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究極の「絶対服従内閣」に集まった5人組の正体

プレジデントオンライン / 2019年9月13日 5時45分

初閣議を終え、記念撮影する安倍晋三首相(手前中央)と第4次安倍再改造内閣の閣僚ら=9月11日、首相官邸 - 写真=時事通信フォト

■「お友達内閣」を通り越して「側用人内閣」

安倍晋三首相が9月11日、自民党役員人事を刷新し、内閣を改造した。閣僚のうち同じポストで留任したのは麻生太郎副総理兼財務相、菅義偉官房長官だけ。新婚でもある小泉進次郎氏の入閣という話題もあり、フレッシュな顔触れとも言える。

しかしよく見ると、安倍氏の威を借る側近たちが、ずらり並んだ。もはや「お友達内閣」を通り越して「側用人(そばようにん)内閣」の様相だ。小泉氏の入閣も、それをカモフラージュするためのサプライズ演出だったといえる。

■初組閣の時から側近重用の方針は変わらない

2006年、初めて首相になった時、安倍氏は塩崎恭久氏、菅氏、甘利明氏ら盟友を主要閣僚に配置して「お友達内閣」と皮肉られた。

お友達閣僚たちは、安倍氏同様、経験不足を露呈。失言や失敗を繰り返した。最終的には翌年の参院選で敗れ、安倍氏が体調を崩したことで第1次安倍内閣は1年で崩壊するのだが、お友達たちの拙さも、安倍氏の早期退陣の遠因となったのは間違いない。

2012年、安倍氏は首相に返り咲いた。第1次政権の反省を踏まえ、政権運営は老練になったが、人事で親しい人物を重用する傾向は変わらない。

■安倍内閣で「官房副長官」を経験済みの5人組

今回の人事も、同じく親しい人物が大量に閣内や、党執行部に入った。ただし、今までの「お友達」とは少し違う。

西村康稔・経済再生相
萩生田光一・文科相
加藤勝信・厚労相
下村博文・党選対委員長
世耕弘成・参院幹事長

この5人の共通点が分かる人は、かなりの政治通だ。5人は、安倍内閣で官房副長官を経験しているのだ。

官房副長官というポストは、閣僚や党4役と比べると地味だが、政権運営上、極めて重要なポストだ。首相の分身として官僚との折衝、与野党対応などをこなす。

首相と最も一緒にいる時間が長いのは官房副長官だ。外国訪問にも同行する。外遊に出掛ける首相が政府専用機に乗る前にテレビカメラに向かって抱負を述べる時、背後に立っている人物を見て「誰だろう」と思った人がいるかもしれない。あれが、官房副長官だ。

首相は、かわいいと思い、能力も評価し、そして自分に絶対服従する人物を副長官に選ぶ。今回は安倍氏がこれまでに選んできた副長官経験者5人が閣僚や党首脳に名を連ねたのだ。

■さらに主従関係が明確な「首相補佐官」の経験者4人

河井克行・法相
江藤拓・農相
衛藤晟一・一億総活躍相
世耕弘成・参院幹事長

この4人は安倍内閣のもとで首相補佐官を歴任した。補佐官も官房副長官同様、首相の分身であり黒子。国会で答弁を求められたり記者会見をする機会は少ないので目立たないが、やはり首相のお気に入りでないと選ばれない。「格」は副長官よりも一段落ちるため、首相との主従関係は、より鮮明ともいえる。

こうみると、今回の内閣の性格がはっきりしてくる。安倍氏に近い人物が並ぶのは従来と変わらない。

ただし、これまで多かった「お友達」とは違う。「お友達」は仲がいいだけでなく、何かあれば苦言を呈することもある。

ところが今回の政権には「お友達未満」の顔触れが並ぶ。「側用人」とでも呼ぼうか。彼らは安倍氏に絶対服従。安倍氏の意向を忖度して、走るだけだ。彼らは思想、政治信条的にも安倍氏に近い。もちろん麻生、菅の両氏が旧来の「お友達」も閣内に残ってはいるが、「側用人」たちの大量起用で「安倍1強」がさらに強化されたといえる。

■安倍氏、萩生田氏、加計学園理事長の3ショット写真

今回ポストについた「側用人」たちは、脛に傷を持つ議員が多い。萩生田氏は、学校法人「加計学園」の獣医学部新設問題を巡り、文科省に圧力をかけたという疑惑が持たれている。安倍氏の別荘で、安倍、萩生田の両氏と、加計学園の加計孝太郎理事長が談笑する3ショット写真をご記憶の人も多いことだろう。

西村氏は「赤坂自民亭」問題で批判を受けた。昨年7月、近畿、四国地方などで記録的な豪雨災害が起きつつある時に自民党が赤坂議員宿舎で宴会「赤坂自民党」という懇親宴会を開いた際、官房副長官だった西村氏は、ツイッターで会のもようを発信。軽率と批判されて陳謝している。

この他にも、国会内外で問題発言を指摘された「側用人」たちは少なくない。

■小泉氏が入閣し、三原氏が外れた「逆転人事」の背景

そんな中、小泉氏の存在は異彩を放っている。小泉氏は昨年の総裁選で、安倍氏の対立候補だった石破茂・元幹事長に1票を投じた。安倍氏と親しいというわけでもない。

もともと小泉氏は今回入閣しないとの見方が圧倒的に強かった。プレジデントオンライン編集部では9月6日に「内閣改造『小泉進次郎×三原じゅん子◎』の裏」で、小泉氏の入閣は見送りになるとの見通しを書いた。これは結果として誤報になってしまった。読者にお詫び申し上げたい。

関係者の話を総合すると、もともと入閣が有力だったのは三原氏という。三原氏は副長官や補佐官の経験こそないが、安倍氏のお気に入りの「側用人」の1人。ただ、「同類」の入閣内定者が増え、しかも国民の評判はあまり良くないことが分かってきた。

そのため、マスコミの注目度の高い小泉氏に白羽の矢を立て、その結果、押し出されるように三原氏がリストから外れてしまった。事実、安倍氏が小泉氏に入閣を要請したのは組閣の2日前、9日だったという。

そうしたことを踏まえれば、小泉氏が入閣したのも、三原氏が入閣できなかったのも、安倍氏が「側用人」たちを重用した副産物だったことになる。

共同通信社が内閣改造後に行った世論調査では新内閣の支持率は55.5%で5.1ポイント上昇。新しい人事を「評価する」との回答は50.9%に上った。安倍氏が小泉氏を起用した戦略は、まずは功を奏した。そして、その割を食ったのが三原氏ということなのだろうか。

(プレジデントオンライン編集部)

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