東大生がやっている「頭が良くなる3ステップ」

プレジデントオンライン / 2019年10月16日 6時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/mizoula

東大の授業やゼミでは「自分の意見を作ること」を推奨されるという。なぜ東大では常に自分の意見が求められるのか。現役東大生の西岡壱誠氏は、「自分の意見を作ることは、非常にいいアウトプットになる。アウトプットこそが、人間の頭が良くなるタイミングなのだ」という――。

■東大では常に自分の意見を言うことを求められる

「この件について、あなたの意見を聞かせてください」と聞かれた時に、あなたは答えられるでしょうか?

僕はできませんでした。「意見を述べてください!」なんて言われても、パッと自分の考えをまとめて相手に伝えるなんて難しいですよね? そんなことできる人の方が少ないと思います。

しかし、そんな僕も東大に入ってからはそんなことも言ってられなくなってしまいました。実は、東大の授業やゼミ・食事会やセミナーでは、引っ切り無しに「自分の意見」を求められるのです。

「アメリカのトランプ外交についてどう思うか」といった政治的な話題や、「偏向報道問題についてどう思うか」「プライバシーはどこまで守られるべきか」といった社会的な話題も、逆にちょっと不真面目に「源氏物語の中で一番素晴らしい女性は誰か」といった本の話題など、さまざまな分野で議論し、意見を言い合うことが推奨されていて、意見をきちんと言える人間にならざるを得ない空間なのです。

■人は「アウトプット」するとき頭が良くなる

何を隠そう東京大学は、「自分の意見を作ること」を推奨している大学です。4年前から始まった推薦入試でも、東大の教授は学生に対して「この問題についてあなたの考えを聞かせてください」という問いを何度もぶつけていて、入試問題の中にも「18歳選挙権についてどう思うか」「『人の痛みは誰にもわからない』という言葉についてどう思うか」といった問題が出題され、授業やゼミでも意見をぶつけ合うディスカッションに多くの時間が割かれています。

なぜ東大は自分の意見を作ることを推奨しているのか? 実はこの理由は、文部科学省が2020年入試改革で柱にしている「思考力」「判断力」「表現力」に関連しています。自分の意見を作ろうとすることが、この3つの能力を伸ばし、人間の頭を良くしてくれる行為なのです。

みなさんは、人間が頭が良くなる瞬間がいつかご存じですか?

教育学の研究でわかっていることなのですが、頭が良くなるのは本や新聞を読んだり、授業や講演を聞いたりするインプットの瞬間ではないそうです。

そういう学んだ知識や得た情報を使って、何かをアウトプットする瞬間にこそ、頭が良くなるそうなのです。知識や情報は、それをただ暗記していてはなんの意味もなくて、自分の頭の中で噛み砕いたりそれを使って何かをするときにこそ、頭に残るようになる訳です。

■人への説明やノートを取ることも「アウトプット」

アウトプット、というと、問題を解いたり答えを出したりすることを想像する人も多いと思うのですが、ここでいうアウトプットというのは問題を解くことだけではありません。

例えば、誰かに何かを説明する時を思い浮かべてください。自分が知っていること、聞いた話を、自分の言葉に変換して相手に伝える必要がありますよね。その時、自分が納得できていないことや、あまり良くわかっていないことは相手に伝わりにくくなってしまいます。逆に、相手に説明できる状態にしようと思うと、インプットした情報が整理され、自分の中でも深く理解することに繋がります。誰かに何かを説明したり、自分の言葉で言い換えたりするときにこそ、頭が良くなるのです。

また、ノートの取り方も工夫すればアウトプットにすることができます。東大生は先生の話や黒板に書いた板書などをそのまま写す学生は極端に少なく、どの人もみんな自分の頭で考えたことを整理して、授業の内容を言い換えてノートを作っています。人によってはそのノートを他人に積極的に見せて、「わかりにくいポイントがあったら教えてくれ」と言って、自分の理解が不十分なポイントをチェックしていたりします。

ここからわかるように、人間が頭が良くなるのは説明したり言い返したりする「アウトプット」のタイミングなのです。

■まずはインプットを「整理」し、「煮詰める」

さて、勘のいい方ならもうお気付きかもしれませんが、実は「自分の意見を作る」というのは、非常にいいアウトプットになるのです。

「自分の意見を作る」=「非常にいいアウトプット」だということを説明するために、意見の作り方の3ステップを紹介させてください。東大生の「意見の作り方」を調べたところ、自分の意見を作る上でだいたい3つのステップを経て作っていることがわかりました。実はこの3つのステップが、「自分の頭で考える」ということを推進してくれるのです。

(1)思考
まず、自分の意見を考えるとき、最初に前提をきちんと自分で整理する必要があります。
「増税についての意見を求められたけど、そもそもなんで増税が必要だったんだっけ? 背景をきちんと整理しておこう」「源氏物語の一番のヒロインを考えるわけだけど、どんなヒロインがいたんだっけ? ツンデレなタイプと尽くしてくれるタイプとに分けられるかも」というように、前提を整理しなければ意見なんて作れません。

まずはこの過程で、インプットしたことを整理することができるようになります。

(2)判断
そうやって前提を整理した上で、物事を判断します。
増税に関してなら賛成なのか反対なのか、源氏物語のヒロインなら誰が一番なのか、選ばなければなりません。そしてそれを選ぶ際には、きちんとその事柄について自分の頭で考える必要があります。増税に関してもヒロインに関しても、熟知した上でないと判断ができないわけです。

この過程で、インプットしたことを煮詰める必要が生まれるのです。

■意見を作るステップは新しい入試で問われる力と同じ

(3)表現
そして最後に、そうやって選んだ事柄を肉付けして、相手に伝わりやすく、相手に説得しやすいような表現を作る必要があります。
「増税に関して自分は反対だ。なぜなら3つの理由があって、1つは……」「源氏物語で最高のヒロインは花散里だ。まず源氏物語にはツンデレなタイプと尽くしてくれるタイプがいるが、このうちツンデレなタイプはこういう特徴があって……」と、相手を説得できるだけの情報を整理し、そして伝わりやすいように自分の頭で考える必要があるわけです。

この過程で、インプットをアウトプットへと変換することで自分の頭で考えることができるようになるわけです。

いかがでしょうか? 意見を作る時、私たちはインプットしたことを何度も何度も咀嚼しているのです。意見を考える中でこそ頭が良くなっていると言っても過言ではないでしょう。

そしてこの3つのステップは、実はそっくりそのまま、2020年入試改革で問われる「思考力」「判断力」「表現力」に繋がります。自分の意見を作る際には、自分の頭で思考して情報を整理し、その思考を元に自分で正誤や功罪・善悪やメリットデメリットを判断し、そしてそれを相手を説得できるような形で表現する。

思考し、判断し、表現するという全てを兼ね備えているのが意見を作るという行為であり、だからこそ2020年入試改革の対策として一番適している訓練方法だと言えるのかもしれません。

■これからの時代は自分の意見がないと生き残れない

今までの時代というのは、「出る杭は打たれる」で、意見や自分の考えなどなくても従っていればいい世の中でした。しかし、そうした「ただ従うだけ」の単純労働はロボットやAIの方が人間より優れていて、人間に勝ち目がないわけです。

西岡壱誠『東大で25年使い続けられている「自分の意見」の方程式 最強のアウトプットの作り方』(KADOKAWA)

これからの変化の激しいVUCAの時代は、きちんと自分の意見や自分の考えを持って、それを発言できる人こそが求められています。「出る杭」こそが求められるということですね。

そう考えてみると、「自分の意見を作る」というのは時代にあっていることだと言えます。特にこの変化していく激動の時代を生き抜かなければならない高校生たちは、自分の意見を作る訓練をどんどんしていくべきなのではないでしょうか。高校は義務教育ではありませんし、2015年からは18歳に選挙権が与えられるようになりました。つまりは、高校生は自分でいろんなことを考え、判断する「大人」でなければならないというわけです。

もしかしたら2020年入試改革は、高校生に「大人になれ」と言っている改革だと言ってもいいのかもしれません。

もちろんこれは僕の勝手な考えですが、しかし自分の意見を作るというのが学習効果が高く、これからの時代にも合っているというのは間違いないのだと思います。みなさんもぜひ、「自分の意見」を持つということを挑戦してみていただければと思います。

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西岡 壱誠(にしおか・いっせい)
東京大学4年生
1996年生まれ。2浪から「暗記術」「読書術」「作文術」を開発し、東京大学経済学部に合格を果たす。全国4つの高校で「リアルドラゴン桜プロジェクト」を実施し、高校生に勉強法を教えている。近著に『書き込み式「東大作文練習ノート」つき 東大作文』(東洋経済新報社)など。

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(東京大学4年生 西岡 壱誠)

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