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ラグビー部OBが人を束ねるのが妙にうまい理由

プレジデントオンライン / 2019年9月25日 6時15分

ココナラ代表取締役社長の南章行さん

商社やメガバンクなど大企業の社員には「ラグビー経験者」が多く存在する。知識・スキルのマーケットプレイス「ココナラ」を創業した南章行さんもそのひとり。愛知県立旭丘高校や慶應義塾大学のクラブチームで楕円球を追い続け、その経験を仕事に生かしている。人と人とをつなぐハブ人材になるためのコツとは——。

※本稿は、南章行『好きなことしか本気になれない。人生100年時代のサバイバル仕事術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。

■「コミュニティーへの貢献」で存在感を発揮する方法

人のスキルを借りれば、自分のスキルではできないことができるようになる。だが、なんの関係性もないのに頼んでばかりいたのでは、ただの「図々しい人」だ。力を貸してもらえるような人間関係はつくれないし、力を貸してもらえないどころか話も聞いてもらえないだろう。

スキルを貸してもらいたいなら、スタートは自分から貢献することだ。

ギブの精神が大切なこと、自分から与えることが始まりというのは、もうさんざん言い尽くされていて、あなたは「またその話か」と思うかもしれない。とはいえ、実際のギブとはどういうことかを知り、実行している人ばかりではないと思うので、僕のやり方を紹介しておきたい。

貢献とは、ハードでもソフトでも「すごいスキル」を持っていなければできないというのは勘違いだ。そんなふうに考えていたら、抜きん出た人以外は、「自分から与える」なんてできっこない。

そこで僕がやっていたのは「コミュニティーへの貢献」だ。

■「僕、幹事やります!」と立候補することの想定外のメリット

新卒で住友銀行の支店に配属されたときも、調査部に移ったときも、APに転職したときも、僕は宴会幹事に立候補した。

「幹事って、そのグループにずっといる主流メンバーがやるものだよね」

そう思う人が多いかもしれないが、幹事の基本は雑用と連絡係だから、そう難しいことはない。コミュニティーへの貢献なら、知識もスキルもなくても真っ先にギブできる。そもそも「僕、幹事やります!」と言えば、少なくとも嫌な奴とは思われない。

「こいつは仕事ができるかどうかわからないけど、自分たちのコミュニティーに溶け込もうとしている」と、みんなが受け入れてくれるのだ。いち早くコミュニティーに溶け込めば、いろいろな情報が入ってくるし、人間関係もできていって、スキルを貸してもらいやすくなる。

宴会の幹事でも社内ランでも、バーベキューでもいい。「やると楽しいかも」ということがあれば、幹事役を買って出るといいだろう。

■心理的な壁が早く取り払われる

僕もAPに入った頃は、独身の先輩に合コンをセットしたり、ファイナンス以外にも勉強会を主催したりした。だから圧倒的に「できない奴」だった僕に、みんなやさしく教えてくれたという面があると思っている。

南章行『好きなことしか本気になれない。人生100年時代のサバイバル仕事術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

それは今でも続いていて、たとえば数年前から、「東横のれん会」という東横線沿線に住んでいる経営者の集まりに参加するようになった。すでに何年も続いている会で、すでにみんな仲がいいところに飛び込んだ僕は、知り合いが一人か二人いる程度。僕より年上で経験豊富な経営者が多い。だからこそ初回参加した際に「次回の幹事、やらせてください」と立候補した。

隅っこにいるよりよっぽど早く溶け込めるし、経験が足りない僕が受け入れられるいい方法だし、人とコミュニケーションするチャンスが増える。何より、自分のなかでの心理的な壁が早く取り払われるのが効果的だったりする。

■「ラグビー経験」を生かしてハブになると自然と情報と人脈が……

好きなもの、得意なものがあったら、どんなにささやかでもそれを自分の「ラベル」にしよう。それは仕事に関係がなくても構わない。

僕の場合は「ラグビー好き」というのをラベルにしている。高校、大学とラグビーをやっていて、オックスフォード・ビジネススクールでも試合に出ていた。どうやってラベルを貼ったかといえば、「初心者にラグビー観戦のコツを教えるイベント」というのを定期的に主宰した。

フェイスブックなどで人を募ってスタジアムに行き、「複雑なルールですが、3分間でわかるように説明します」と教えて、一緒に観戦する。最初はどう説明するかが難しかったが、試行錯誤した今ではかなりわかりやすく教えられるようになった。

写真=iStock.com/willowdog
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/willowdog

「初めてラグビーを見たけれど、最高でした!」なんて言ってもらえて、好評だ。

こういうことを定期的にやっていると、それだけでラガーマンのなかでのネットワークが広がりやすくなる。今では有名な元ラガーマンやラグビーの国際試合「スーパーラグビー」に参加しているような有力チームのチェアマンとも、会った際に一気に距離を近くすることができる。

「僕はラグビー好きを超えて、ラグビーを広める伝道師目指してますんで!」

■情報と人脈が「自分経由」で交流し、存在価値が高まる

そんな話をすると彼らは喜んでくれ、ラグビーコミュニティーとの交流が始まったのだ。

一方、「初心者にラグビー観戦のコツを教えるイベント」の参加者は、ラグビーになんとなく興味があるというゆるいつながりだから、職種や特性はさまざまだ。プログラマーもいれば、ファイナンスに強い人、イラストを描いている人もいる。

彼らとラグビーコミュニティーは、何もなければつながらないが、僕がハブになることで、「ラグビーチームのキャラクターデザインを変えたい」というコンペに、イラストを描いている人が参加するといったことが起きうる。

ひとつのコミュニティーをまとめるだけでなく、ハブになって別のコミュニティーとつながり、人と人の橋渡しをする。そうすると情報と人脈が自分を経由して交流し始めるから、自分の存在価値が一気に高まり、より強いハブとなる。つながりが広がる過程でソフトスキルもハードスキルも上がっていくし、ビジネスに役立つことは言うまでもない。何よりたまらなく楽しいことは保証する。

写真=iStock.com/jacoblund
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/jacoblund

■「自分はハブだ」と意識して、別のコミュニティーにつなぐ

コミュニティのハブになる方法は、大きく分けて二つ。

ラグビーの例のように「知っていて得意なこと」で貢献し、まずコミュニティーをつくるというやり方。そしてファイナンス勉強会の例のように「実際は大したことがないけれど、幹事役をやる」という貢献で、コミュニティーをつくるやり方だ。

いずれにしろ、できあがったコミュニティーを内輪だけで完結する小さなまとまりにせず、「自分はハブだ」と意識して、別のコミュニティーにつなぐことがポイントだ。ハブになること自体がコミュニティーへの貢献でもある。

国立長寿医療研究センターの調査によると、社会的つながりが多い人は認知症リスクが46%も下がるという。ハブになることは人生100年時代において重要な「個人の力」となるソフトスキルといっていいだろう。

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南 章行(みなみ・あきゆき)
ココナラ代表取締役社長
1975年生まれ。名古屋市出身。慶應義塾大学を卒業後、1999年、住友銀行(現・三井住友銀行)入行。2004年に企業買収ファンドのパイオニアであるアドバンテッジパートナーズ入社。2009年には英国オックスフォード大学経営大学院(MBA)修了。現地で出会った「音楽を使った若者向け社会起業プログラム」ブラストビートの日本法人(NPO)設立を主導したほか、オックスフォードの同期が設立したNPO法人「二枚目の名刺」の立ち上げにも参画し、個人の自立・自律をサポートする活動に積極的に参加。東日本大震災をきっかけに、2011年6月にアドバンテッジパートナーズを退社し、自ら代表として株式会社ウェルセルフ(現在の株式会社ココナラ)を設立。知識・スキル・経験のオンラインマーケットプレイス「ココナラ」を運営している。

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(ココナラ代表取締役社長 南 章行)

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