「妻の浮気」を捏造しようとした不倫男の末路
プレジデントオンライン / 2019年9月26日 11時15分
■愛人が参謀になって夫を操るケースが目立つ
これまで3万件以上の夫婦問題のカウンセリングをしてきた。そのなかで、もっとも多いケースは、妻側からの「夫に浮気されている」という相談だ。
ただし、ここ数年で確実に変化したことがある。これまで妻側の言い分は、大きく分けて2パターンだった。ひとつは「夫は浮気をしているが、私は夫婦関係を修復したい」。もうひとつは「夫は浮気をしているので、より有利な条件で離婚したい」。つまり、離婚か修復の二択だけだった。
ところが、最近は「いったい私は、どうしたいいのでしょうか」とあいまいな形での相談が目立つようになった。その背景を探ると、「愛人=夫の浮気相手」がキーパーソンとなっているケースが多い。愛人が参謀となって、夫婦の離婚までのストーリーを描き、既婚男性を思い通りに動かしてしまう。その結果、妻側もどうすればいいのかわからなくなるようなのだ。
例えば、実際にあった妻からの相談事例として次の3つのエピソードを紹介したい。
■離婚の方法が事細かに送られていたLINE
「夫は愛人にだまされているのでしょうか」と相談に訪れたのは、会社員のA子さん(30代)。A子さんが夫の浮気に気づいたのは半年前。夫の入浴中に鳴った携帯電話を何げなく見たところ、「今度の秋の連休は去年泊まった温泉に行きたいな」と明らかに長期間浮気をしていることがわかるLINEが届いたことだった。夫が浮気をしていたこと自体、寝耳に水だったが、もっと驚いたのは夫が愛人に行動をコントロールされていることだったと言う。
偶然にも夫の携帯電話はロックがかかっていない状態だったため、愛人とのLINEのやり取りをさかのぼってチェックしたというA子さん。「『理屈っぽい奥さんには、焦らず時間をかけて法律にのっとった理由を提示しながら説得したほうがいいみたいよ』とか『このサイトを見ると、離婚を切り出すベストなタイミングについても書いてあるから読んでみてね』などと、愛人から夫へ離婚するためのノウハウやアドバイスが事細かに指南されていたんです」とA子さん。
「さらに情けないのは、夫が『的確な指示をありがとう』『調べてくれて僕もうれしい』といった返信をしていたことです。愛人のせいで離婚させられそうになっているのに、何をやっているんだか」。夫には早く目を覚ましてほしいと思うものの、元通りになっても以前と同じような夫婦関係ではいられないだろうと想像するA子さん。実はまだ、夫に愛人とのLINEを盗み見たとことについて、話していないという。
■エクセルに離婚費用を算出、愛人のチェックを受けていた
派遣社員のB美さん(40代)も、それまで夫の浮気をまるで疑っていなかったケースだ。温和な性格で子煩悩な年上の夫とは、子供ができて以来セックスレスの状態。とはいえ、「どこの夫婦でも、子供ができればこんなものだろう」とB美さんはそのことを気に留めてもいなかったという。
夫が本気で離婚の計画を立てていると知ったのは、B美さんが調べものをしようと夫のパソコンを開いた時のことだった。「閉じ忘れたエクセルが表示されたのですが、そこには婚姻費用、慰謝料、養育費、財産分与、年金分配という欄があって、離婚したら夫が私に払うべき細かい金額まで書き込まれてあったんです」。
夫の帰宅を待って問い詰めてみたところ、夫には10歳年下の愛人がいることが判明。B美さん夫婦を別れさせるために、愛人が先導役となって離婚を計画。「離婚を成立させるためには、まずお金のことをきちんとしないと」と指示された夫はすべてを算出し、愛人からのチェックを受けていたとのこと。「お金のこと以外にも、『セックスレスは離婚事由になる』『子供の受験をめぐって意見が食い違ったことにしては?』などと、離婚を切り出すきっかけまで夫に提案していたこともわかりました」とB美さん。現在は、離婚か修復かで迷っているところだ。
■「奥さんが浮気したことにすればいい」愛人が仕掛けた罠
学生時代にモデルのアルバイトをしていたこともあるC菜さん(40代)が、ひとりで入ったカフェで見知らぬ男性から声をかけられたのは1年前のことだった。「『この後、飲みに行きませんか?』と誘われたのですが、もちろん『夫がいますので』と言ってお断りしました。まさか、それが夫と愛人の計画だったとは夢にも思いませんでした」と話す。
結婚17年目のC菜さんの夫は、自分の会社の社員やスタッフからも不評をかうほどケチで有名な経営者。C菜さんもそんな夫に嫌気が差していたこともあり、浮気をしていることはうすうす気づいていたものの、見て見ぬふりを続けていた。
先日、夫の愛人を名乗る女性が「旦那さんと別れてほしい」とC菜さんに電話をかけてきたという。驚いたC菜さんはすぐに夫に連絡して説明を求めたところ、夫はあっさりと浮気を認め、謝罪した。夫いわく、「すべて愛人がたくらんだことだから許してほしい」。
愛人は「私との浮気が原因で離婚ということになれば、奥さんに莫大な慰謝料を支払わなければならない。裁判になれば費用もかかる。だったら、奥さんを有責配偶者にすれば余計なお金は支払わずに済むはず」と夫に吹き込んだという。
愛人は、知り合いの男性に頼んでC菜さんのいるカフェで彼女に声をかけてもらい、別に雇ったプロのカメラマンに二人で話しているところを望遠レンズで撮影させた。C菜さんが夫以外の男性と密会しているような写真を証拠として用意する目的だった。ところが、いざとなると今度は夫がC菜さんとの離婚に尻込みをしはじめたので、業を煮やした愛人が直談判をしにC菜さんに電話をかけた、ということだったのだ。
■ネットで離婚情報を集められるようになった
いずれのケースも背景には、「インターネット上に離婚の情報が増えたおかげで、一般人も詳しい知識を持てるようになった」ということがある。つまり、愛人の立場にある女性も「どうしたら自分の思い通りに相手を離婚させられるか?」を調べやすい時代になったとも言えるだろう。
ただし、ネット上の情報は玉石混交であるのも事実。なんの根拠もなく、間違った情報が堂々と披露されていることも少なくない。離婚や法律に関する正確な情報を知り、幸せな人生を歩むための正しい選択をするためには、あくまでもプロの力を借りる必要があることを忘れないでほしい。
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夫婦問題研究家
NPO日本家族問題相談連盟理事長。株式会社カラットクラブ代表取締役立命館大学産業社会学部卒業、立教大学大学院 21世紀社会デザイン研究科修了。自らの離婚経験を生かし、離婚カウンセリングという前人未踏の分野を確立。これまでに25年間、3万件以上の相談を受ける。『最新 離婚の準備・手続きと進め方のすべて』(日本文芸社)『再婚で幸せになった人たちから学ぶ37のこと』(ごきげんビジネス出版)など著書多数。
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(夫婦問題研究家 岡野 あつこ)
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