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150人以上を招いた結婚式がシラけやすい理由

プレジデントオンライン / 2019年10月28日 15時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/FG Trade

イベントが成功するか失敗するかは、何人を集めるかによって大きく左右される。たとえば結婚式の場合は何人が最適なのか。プロフェショナルファシリテーターのプリヤ・パーカー氏は「あるホテルオーナーは150人だと言う。いわゆる『ダンバー数』と同じで、説得力がある」という——。

※本稿は、プリヤ・パーカー著・関美和訳『最高の集い方 記憶に残る体験をデザインする』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

■出席者が8人以下だと意見に多様性がなくなる

どんな集まりにも適正な規模がある。「こうすれば会が盛り上がる」といった方程式は存在しない。はっきりとした基準があるわけではない。とはいえ、人数によって参加者が集まりから得られるものは違ってくる。

プリヤ・パーカー著・関美和訳『最高の集い方 記憶に残る体験をデザインする』(プレジデント社)

さまざまな人と活発な会話を交わせるような会にしたければ、8人から12人がちょうどいい。8人より少ないと意見に多様性がなくなる。12人より多いと、全員が話すのは難しくなる。ほんの数人だからと余計に詰め込んでしまうと、関わりの質が変わってしまう。その会で何らかの決定を下さなくてはならない場合は、船頭は少ない方がいいだろう。最高裁のような決定機関が奇数人で構成されるのは、必ずどちらかに決定を下すためだ。

わたしの経験からすると、集まりの規模には、目安になるマジックナンバーがある。ファシリテーターによってこの目安は違うし、ここに書いたのはあくまで目安だが、わたしの場合は6人、12人から15人、30人、150人だ。

【6人のグループ】

このくらいの人数なら、親密な打ち明け話や膝を突き合わせた議論ができる。わたしの主催する「若手経営者の会」では、6人のグループでお互いの問題解決を助け合っている。とはいえ、6人では多様な視点が足りないし、一人ひとりの負担が重くなる。全員がかなり頑張らないと、集まりが盛り上がらない。教会ではよく、6人程度の小グループで毎週夕食を共にしたり、祈りや苦労や喜びを分かち合う。そうすることで、教会がより身近な場所になる。

【12人から15人のグループ】

次のマジックナンバーは12人だ。12人ならまだ親密な信頼関係がつくれる規模だし、かしこまった会でもカジュアルな会でも、一人のモデレーターがグループをまとめることができる(大人数のミーティングでは、頭数を12で割ってファシリテーターが何人必要かを判断することが多い)。また、この人数であれば多様な意見も出るし、新鮮味ともの珍しさも感じられる。サステインド・ダイアローグでは、1グループはいつも8人から12人だった。アーサー王の円卓の騎士は12人。イエス・キリストの使徒も12人だ。アメリカ大統領の閣僚の数は、省庁の新設に伴う15人と副大統領だ。

■12人を超えると、人間関係の問題が出はじめる

わたしの経験では、スタートアップでも頭数が12人を超えるあたりから、人間関係の問題が出はじめる。わたしはこれを「テーブル超え時点」と呼んでいる。一つのテーブルを囲めなくなるところまで組織が拡大する時点からだ。それまで予想もしなかった問題が起きるのがこのあたりだ。

以前、クライアントのテクノロジー企業でちょうどこの瞬間が訪れ、それまで仲良しだったグループのあいだに衝突や不信が起きるのを見た。社員が10人ちょっとだったときには、それぞれがそこら辺にある椅子に座ってテーブルを囲み、何でも話し合っていた。社員が20人になると、会議に参加できない人が出てきた。少人数の方が会議はまとめやすいが、一体感はなくなった。

【30人のグループ】

この規模になると、そのつもりはなくてもパーティーっぽい雰囲気になる。これより少ないとかなり親密な会になるが、30人を超えるあたりで、会の性質が変わる。ガヤガヤ感と活気が生まれ、何かが起きそうな雰囲気になる。一つのテーマを議論するには人数が多すぎるが、経験豊富なファシリテーターがいて会場の設定が適切なら、議論がうまく運ぶ。

■イベントを成功に導くための人数

【150人のグループ】

次の区切りは100人から200人だ。カンファレンスの主催者にちょうどいい人数はどのくらいかと聞くと、100人から150人と答える人が多い。正確な人数はそれぞれ違っていても、「このくらいなら参加者全体に親密さと信頼が行き渡るし、大観衆という感じはしない」。

「スパーク・カンファレンス」は、メディアのリーダーたちが主催する実験的な集会だ。当初は100人を招待したが、70人程度の方がより親密な集まりになることがわかってきた。参加者がアドリブで議題を決める「アンカンファレンス」という会合は、100人程度がちょうどいい。

■安定的に関係性を維持できるのは150人まで

知人のベルギー人のホテルオーナーは、結婚式の招待客は150人までがいいと言っていた。150人なら全員が一度にお互いを見渡せるので、ある種の一体感を持って動ける。人類学者によると、一種族の自然な人数もだいたいこのくらいらしい。150人の集団なら全員が顔を合わせることが可能で、集団としての意図と努力が生まれる。人類学者のロビン・ダンバーは、安定的に関係を維持できる友だちの数は150人だと言っている。これが、いわゆる「ダンバー数」だ。

もちろん、これより人数が増えても、小さなグループに分かれれば問題なく集まれる。参加者が150人を大きく超えると、「芋を洗う」がごとき会になる。野外音楽フェスティバル、ワールドカップ、タハリール広場、100万人の大行進、メッカへの巡礼、オリンピック。このような会では親密さやつながりは重要ではなく、莫大な数の群衆がエネルギーを発散して盛り上がることが目的になる。

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プリヤ・パーカー プロフェショナルファシリテーター/戦略アドバイザー
MITで組織デザイン、ハーバード大学ケネディスクールで公共政策、バージニア大学で政治・社会思想を学ぶ。15年以上、人種問題や紛争解決など複雑な対話のファシリテーションを行ってきた。著書『最高の集い方(The Art of Gathering)』は、2018年にアマゾン、フィナンシャルタイムズなどでベストビジネスブックオブザイヤーに選ばれた。世界経済フォーラムのグローバルアジェンダ委員会のメンバー。TEDメインステージのスピーカーでもあり、TEDxの動画の再生回数は100万回以上。ニューヨーク在住

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(プロフェショナルファシリテーター/戦略アドバイザー プリヤ・パーカー)

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