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深刻化する「薬価高騰」を防ぐ成功報酬型新薬

プレジデントオンライン / 2019年10月5日 17時15分

調剤されるオプジーボ。高価な薬には日本でも成功報酬型の導入が待たれるのだが。(読売新聞/AFLO=写真)

■欧米で薬価高騰防ぐ画期的取り組み

抗がん剤・オプジーボを用いた治療費が患者1人当たり年間約3500万円に上ることが問題視されたように、薬価の高騰が深刻化している。画期的な新薬開発には膨大な費用を要するのが一因だが、元製薬会社の研究員でサイエンスライターの佐藤健太郎氏はこう指摘する。

「オプジーボの奏効率は約15~20%(肺がんの場合)にすぎないとされており、大半の患者にとっては“無駄打ち”となってしまう」

そこで、2017年にスイスのノバルティスは米国で白血病治療薬のキムリアを新たに販売する際に、世界で初めて成功報酬型という仕組みを導入した。薬が効いた場合にのみ製薬会社に代金を支払うというもので、効かない場合は減額もしくは無料となる。画期的な新薬開発に成功すれば高い価格でも受け入れられるので、製薬会社へのメリットも大きい。

国内製薬大手4社(武田薬品工業、アステラス製薬、エーザイ、田辺三菱製薬)も、欧米での販売で成功報酬型の導入を実施・計画中だ。

だが、国が薬価を定める日本では、制度の抜本改正抜きに成功報酬型の導入は難しい。「有効性の判定などの論点は残るが、患者の負担減となる可能性もある」(佐藤氏)だけに、検討価値は高い。実際、医師や製薬業界から制度改正の要望はあるが、厚生労働省に動きは見られない。

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大西 洋平(おおにし・ようへい)
金融ジャーナリスト
出版社勤務等を経て1995年に独立し、金融経済の分野を専門に執筆活動を続ける。著書に『「株式新聞」のスゴイ読み方』(廣済堂出版)。

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(金融ジャーナリスト 大西 洋平)

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