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35歳以上初めての「ベンチャー転職」天国と地獄

プレジデントオンライン / 2019年10月11日 6時15分

※写真はイメージです(写真=iStock.com/Kavuto)

ベンチャー・スタートアップ企業の躍進ぶりがメディアなどでも頻繁に取り上げられるようになり、転職先としても人気が高まっています。でも、ベンチャーやスタートアップ企業の採用支援を中心に活躍するキープレイヤーズ代表の高野秀敏さんは、「大手企業から転職すると、『こんなはずじゃなかったのに……』と、壁にぶつかってしまう人も少なくない」と言います――。

■意外と多い「こんなはずじゃなかったのに」

仕事の裁量が大きかったり、実力次第で昇格しやすかったりするベンチャー・スタートアップの人気はどんどん高まっていて、大企業からに転職する人も増えています。

創業して間もない企業は大企業を経験している優秀な人材を求めているので、このタイプの転職はわりとスムーズに決まることが多いんです。でも、転職してから「こんなはずじゃなかったのに……」と、壁にぶつかってしまうことも。今回は大手からベンチャー・スタートアップに転職した人が陥りがちな後悔と失敗についてお話ししたいと思います。

■転職先で言ってはいけない言葉

大手からベンチャー・スタートアップに移るとなると、「大手にいた」というプライドが災いしてスタートで大きくつまずく人がいます。入社してすぐに結果を出そうと躍起になったり、「○○○○ではこうしていた」「大手ではみんなこうしている」と、大手でのやり方を押し通そうとしたりして、職場の人たちと険悪なムードになってしまうのです。

もちろん企業側は大手企業での経験に期待をしていますが、転職後に大事なのは転職先の雰囲気に早く馴染(なじ)み、元からいるメンバーとの人間関係を構築していくこと。良好な人間関係を築くことができなければうまくいくものもうまくいかないのは想像ができるはずです。大手企業での経験はもう過去のこと。「郷に入っては郷に従え」の気持ちで臨み、謙虚な姿勢で新しい職場でのやり方を覚えることに徹する必要があります。

■“使えないおばさん”扱いされる覚悟も必要

ベンチャー・スタートアップは、20代を中心とした若い人たちが活躍している企業がほとんどです。経営幹部以外は社会人としての経験が浅く、前職のようなレベルでの仕事の進め方、考え方や意識の持ち方は通用しない会社が圧倒的に多いと思っておいてください。学生気分の抜け切らない社員や今まで出会ったことのないキャラクターのメンバーも多くて、戸惑うこともあると思います。それでも、メンバーや会社を成長させることでより意識の高い人材を集めてこようと考えられる人はいいのですが、現状に物足りなさを感じたり、ストレスを覚えたりするような人は、ベンチャー・スタートアップ企業には向いていないかもしれません。

また、年齢が若く、社会人経験は長くはないものの、ITなどの専門スキルや知識に長けている人がベンチャー・スタートアップには比較的集まっています。転職後、10や20も年下の彼らから仕事を教えてもらったり、時には使えないおじさん・おばさん扱いをされてしまったりするということを覚悟しておいたほうがいいでしょう。

大手企業からベンチャー・スタートアップ企業への転職を希望すると、ニーズがたくさんあり、驚くことでしょう。これが理由で自分を過大評価してしまう人が多いのですが、転職後も前職までに付き合いのある取引先と同様のビジネスができるかというと、答えはノーです。個人の能力を評価してくれて、転職後もこれまでと同様に付き合ってくれる取引先もありますが、大手という企業のブランドがあったからこそビジネスが成功していたのだということを自覚しましょう。それをきちんと理解していないと、思うような結果を出すことができずに苦しむことになります。

■マネジメントしかやらない幹部は信頼されない

35歳以上の転職では、幹部として迎えられる人もいることと思います。経営幹部として採用されるような人はベンチャー・スタートアップの事情をきちんと理解している人が大半だとは思いますが、幹部といえども大手とベンチャーとではかなり違うのです。

大手では経営幹部ともなると、秘書やアシスタントがつき、日々の細々としたことは部下がやってくれることでしょう。しかし、ベンチャー・スタートアップでは幹部は経営面の業務に加えて率先して実務も行っていかなくてはなりません。将来的に利益を創出でき、会社が大きくなって人材が増えてくれば、幹部としての仕事だけに集中できるようになるかもしれませんが、転職直後からマネジメント業務しかしないという姿勢では間違いなくメンバーの信頼は得られません。

ベンチャー・スタートアップ企業への転職では、年収面については良くてステイで、即戦力でない場合は以前よりもダウンするケースがほとんどです。大手の高い年収を捨ててでも得たいものがある人や、会社の理念やビジョンに強く共感して入社した人であればそれでも我慢できると思いますが、「向上心が高い人が集まっていそう」「活気のある、刺激的な毎日が送れそう」というイメージに引かれて転職を決めてしまうと、モチベーションは徐々に下がってしまうかもしれません。ただでさえ大手に比べると任される仕事の幅は広くなるわけですから、仕事の量と年収を比較してしまうようであれば、ベンチャー・スタートアップ企業への転職は見送ったほうが良いでしょう。

■求人は急増中!

大企業は使える交際費や経費が潤沢にあります。中には未上場で、大手ベンチャーと呼ばれるような規模感の会社だと大手企業よりも資金力があることもありますが、大半のスタートアップやベンチャー企業は、経費として使える額がかなり少ないです。社内外にコスト意識が求められるため、接待などで使えるお店のランクも、大手企業に比べるとどうしても下がってしまいます。大手企業にいる時の感覚でいると、飲んでばかりで経費を使うだけの大企業出身者と思われてしまうので注意が必要です。

ここまで見てきたように、大手からベンチャー・スタートアップに転職した人が陥りがちな後悔と失敗のパターンとしては以下のようなものがあります。

・“大手プライド”が抜けきらない
・若い人材に物足りなさを感じる
・大手ブランドの力で出した成果をはき違えている
・マネジメントしかやらない
・仕事が増え、収入が減ることが不満
・経費など金銭感覚が大手時代のまま

新しく、自由なイメージのあるベンチャー・スタートアップですが、メリットもあればデメリットもあることを知ってほしいと思います。

職業柄、毎日欠かさず求人のチェックを行っているのですが、ここ最近、ベンチャー・スタートアップ企業の求人広告が非常に増えてきています。なぜ今、求人広告が増加しているのかというと、おそらくはこれまでスタートアップへのVC(ベンチャーキャピタル)からの投資が2000億、3000億と来て、昨今では4000億にまでなったと言われており、資金調達に成功した会社が事業拡大のために積極的に人材確保に向けて動き始めているからだと思われます。ベンチャー・スタートアップ企業への転職を考えている人にとってはまさに今がチャンス。自分の志向が本当にベンチャー・スタートアップに合っているのかどうかをしっかりと見極めた上で転職活動に臨んでください。

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高野 秀敏(たかの・ひでとし)
キープレイヤーズ代表取締役
新卒でインテリジェンスへ入社。その後、2005年にキープレイヤーズを設立し、人材エージェントとして55社以上のアドバイザー・社外役員・エンジェル投資を国内、シリコンバレー、バングラデシュで実行。3000名以上の経営者の相談と、1万名以上の個人のキャリアカウンセリングを行う。マネージャーとして、キャリアコンサルタントチームを運営・教育。人事部採用担当として、数百人の学生、社会人と面談。学校や学生団体での講演回数100回以上。

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(キープレイヤーズ代表取締役 高野 秀敏 写真=iStock.com)

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