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ドラレコ普及率の低さと車内不倫・密会の関係

プレジデントオンライン / 2019年10月26日 17時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/show999

■所有者イコール運転者とは限らぬ

2019年8月に起きた常磐道のあおり運転殴打事件。容疑者が危険な運転を繰り返し、被害者を殴打した映像は衝撃的だった。あれを見て、万が一に備えてドライブレコーダー(以下ドラレコ)を買おうと考えた人も多かったはずだ。

ただ、ドラレコも万能ではない。証拠調査士の平塚俊樹氏は、次のように指摘する。

「あの事件の容疑者が捕まったのは、車を降りて被害者に暴力をふるったから。録画されていたのがあおり運転の映像だけなら、顔が確認できず、容疑者の特定には時間がかかっていたでしょう」

ドラレコを取り付ければ、あおり運転をした車のナンバーは記録できる。そこから車の所有者を割り出すことも容易だ。しかし、あおり運転の責任を問われるのは車の所有者ではなく運転者。所有者イコール運転者とは限らず、所有者が判明しても、その証言に違反時の運転者の顔の映像などが加わらなければ、特定・逮捕は難しい。まして反社会勢力のように、借金のカタに取った他人名義の車や盗難車を使われるとお手上げだ。

「重大事件なら警察もしっかり捜査をして運転者を特定しますが、軽微な犯罪は後回し。今回はテレビ放映で注目されたため、捜査は迅速に行われましたが、例外的です」

あおり運転が軽微な犯罪? と訝しむかもしれない。しかし、現実に罰則は軽い。あおり運転で人を負傷・死亡させれば危険運転致死傷罪が適用される可能性があるが(死亡は懲役1年以上最長20年)、あおり運転そのものは道路交通法違反で、急にブレーキを踏んで後続車に回避行動を取らせる急ブレーキ禁止違反は3カ月以下の懲役または5万円以下の罰金、急に車線変更して後続車を困らせる進路変更禁止違反は5万円以下の罰金にすぎない。

放火のように、死傷者が出なくても重罰が科せられる罪もあるのに、一歩間違えれば大惨事になるあおり運転の罪は、ごく軽微なのが現状だ。

■ドラレコ敬遠の理由は車内不倫?

今後も同様の事件が続けば、厳罰化が議論されるかもしれないが、悠長に待ってはいられない。身を守る方策はあるのか。おすすめは、後方の録画ができるドラレコの設置だ。

「運転者を特定するには、カメラを後ろに向けて前から顔を録画すべき。いまは360度撮れる製品もあります」

平塚氏によれば、こうした事件が頻発しながらドラレコの普及率が意外に伸びないのは、車内での不倫・密会の様子が記録されることへの警戒も一因だという。

「スマホのドラレコアプリを使えば、逐次ロックがかけられるので安心ですよ(苦笑)」

理想は、そもそもあおり運転を未然に封じることだ。

「あおり運転をする者は、顔を撮影されることを何より嫌がります。最近は『ドライブレコーダー録画中』というステッカーも市販されているので、それを後方に貼ってアピールしてはどうでしょう」

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村上 敬(むらかみ・けい)
ジャーナリスト
ビジネス誌を中心に、経営論、自己啓発、法律問題など、幅広い分野で取材・執筆活動を展開。スタートアップから日本を代表する大企業まで、経営者インタビューは年間50本を超える。

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(ジャーナリスト 村上 敬 コメンテーター=証拠調査士 平塚俊樹 図版作成=大橋昭一)

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