの要望を受け入れる必要はないようにみえる。あえて受け入れるのは、反安倍色を鮮明にする石破茂元幹事長率いる石破派以外で総主流派態勢をつくりたいからだ。
安倍氏は10月召集の臨時国会以降、悲願の憲法改正に向けて政府・与党一体となって進んでいきたい。人事では各派に「貸し」をつくっておこうと考えているのだ。だから、さほど重視しない閣僚ポストほど、各派が喜んで忠誠心を示してくれるような人選をしたい。そこに安倍氏は時間を割かざるを得ないのだ。
■1人、2人の疑惑追及では政権は揺らがないという自信
もちろん「派閥巡送り」人事を行うことで能力が十分でない議員が入閣することは避けられなくなる。政権がスキャンダルに巻き込まれる心配はある。度重なる問題発言や知識不足で五輪担当相を更迭された桜田義孝氏の例が、その典型だ。しかし、1人、2人の閣僚が疑惑追及されるぐらいでは安倍政権の屋台骨は揺らがないという自信が、今の安倍氏にはあるのだろう。
従って主要閣僚は重鎮たちの「変わらぬ顔」が並び、その他の席には「誰も知らない顔」が座る顔ぶれとなりそうだ。「目玉」候補としては橋本聖子氏、三原じゅん子氏ら女性閣僚ぐらいになるのではないか。
■「育休」小泉氏は入閣せずに党役職にとどまるか
最後に内閣改造の度に取り沙汰される小泉進次郎氏について触れておきたい。
プレジデントオンライン編集部では、小泉氏がアナウンサーの滝川クリステルさんと電撃結婚発表をした時、「進次郎氏が『入閣→育休』という極秘シナリオ」をアップ。小泉氏が入閣して、史上初の育休を取得するという説をいち早く紹介した。その後、この説は永田町を飛び交っている。
実際、小泉氏は来年早々、子どもが生まれた後、「育休」を取る考えを漏らす。ただし、入閣は難しそうだ。閣僚になると、毎週2回、閣議出席が義務付けられる。育休をとって閣議を欠席する場合は、原則として臨時代理を立てなければならない。
代理を立てることを前提にして入閣するというのは、さすがに国民の理解を得られない。入閣を逃した議員の嫉妬もすさまじいものになるだろう。このため、小泉氏は、比較的休日を取りやすい党の役職について「育休」取得を目指すことになるのではないか。
(プレジデントオンライン編集部)
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