仲良しでも堅いメール文の人が信頼できるワケ

プレジデントオンライン / 2019年10月6日 17時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/taa22)

■堅い文章を崩さない人はどういう心理なのか

会ったときは「◯◯さん!」と下の名前で呼び、ざっくばらんに話せる仲なのに、メールでは常に「△△様 いつもお世話になっております」と堅苦しいまま。仕事つながりの知人の、対面とメールでの態度のギャップやいつまでも距離がある感じに悶々とする――働く30代女性がそんな話をしていました。

彼女の話を聞く限りでは、ふたりの距離は縮まっているように感じますが、メールでのお堅い印象が気になるそう。でも、あまり気にしなくてよいのではないでしょうか。

話し言葉は表情や声のトーン、身振り手振りなど、あらゆる情報を盛り込んで、メッセージを伝える手段であります。一方で、書き言葉は表現方法が文字のみなので、伝えたいことを端的に伝えるのに向いた手段です。つまり、書き言葉はそもそも「堅い」ものなのです。

さらに、ビジネスメールには様式美やマナーがうるさく言われ、ビジネスパーソンの多くはそれらに沿って書くことに慣れています。ビジネスメールでは、親密度に関係なく「誰に対しても決まったスタイルで書く」ことが習慣付いている人は多いのではないでしょうか。

むしろ、様式を崩すことで生じるデメリットを懸念する人もいると思います。極端なたとえになりますが、ビジネスメールで「△△ちゃん 昨日のランチMTGは楽しかったね」と崩しを加えると、相手に「なんだか無礼」「私に下心があるのでは」と思われる可能性もあるわけです。クライアントに悪印象を抱かれることを懸念して、一線を引く意味で「ビジネスメールは絶対に崩さない」と、意識して心がけている人もいるでしょう。

■個別対応をするのはやや面倒くさい

様式を崩すのがそもそも面倒くさい、と考える人もいます。たとえば、「Aさんには名字+さん付け、Bさんには下の名前+さん付け、Cさんには名字+様でよかったよね?」と、メールを書く前にいちいち考え、各自に対して違った書き方をするとなると、手間がかかるものです。一方で、誰に対しても「◯◯様」と書くなら、一人ひとり別々に考える時間は不要です。

距離が縮まっているはずの相手から、ビジネスメールで「◯◯様 いつもお世話になっております」と書かれ続けるのがどうしても嫌なら、「そろそろ◯◯様はやめませんか? ◯◯さんと書いてほしい、と私は思っています」と直接話してみるのもありでしょう。

相手が特に賛同してくれるわけではなく、「ビジネスメールでは、どんな人に対しても『◯◯様』と書くことにしているから」と言うなら、じゃあ仕方がないね、と納得がいくはずです。自分の考えを強要するのはNGですが、距離が縮まっているのなら、聞いてみるくらいは問題ないでしょう。

SlackやLINEなどのチャットツールは、短文やスタンプをテンポよくやりとりするのが様式美であるように、ビジネスメールにもそれなりの様式美があります。そう考えると対面とメールでの差は気にしすぎなくてもいいのではと思います。

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三浦 麻子 社会心理学者
大阪大学大学院人間科学研究科教授。著書に『なるほど! 心理学研究法』ほか。週末の楽しみは競馬観戦。

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(社会心理学者 三浦 麻子 構成=池田園子)

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