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入店は顔認証で「完全無人ローソン」潜入調査

プレジデントオンライン / 2019年9月26日 17時15分

フルマスクやお面では入店不可だったが……。

■ほぼ実用ラインの完全無人コンビニ

コンビニエンスストア業界大手のローソンは2019年8月23日から、加盟店の人手不足対策として、深夜営業の時間帯(午前0時~午前5時)にいっさい店員を配置しない「無人営業」の実験をローソン氷取沢町店(横浜市磯子区)にて開始した。

無人営業時間中は、入店時に事前登録したローソンアプリの入店用QRコードをかざすか、入り口の認証装置で顔写真を撮影すると、店舗のドアが開き、入店が可能になるシステムを採用しており、会計もセルフレジで行う。無人営業中は酒やたばこ、フライドチキンなどのホットスナック、iTunesカードのようなPOSAカードの販売は中止されているほか、宅配便やチケットの発券なども行えない。

実際にこのローソン氷取沢町店へ向かい、取材を行った。

まずアプリに登録したQRコードを使用して入店してみる。

QRを読み取り部にかざすと即座に自動ドアが開く。ほとんど待たされることもなく、入店に際してのストレスはほぼない。

■使い勝手は決して悪くないが…

無人とはいっても、ふだん通常営業されている店内はいい意味で「特別感がない」といえる。試作品の実験台にされているような違和感を覚えることはなかった。おにぎりやお弁当などの食品類も陳列されており、使い勝手は決して悪くない。

無人のため、もちろん会計はセルフレジで行うことになるが、セルフレジのUIは良好で、次に何をするべきなのかが明確に表示されるため、支払い時のストレスもなし。セルフレジに備え付けのバーコード読み取り機の精度も、これに一役買っているだろう。

また、もう1つの入店方法である顔認証でも入店してみることにした。インターホンのような装置に自分の顔を読み込ませると、自動ドアが開く。認証の精度は比較的高いようで、顔を読み込ませて1秒程度で自動ドアが開く。深夜の氷取沢町は人通りも少なく、もちろん店舗にも人はいない。入店から退店まで、誰とも会うことはない。

■入り口で利用方法がわからず引き返す利用者も

JR赤羽駅などで行われていた「無人コンビニ」のテストはまさに“実験”といった様子で、警備員に加えてJR側の職員などがワラワラと店舗を囲んでいたことを考えると、ローソン氷取沢町店での運営は、かなり実用に即した仕様だといえる。

私は2時間以上店舗に滞在していた。報道では店員が待機していると書かれていたが、店員が出てくる様子は全くなく、入り口で利用方法がわからず引き返す利用者もいた。

これを「冷たい」と捉えることも可能だが、無人コンビニが実装されれば、最小限のエネルギーで運営が可能になるため、働き手がない地方都市などでもコンビニが運営可能になったり、過労死が減少するかもしれない。社会のため、あえて実践的なテスト運営を行うローソンの気概を私は感じた。

ただし、セキュリティ面での不安要素も見つかった。

■ポスターに表示された人物の顔写真では入店できた

認証が求められるのは入店時のみとなっており、退店時には特に処理などが求められない。もちろん、入店時にはローソンIDか、顔認証のどちらかが必要になるため、万引きをしてもすぐに足がつくように思えるが……。

ローソンIDの登録時、厳密な本人確認を求められることはないため、適当なメールアドレスと架空の情報でも登録ができてしまう。実際、今回の取材時は9歳で登録したローソンIDを使用して午前2時に入店したが、特に警告などは起こらなかった。

また、顔認証についても般若とプリキュアのお面、有名ユーチューバーのフルマスクでは入店できなかったものの、スマホやポスターに表示された人物の顔写真では入店できた。

そのためフルフェイスのヘルメットをかぶり、写真を読み込ませて入店すれば理論上は足がつかずに万引きできる恐れはあるが、杞憂に近いだろう。

活版印刷、火縄銃、電気、ペニシリン、インターネット。いつの世も、革新的な技術によって時代は変わる。氷取沢町へ向かえば、時代が変わる瞬間、時代の先端に立つことができる。

(網田 和志 撮影=網田和志)

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