ソフトバンク「半額サポート+」の深すぎる闇
プレジデントオンライン / 2019年11月4日 11時15分
■ソフトバンク「半額サポート+」の深すぎる闇
2019年9月13日、ソフトバンクは新施策「半額サポート+(プラス)」の提供を開始しました。この施策は19年10月からの電気通信事業法の改正を受けてつくられたもので、この法律により規制される内容は、端末代金と通信料の完全分離です。
この完全分離を簡単に説明すると「回線契約をすることのオマケに、端末を割引してはいけません」ということ。これによって、現在までケータイ会社が行っていた形の端末割引はまず不可能となりますが、半額サポート+はこの法律の“抜け穴”をうまく突いた形の施策です。
半額サポート+による端末購入は、48回(4年間)の分割購入となります。当然ながら、ユーザーは4年かけて端末代金を完済する必要がありますが、月額390円を払い半額サポート+に加入することで、25カ月目(3年目)以降の任意のタイミングで「端末をソフトバンクへ返却し、新しい機種を購入する」ことで、残りの支払いをなしにすることができます。
つまり、半額サポート+は「端末代金の半額で、2年間端末を使うことができる契約」だと言えます。これは事実上のリース契約であって、私たちが考える“購入”とは違う形かもしれません。
■半額サポート+を適用しないほうが得な場面も
さらに言い換えれば、「キャリアが25カ月目以降、端末を最大半額で買い取ってくれる」施策とも言えますが、半額サポート+を適用しないほうが得な場面も考えられます。
たとえば、17年11月に発売されたiPhoneX 64GBの定価は約12万円ですが、中古スマホ店“イオシス”では中古品の買取上限価格は定価のほぼ半額の6万円。半額サポート+に2年間加入した場合は、390×24=9360円がかかるため、半額サポート+を利用しないほうがお得になります。値崩れの緩やかなApple製品は、こういうことも起こりそうです。
また、半額サポート+で残債をなくした後は、再び半額サポート+を契約するか、定価で機種を購入する必要があります。
また前述の通り、今回の法改正によって端末の割引が望めなくなるため家電量販店や中古スマホ販売店セール、Appleが提供しているようなメーカー独自の下取りを利用したほうが、結果的にお得になる可能性も否めません。
半額サポート+は今までauの提供してきた“アップグレードプログラムEX”やソフトバンクの“半額サポート”と同様の施策ですが、上記の2施策は回線契約時のみ契約できるものでした。
ですが今回の半額サポート+は、回線契約なしで契約可能なため、今回の法律には抵触しません。脱法的なプランへの先祖返りに、深い闇を感じます。
一連の完全分離施策で総務省が意図したのは、端末とプランを分離させ、料金をわかりやすくすることにより、端末とプランの価格競争を促進させることだったはずです。
ですが、今回の脱法的施策は、端末とプランが相互に関係したわかりづらい契約体系を復活させたものです。このままでは「法改正までしたのに何も変わらなかった」ということにもなりかねません。
今後、さらに複雑で巧妙なプランが出る可能性も否定できません。ショップでよくわからないプランをすすめられた際は、その場で即断せず情報収集や有識者への相談を行ってその内容を十分に理解することが、今まで以上に求められるかもしれません。
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行動するお金博士
1991年生まれ。自らの節約生活をもとにした「1週間食費0円生活」を月刊誌で連載中。節約術やお金の最新事情に精通。
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(行動するお金博士 山野 祐介)
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