竹中平蔵「今の日本人は童貞男子とそっくりだ」
プレジデントオンライン / 2019年10月23日 6時15分
Q. 収入が全然上がらない
■挑戦童貞を早く捨てよ
実は今の時代は、大きなお金を生み出すチャンスのときなんです。2019年のダボス会議で、ドイツのメルケル首相は次のように言いました。
「今まで世界の秩序を支えてきたのは国連であり、世界銀行であり、IMFである。しかし、それらがつくられてからもう77年が経っていて、寿命を迎えつつある。あの第2次世界大戦が終わったとき、世界をどうするかについて各国がものすごいエネルギーを注いで真剣に議論した。それと同じぐらいのエネルギーを、今注がなければいけない」
その言葉は、佐々木紀彦氏がこの本で主張する「今は70年に1度の大改革期だ」ということと重なります。大改革が起こるときは、目の前にブルーオーシャンが広がっています。みんながやっているところで頑張ったって、たかが頭1つ飛び出すのも大変じゃないですか。でも、何もない分野で新しく何かにチャレンジしたら大きな可能性がありますよね。
孫正義さんや三木谷浩史さん、GAFAも、新しい事業をいち早く始めて成功した。こういう新しい時代が来るときというのは、「ファースト・ムーバーズ・アドバンテージ」が効く時期なんです。しかし、佐々木氏は今の日本人はチャレンジ精神のない人が多いと本書で指摘しています。
■童貞男子とそっくり
“下品な意味ではなく、今の日本人は『チャレンジ童貞』になっているのではないかとすら思います。自分がまだ見ぬ世界、領域、場所、体験など、未知のものを異様なまでに怖がっているように見えるのです。その様は、女性を知らないがゆえに、女性に現実離れしたイメージを抱き、恐れたり、蔑んだりする童貞男子とそっくりです。”
給料というのは自分の生産性に合わせて払われるものなので、昨日と同じことをやっていたらいつまでも上がりません。いや、発展途上国が追い上げてくるのでむしろ下がるといっても言いでしょう。
4年ほど前にオックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン博士が、「人工知能とビッグデータの組み合わせによって、これから10年のうちに今ある米国の職業の47%は消えてなくなる」という内容の論文を書いています。
たとえば銀行の貸付係は、財務のデータを集めて、利益率がどう変化しているかや資産の回転率に無駄はないかを算出し、それを同業他社と比べて増産確率を出している。それはビッグデータと人工知能があればできてしまう仕事ですから、将来その職業の人は大幅に減るとみています。
一方で、アクセンチュアはそれを前向きに捉えています。余った労働力を人間にしかできないクリエーティブな仕事に回せれば、2035年ぐらいまでに世界全体の生産性は40%高まって、日本の成長率は3倍になるとの試算をしているのです。
私はチャップリンの「夢と勇気とサム・マネー」という言葉が好きです。それはまさに「一歩踏み出す勇気を持て」ということ。今は変革期ですごいチャンスに恵まれているから、恐れずとにかくやってみてください。こんなに人手不足なんです。失敗しても何かで食っていけますよ。
▼昨日と同じことしても一生上がらない
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経済学者/東洋大学国際学部教授
1951年、和歌山県生まれ。一橋大学経済学部卒。現在はパソナグループ会長、慶應義塾大学名誉教授も務める。博士(経済学)。
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(経済学者/東洋大学国際学部教授 竹中 平蔵 構成=万亀すぱえ)
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