キャリアアップの土台となったまとめノート術
プレジデントオンライン / 2019年9月28日 6時15分
■気になる新聞記事は、スマホで撮影
月曜から金曜までは東京の本社をベースに、週末は兵庫の家族のもとに帰るという単身赴任生活を送る高崎邦子さん。休日は中学3年生になる長女と図書館に行ったり、映画鑑賞や観劇をしたりなど母娘の時間を過ごすのを楽しみにしている。
「以前『アナと雪の女王』を一緒に見たとき、ダブルヒロインのアナとエルサのどちらが好きかという話になって。姉の苦労が理解できるので私はエルサ派、娘は快活なアナ派と意見が分かれて話が盛り上がりました。劇団四季の『ライオンキング』を見たあとには、テーマの“サークル・オブ・ライフ(生命の連環)”の意味を小5だった娘が正確に理解していて、驚きましたね」
さらに、本の情報をもらうこともある。樹木希林さんの『一切なりゆき』がベストセラーになる、との長女の言葉に高崎さんは半信半疑だったが、その通りに。「私の仕事はサービス業ですから、あらゆる年代の思考や感覚を理解していないといけません。娘と話し、若い感性と触れ合うことはとても勉強になります」
しかし今は全国を飛び回る生活なので、映画を何本も見たり、本をじっくり読む余裕がない。日々の情報のインプットはもっぱら新聞。平日はストレートニュースをインターネットでチェックし、週末に社説や解説記事をまとめ読み。気になった記事は切り抜いて保管していたが、最近では記事をスマホで撮影するようにしている。「移動中に見返すのが簡単だし、テーマごとにフォルダに保存しておけばいいので効率的です」
全国の社員との対話の際、テーマに、企業風土変革やダイバーシティ推進だけでなく、年金、介護、結婚などあらゆることを俎上(そじょう)に載せる。だから、新聞の切り抜きはネタの“引き出し”に。「もちろん相手は社員だけではありません。どんなときでも、どんな人とでもきちんと対話ができるように、常に情報を蓄えておく必要があります」
■インプットした情報は、平易な言葉で整理整頓
高崎さんは講演会、勉強会などでトップマネジメントや著名な大学教授など、さまざまな人から話を聞く機会も多いが、それも“引き出し”になっているそう。習慣化しているのは漫然と話を聞くのではなく、話を聞いた後に、内容を整理整頓した「まとめノート」を作ること。
「メモも取りますが、そのまま放っておいてはダメ。せっかくのいい話を忘れてしまうので、講演を聞いたその日に作ります。心に響いた言葉、自分の琴線に触れたフレーズを抽出して、私なりに言葉を足して膨らませてまとめ書き。もっとテーマを深掘りしたいときは、ネットで検索して情報を拾って追加します」
いつか誰かに話すかもしれないので、客観的な視点で内容を整理整頓しておく。そうでないとそのトピックスを他人に明確に伝えられない。そしてできるだけ平易な言葉で表すこと。難しいことを難しく説明するのではなく、小学生にでも理解できる言葉に変換することが大事だ。
「今では当たり前のように使っている“ダイバーシティ”や“イノベーション”という外来語もそう。今さらですが『これは一体どういう意味なのか?』とあらためて考え、相手にちゃんと響く言葉になっているかどうかを突き詰めます」
社員一人ひとりの幸福と会社の持続的な成長を両立できるように、“言い続ける、やり続ける、諦めない”姿勢で取り組み、そのための施策をどんどん実行していきたい。やりがいのある仕事なので、自ら働き方改革を実践し、テレワークなどを利用しながら携わり続けたいと語る高崎さん。「時間ができたら、映画もたくさん見たい」と願うが、まだまだ先のこととなりそうだ。
【20代】歴史、経済、語学、働き方改革、雑学などを学ぶ。新聞の切り抜きを始める。講演会等でインプットした情報や知識をオリジナルでまとめる「まとめノート」を始める。
【30代】異業種交流会に参加。普段出会えない人々と交流を深める。
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JTB 執行役員
1963年生まれ。関西学院大学法学部卒業後、現JTBに入社。教育旅行、法人旅行など、日本と世界各国への出張添乗業務に携わる。CSR推進部長、教育旅行神戸支店長等を経て、2018年より現職。
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(東野 りか 撮影=村林千賀子)
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