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出世する人の共通点が"礼儀正しさ"であるワケ

プレジデントオンライン / 2019年10月13日 11時15分

大島 武『Think CIVILITY「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である』(東洋経済新報社)

■無礼な態度が下げる仕事の質、組織への忠誠心……

映画やドラマの影響なのか、アメリカのオフィス風景と言えば、ラフな格好で、上司と部下もタメ口で、気さくに冗談を言い合うイメージが強い。

堅苦しい礼儀よりも本音のやりとりを重んじる文化――そんな私の偏見をよそに、礼節の重要性を学術的に分析したアメリカ人研究者の著書が刊行された。「『職場の無礼さ』の研究、20年の集大成!」「全米で話題の『礼節の科学』」のオビも効いている。礼儀・礼節の本家は日本だろうという自負もあり、上から目線で読んだが、興味深い内容だった。

本書は礼節を単にビジネスマナーの問題と捉えるのではなく、企業のパフォーマンスに重大な影響を及ぼす要素として論じている。たとえば顧客体験として、レストランで支配人が従業員を汚い言葉で叱責する場面を見てしまったら、たとえ料理が美味しくても、その店のイメージは下がるだろう。無礼な態度によって生じた悪い記憶は刺青のように脳に焼き付くのだという。

■職場で他者から無礼な態度を取られている

これは感覚的なものにとどまらず、行動レベルにも表れる。著者が17の業界の800人の管理職、従業員に対して行った調査では、職場で他者から無礼な態度を取られている人には次のことが言えるという。47%が仕事にかける時間を意図的に減らし、38%が仕事の質を意図的に下げ、78%が組織への忠誠心が低下したと感じている。そして何と80%が無礼な態度を気に病み、そのせいで仕事に使うべき時間を奪われているという。

無礼が生み出す経済的損失だけでなく、個人や組織の礼節を高めるための方法も提案されている。試しに32項目ある「礼節チェックリスト」をやってみた。ほとんど大丈夫だったが、「他人と関わらず、何でも自分ひとりだけで進めようとする」「人の話を途中で遮る」の2項目は「時々ある」に当てはまると感じた。特に後者は、相手の話が今一つ要領を得ないときに、「つまり、こういうことですよね」等と途中でまとめたがる傾向が私にはある。これは十分無礼なことなのだと自覚しよう。

最終章では、無礼な人から身を守り、ストレスをためないようにするための手法が紹介されている。具体的な「あの人」が思い浮かぶ人は、ぜひ試してみるといいだろう。

よく似たタイトルの『Think clearly』がベストセラーになっているが、個人的にはこちらがお薦め。ただ、1つ注文もある。本書では一貫して「礼節ある態度」「無礼な態度」を白黒はっきり分けられるものとして論じている。しかし、何を無礼に感じるかには個人差があるはずだ。同じことを言っても、力関係や、お互いの好き嫌いで意味合いは変わってくる。昨今のパワハラ論議にも関わる「受け止め方の違い」「礼節と無礼の線引き」に焦点を当てた知見にも触れてみたかった。

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大島 武(おおしま・たけし)
東京工芸大学教授
1963年生まれ。一橋大学社会学部卒業。ロンドン大学インペリアル校経営大学院修了。NTT勤務などを経て、2012年より現職。弟・大島新氏との共著に『君たちはなぜ、怒らないのかー父・大島渚と50の言葉』。

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大島 武(おおしま・たけし)
東京工芸大学教授
1963年生まれ。一橋大学社会学部卒業後、ロンドン大学インペリアル校経営大学院修了。NTT勤務等を経て、2012年より現職。弟・大島新氏との共著に『君たちはなぜ、怒らないのか―父・大島渚と50の言葉―』。

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(東京工芸大学教授 大島 武)

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