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大仕事を果たす「不良社員」を殺す上司の声かけ

プレジデントオンライン / 2019年10月26日 11時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/EmirMemedovski

Q. 部下が言うことを聞かない

■使えない部下か本物の改革者か

経団連会長や第二次臨調会長を務めた昭和の財界人、土光敏夫に『土光敏夫 信念の言葉』(PHP文庫)という著書があります。ここで土光は、上司が部下と対するときの「肯定的態度と否定的態度」について述べています。

肯定的態度とは「相手の発言を相手の立場になって聴き、どこに賛成しようかと考える姿勢」、否定的態度とは「どこに反対しようかと考える姿勢」です。そして部下からの提案にはなるべく肯定的態度で、「それを心から認めてあげることを惜しんではなるまい」と語っています。

また、ここで土光は、若き技術者だったころ、上司が「ここを世界一の工場にしたい」と大きな夢を語る姿に感動し、以後彼を手本にした、という話を書いています。

「部下が言うことを聞かない」と嘆く上司より、部下の意見を積極的に認め、「自分はこういう夢を持っている。君はどう思う?」と語れる上司が、部下を動かすのです。

もっとも、部下が上司の指示に従わない場合、実際には単なる「使えない部下」のケースが多いでしょう。ただ、なかには信念を曲げない真の改革者がいるかもしれません。

徳冨健次郎(蘆花)の『謀叛論』(岩波文庫)は、幸徳秋水らが処刑された大逆事件についての公開講演の草稿です。ここで徳冨は「諸君、謀叛を恐れてはならぬ。新しいものは常に謀叛である」「諸君は謀叛人を容るるの度量と、青書生に聴くの謙遜がなければならぬ」と述べています。

■大仕事をやってのける人材が隠れている

ソニーで「アイボ」を開発し、常務まで務めた土井利忠氏(ペンネーム天外伺朗)も、『人材は不良社員から探せ』(講談社ブルーバックス)の中で「会社で組織になじめず、不良社員と呼ばれるような人の中にこそ、常識をひっくり返すような大仕事をやってのける人材が隠れているのだ」と指摘しています。

巌本善治 編●江戸城無血開城の立役者で、明治政府でも重きをなした勝海舟が政治人生を振り返った。べらんめえ調を生かした親しみやすい本。(岩波文庫)

べらんめえ調が楽しい勝海舟の『新訂 海舟座談』(岩波文庫)では、勝が「誰を味方になどというから、間違うのだ。みンな、敵がいい。敵がないと、事が出来ぬ。みンながワイワイ反対して、それでいいのだ」「ワシは1人も同志はいないよ」と語っています。新しい世界を開いた勝のような人から見れば、みなが反対するようなことこそが大事なのだ、となるわけです。そうした「本物の改革者」が、あなたの部下の中にはいるのかもしれません。

孔子も『論語』(岩波文庫)の中で説いています。「人が思い通りにならないといって文句を言うのではなく、自分に至らないところがあるせいだと考えるべき」。つまり「他責」ではなく「自責」の精神を持てというのです。

部下が言うことを聞かないのであれば、「本来、部下に判断を任せるべきなのに、『こうやれ』と命令している自分に問題があるのかもしれない」「ではどうすればいいか」という順に考えていくのです。

上司は部下に比べて経験豊かで能力も勝っています。そのため、思うように部下が動かないときには部下が悪いと考えてしまいがち。しかし、本当にそうなのか。謙虚に自問自答してみることが大事だと思います。

▼まず肯定的態度で接すること

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本田 有明(ほんだ・ありあけ)
本田コンサルタント事務所代表
慶應義塾大学文学部哲学科卒業。日本能率協会勤務を経て、1996年独立。コンサルティングや講演、執筆で活躍。『上司になってはいけない人たち』など著書多数。

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(本田コンサルタント事務所代表 本田 有明 構成=久保田正志)

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