英国のトランプ「最大の博打・EU離脱」の行く末
プレジデントオンライン / 2019年10月24日 15時15分
■人気の秘密は、上流階級出身とは思えない「ダサさ」
英国のEU離脱が期限(2019年10月末)まで秒読みとなった。離脱条件で合意するのか、離脱延期法に従いさらに3カ月延期するのか、「合意なき離脱」を強行するのか。決断するのはポピュリズムの権化、英国のトランプという異名もあるチキンレーサーだから、まったく先が読めない。
19年9月中旬、「合意なき離脱」は手で触れるほど現実味がある、とユンケル欧州委員会委員長に言わしめた。反対派の議論を封じるため9月第2週から議会閉鎖という荒業に出たが、最高裁はこれを違法とした。だが総選挙に持ち込めば、民意は離脱派の強いリーダーを求めるだろう。
父は作家で元欧州議会議員のスタンレー・ジョンソン。祖先をたどればオスマン帝国末期の内務大臣アリ・ケマル、英国王ジョージ2世に行きつく。ニューヨークで生まれ2016年まで米英の二重国籍のまま議員やロンドン市長を務めたり、女性問題、人種差別的発言で物議をかもす。
だが、BBCの政治番組のコメンテーターとして見せた知性とウイット、上流階級出身とは思えない「ダサさ」が、野心家で傲慢な一面をうまく緩和して、庶民人気は抜群だ。
ブリュッセル駐在記者時代から欧州懐疑主義。だが、国民投票のあった16年に離脱運動を主導したのは信念ではなく、首相になるための政治上の選択(キャメロン元首相)との指摘もある。「合意なき離脱」の強行は英国の経済・社会の混乱のみならず憲政システムの瀕死も引き起こしかねない。英国最大の博打。憲政史に残すのは英名か悪名か。
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イギリス首相
1964年生まれ。オックスフォード大学卒。庶民院議員、ロンドン市長などを経て2019年7月、保守党党首に選出され、首相就任。
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(ジャーナリスト 三河 五朗 写真=時事通信フォト)
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