進次郎vs金正恩「どっちのポエムがセクシーか」
プレジデントオンライン / 2019年10月17日 17時15分
■「進次郎氏が言いそうな発言」という大喜利も
「気候変動のような大きな問題はセクシーに取り組むべきだ」
2019年9月22日、ニューヨークの環境問題会議に出席した小泉進次郎環境大臣の発言が波紋を呼んでいる。
ほかにも、「今のままではいけないと思います。だからこそ、日本は今のままではいけないと思っている」とも。それ以前には、福島の汚染土の最終処分場建設について問われ、「30年後の自分は何歳か考えていた。(自分は)その30年後の約束を守れるかどうかの節目を見届けることができる政治家だと思う」と答えた。
こうした発言は「ポエム」と揶揄され、ネットで「進次郎氏が言いそうな発言」という大喜利も展開された。
この「重大なことを言ってそうで、実際には何も言ってない」点は、父親の小泉純一郎元総理の表層だけを真似たからという見方にあるが、実はこれと似た人物がお隣の国にも存在しているのだ。
そう、北朝鮮の金正恩委員長である。進次郎氏との共通点は、元最高指導者の息子であり、実績や実力はさておき立場上、何かと発言義務が生じる点だ。正恩氏の発言内容は「お言葉」として記録され、北朝鮮の国内メディアや文献にたびたび登場する。その中から抜粋してみよう。
■あまりにもお粗末、進次郎と正恩の悲劇
2010年6月、人民軍のサッカーの試合を観覧した正恩氏が韓国との戦闘を想定し兵士らにこう語ったという(16年10月、韓国MBC)。
「弓を引くと音が出ないので、隠密性を保障できる」
比喩ではなく、文字通り音の出ない弓で韓国軍を攻撃すれば有利だということらしい。また、18年の金日成総合大学学報に掲載された論文内で、このような発言が引用されている。
「周波数の管理を徹底しなければなりません。周波数は国家の貴重な資源であり、周波数管理を科学化することで、無線通信と放送の効果を高めることができます」
■「ご当地色に合わせて、いろいろ建てれば?」
非専門家である正恩氏に言われるまでもなく、周波数の管理はエンジニアにとって基本中の基本だ。また同年12月1日付の朝鮮中央通信では、水産工場を視察した正恩氏の発言をこのように報じている。
「捕獲した魚を取り扱う際は、汚染や変質させたりしないように」
「すべての工程において衛生学的要求を徹底的に守り厳格な秩序を保つこと」
要するに魚の衛生管理を徹底しろということだが、漁業関係者であれば言われなくとも当然のことである。
そして都市計画など、明らかに門外漢となる分野ではさらにざっくりとしたコメントとなることもある。19年6月1日付の労働新聞では、江界市と満浦市の建設計画図を見た正恩氏の発言内容をこのように報道している。
「都市形成では地方の固有な特性を生かすのが何よりも重要」
「(他の地域の経験を見習い)、地域の性格が生きるよう建築形成計画を科学的に立て、建築物を多様で特色ある形式で建て、市の姿を一新させなければならない」
規模の大きな話にはさすがに対応が難しいのか、要約すると「ご当地色に合わせて、いろいろ建てればいいのでは?」ということのようだ。
■血筋だけで次世代のリーダーに見込まれた人間の悲劇
ただ、日朝の社会状況と経済・文化水準を比較した場合、進次郎氏の発言の空虚さが際立つ印象だ。
北朝鮮において最高指導者は国家の象徴でもあり、初代である金日成主席の時代からその「お言葉」が国のすべての指針として取り扱われる。それによって国威発揚を図っている部分が大きく、先進国からは凡庸に聞こえても、発展途上で鎖国状態の北朝鮮国内の文化水準にはマッチしているとも考えられる。
一方で、進次郎氏の発言は先進国の閣僚としてはあまりにお粗末な印象だ。いずれも、血筋だけで次世代のリーダーとして祭り上げられてしまった人間の悲劇というところか。
似たような境遇にある進次郎氏と正恩氏。2人の政治家としての今後を、注視したいところである。
(プレジデント編集部 写真=時事通信フォト)
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