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論理的思考できない人は「小6算数」やり直せ

プレジデントオンライン / 2019年10月12日 11時15分

■8世紀の教材「川渡り問題」に挑戦

樹形図を使って解く問題を取り上げたい。「川渡り問題」という論理パズルの一種がある。もともとは8世紀にフランク王国のシャルルマーニュ(別名カール大帝)の相談役だった修道士のアルクィンが、皇太子のための教材として考案したといわれる問題だ。川渡り問題にはいろいろなパターンがあるが、ここでは初級編に挑戦していく。

問題:「川岸に父親と2人の子どもがやって来た。向こう側に渡りたいが、あいにく船は一艘しかなく、船頭もいないため、自分たちで漕がなければならない。しかし重量制限があり、1回に乗れるのは父親である大人1人か、あるいは子ども2人まで。さて、どういう順序で船に乗れば全員が向こう岸に渡れるか?」――。

場合分けをしていこう。ポイントは表記のルールを決めて、わかりやすく情報を図式化することだ。必要な情報は3つで、こちら岸と向こう岸という情報、大人と子ども2人、そして船のそれぞれの位置を示す情報だ。

最初に考えられるのは、「大人1人で渡る」「子ども1人で渡る」「子ども2人で渡る」の3パターンだ(図参照)。船は1艘しかないので、誰かが必ず漕いで戻ってこなければならず、したがって次に進むためには、1人で渡るという選択肢は消える。つまり、最初は子ども2人で渡るしかないというわけだ。

次の段階では2パターンが考えられる。「子ども1人が戻る」「子ども2人が戻る」だ。いうまでもなく、2人で戻っては無意味なので、子ども1人が戻ることになる。この時点で、川のこちら側には大人と子ども1人がいて、向こう側には子ども1人がいる状態だ。

次は、大人と子どもがそれぞれ1人ずつ渡るという2パターンが考えられる。ただし、先に子どもが渡った場合、樹形図の2つ前のパターンと同じことになり、意味がないのでNGだ。つまり、ここでは大人が1人で渡ることになる。

■前に出てきたパターンと重ならないように進んでいく

同様に前に出てきたパターンと重ならないように進んでいくと、図にあるように次は子ども1人がこちら側に戻り、最後に子ども2人で渡れば、全員が向こう側に渡ることができる。

いかがだろう。樹形図を使ったこの方法は時間がかかって効率はよくないが、確実に解けることがおわかりだろう。今回の問題は簡単なので、樹形図を使わずに、適当に組み合わせながらあれこれやっているうちに答えが見つかるかもしれない。ただ、その場合は見落としがあったり、答えの再現性がないというネックがある。

こうした樹形図は、ビジネスでも使われるロジカルシンキング(論理的思考)の基本で、「モレなく、ダブりなく」を意味する「MECE(ミーシー)」と通底する考え方なのだ。さらに、考えやアイデアなど頭のなかを整理する思考法である「マインドマップ」とも関係している。ちなみに、樹形図の概念は小学校6年生の算数で出てくる「場合の数」で習い、中学・高校の数学でも「確率」「集合論」などで学習する。それだけ大切な考え方なのだ。

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タカタ先生 日本お笑い数学協会会長
現役で高校の数学教師を務めながら、お笑い芸人として多くの人に数学の面白さを伝える数学教師芸人としても活躍。日本お笑い数学協会としての著書『笑う数学』がある。

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(日本お笑い数学協会会長 タカタ先生 構成=田之上 信)

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