一流が「今日の会議何でしたっけ?」と聞く理由
プレジデントオンライン / 2019年10月27日 11時15分
Q. 会議で存在感を発揮できない
■会議のイシューを一言で
ビジネスからサイエンスまであらゆる分野に共通する「知的生産の本質」について書かれた本書は、初版から9年近く経つ現在も売れ続けている名著である。中身はかなりボリュームがあるが、小見出しを読んでいくだけでも視界がかなりクリアになり、生産性を上げるヒントがいくつも見つかるはずだ。
イシューとは、著者によれば、「それを解決すればアウトプットが増え、バリューが高まる知的生産の目的地」のこと。そして、イシューの解を求めるために行うのが会議なのである。ところが、現実には、このイシューがしばしば迷子になって、イシューの解決にそれほど関係のないテーマを、口角泡を飛ばして議論しているケースが意外に多く見受けられる。これでは一見白熱しているように見えても、終わってみれば何の成果もなく、徒労感のみが残るということになってしまう。
開始から30分以上経ってもなお、当初の課題に対する有効な解決策に至らない場合は、イシューを見失っていると思ってまず間違いない。私は銀行員時代そういう事態を防ぐために、会議は30分以内と最初から決めていた。
■会議のイシューを思い出させる
会議で存在感を示したいなら、そもそもこれはどんなイシューを解決するための会議なのかということを頭に置いて、本質から外れたミクロの議論にはあえて口を挟まず、常に「鷲の目」で全体を見るようにすること。そうしておいて、このままいったらいよいよ戻ってこられないというところまできたら、おもむろに「ちょっと待ってください、今回の会議で決めなければならないのは何でしたっけ」と、その場を落ち着かせて、全員に会議のイシューを思い出させるのだ。
最初のうちはなかなか通じないかもしれない。だが、懲りずに続けていれば、やがて発言のタイミングや注目を集める声の大きさ、思わず耳を傾けたくなる決め台詞といったスキルが身につくだろう。そうなったときには「あいつはいつも全体を見ている」「大局観の持ち主だ」という評価が定まっているに違いない。
イシューに対して質の高い解を導き出せたとしても、それで会議の目的が達成されたとはならないから、この点にも気をつけなければならない。『イシューからはじめよ』にはこうある。「解の質を上げる」より「イシューの質を上げる」。
会議で提示された課題に対し参加者全員がぶれることなく向き合い、めでたくその課題の解が見つかったとしよう。しかし、もしかしたらその課題は、苦労して解決しても、会社や仕事のバリューを上げるのにそれほど影響を及ぼさないかもしれない。あるいは、短期的には正しくても、長期的には間違った課題設定をしている場合もある。だから、イシューを検証し、質が低いと判断したらイシューそのものを見直さなければならないのである。
「これは今日話し合うべき課題でしょうか」「議論しなければならないのはこっちではないですか」。会議に先立ちこういう提言をできるようになったら、上司もあなたに一目置くようになるだろう。
▼細部にこだわらず、鷲の目で急所を突け
----------
作家
1960年生まれ。東京大学卒業後、富士銀行(現みずほ銀行)入行。みずほ証券財務開発部長などを経て、2008年独立。『松下幸之助 経営の神様とよばれた男』『思い邪なし』など著書多数。
----------
(作家 北 康利 構成=山口雅之)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
日銀は予想通り6月に国債買入れ減額を決定~開始を7月に先送りした理由とは~(愛宕伸康)
トウシル / 2024年6月19日 8時0分
-
作家の北康利氏が語る、「稲盛和夫伝 利他の心を永久に(PHP文庫)」執筆を通じて伝えたかったこと 京都経営塾が特別公開セミナーを開催!新規塾生を募集
@Press / 2024年6月17日 10時0分
-
smartround、スタートアップ向けテンプレート・資料集を提供開始!みずほ信託銀行と連携し、IPO準備企業向けテンプレートを公開
PR TIMES / 2024年5月31日 13時40分
-
【意見募集】火葬の24時間規定、続けるべきか?
PR TIMES / 2024年5月30日 15時15分
-
【プレスリリース】会津若松市が「働き方改革課題解決特別タスクフォース」の立ち上げを発表、 外部専門家として(株)ワーク・ライフバランスが議論進行や知見提供を実施
PR TIMES / 2024年5月28日 11時15分
ランキング
-
1新宿で路地裏グルメの隠れバー探索 訪日観光客に「人気の体験」第1位
OVO [オーヴォ] / 2024年6月26日 16時42分
-
2<独自>朝鮮学校に「南北統一」教育禁じる指示 総連内部文書 韓国との平和統一放棄で
産経ニュース / 2024年6月26日 17時44分
-
3《時代を敏感に感じ取ってきた女性芸人たち》日常的だった「容姿いじり」からの脱却、変化するその環境や意識
NEWSポストセブン / 2024年6月26日 7時13分
-
4去年の日焼け止めは効果ナシ!?正しい使い方&おすすめ商品3つ
つやプラ / 2024年6月26日 12時0分
-
5現行の10円玉が「97万円」「37万円」と続々大化け! “高額落札常連10円玉”の正体とは?
オールアバウト / 2024年6月26日 21時50分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください