1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

「100万円の楽器買って」正しい親の返答とは

プレジデントオンライン / 2019年11月16日 11時15分

■FPがどうしても親に伝えたい「お金の基本」

最近「吹奏楽部の娘が、100万円もするオーボエという楽器を欲しがっているが、買うべきか」という相談を受けました。

ひと昔前であれば、子どもの成長のため、もしくは一流の音楽家になることに期待して楽器を買う親御さんも少なくなかったと思います。

子どもの教育費が高止まりしているとはいえ、今時、新車と同じほどの価格の楽器をポンと買えるご家庭がどれだけあるでしょうか?

こうして楽器を買う前に相談が来るということは、「100万円が無駄になるのではないか」という考えが強くあるからだと思います。

この100万円は、ある意味、子どもへの投資です。景気の動向や将来の先行きに見通しが持てないことへの不安が先行しがちな昨今、確実なもの、すぐ手に入るものを求める傾向は強くなっています。

親以上に子ども世代は将来に対して不安を感じています。私にも中学生の娘がいますが、あるとき「年金ってもらえないんだよね」などと言い出しました。質問ではなく、断言するような口ぶりです。年金制度について丁寧に説明をしましたが、どうも内心は納得していないようでした。

■奨学金が返せず借金地獄に

また、私はスカラシップ・アドバイザーとして高校や大学で奨学金について説明を行うことがあります。驚いたことに「借りられるなら、借りたほうが得」と考えている子どもがほとんどなのです。確かに、貸与型の奨学金は「現時点で返済能力のない若者に、大金を貸してくれる」わけですから、借りた者への将来の投資ともいえますが、借りたお金は返さなければいけません。各種報道でもあるとおり、奨学金が返せず借金地獄に陥るケースもあります。

そこを考慮せず、借りられるものは借りてしまおう、という考えは、奨学金に対する認識不足もありますが、やはり若年層の間でも「先のことなんてわからないから、今もらえるものがもらいたい」という考えが浸透しているからかもしれません。

先日、銀行窓販担当の保険会社の方と話す機会がありました。最近の銀行では、金融商品は10年や5年など中長期のものではなく、3年など短期のものが人気のようです。そんな先の見通しなどつかないので、多少利益が少なくても確実なものを優先したい人が多いといいます。大人ですら先のことを考えられない時代に、子どもに「もっと将来のことを考えなさい」というのは酷でしょう。

私たち親世代は、子どものために何を教えることができるでしょうか? 私は金銭教育もその1つと考えています。

お金について考えることは、自らの「働き方」「生き方」を真剣に考えることです。

高校生がお金について考える最も身近なイベントといえば、アルバイトです。アルバイト1つとっても、接客業から製造、工場などの作業まで、多種多様な職種があり、どの職種を選んでも、学ぶことは必ずあります。

例えば、時給の高いアルバイトを選んだとすると、時給の高さの裏には、労働のつらさや、環境の悪さ、人の集まりづらさといった原因があるかもしれません。そのカラクリを知ることで、世の中の仕組みを実感できるはずです。

親の考えを押し付けるだけでは、子どもは動かないもの。私も1人の親として、その難しさを痛感しています。

だからこそ、子どもが自主的に気付くような環境づくりをしていきたいですね。

----------

黒田 尚子(くろだ・なおこ)
ファイナンシャルプランナー
CFP1級FP技能士。日本総合研究所に勤務後、1998年にFPとして独立。著書は『50代からのお金のはなし』など多数。

----------

(ファイナンシャルプランナー 黒田 尚子)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください