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ラグビーの起源は「生首の蹴り合い、殴り合い」

プレジデントオンライン / 2019年10月20日 11時15分

写真=iStock.com/boonchai wedmakawand

■ラグビーW杯の喫煙所は最高だ

今年もこの季節がやってきた。「飯島勲のスモーカーズ・コーナー」である。全部で5回にわたって皆様に様々なお話をしていきたい。

今回のワールドカップのラグビーを直接スタジアムへ観に行った人ならご存知だと思うが、各スタジアムには喫煙所が設置されている。

ところが、来年のオリンピックの各競技場には喫煙所が設置されないというから驚きだ。東京都は「吸わなければいいだけ」という立場なのだろうが、そうはいかない。確実に、たばこを吸う人はたくさんいるし、近隣住民がポイ捨てたばこに悩まされるだけだろう。

禁煙ファシストは、理想主義者で、現実を直視できない人たちだ。多数派を握って法律で禁止さえすれば、うまくいくと信じているのだろう。

今からでも遅くない。一定数の喫煙者は今後も存在し続けるという前提で、喫煙所を東京都内に設置してはどうだろうか。

■列島が歓喜した日本代表の大活躍

日本列島全体がラグビーに熱狂している。まさかそんな事態になるとは思ってもいなかった。これまでの人生でスポーツから逃げ続けてきた私、歩くことすら嫌いな私が、ラグビー観戦でこんなに感動するとは思ってもみなかった。

思い返せば、9月4日からウラジオストクで実施された「東方経済フォーラム全体会合」で、安倍晋三総理はロシアのプーチン大統領を前に、こうスピーチした。

「お集まりの皆様。日本では新しい天皇陛下が御即位になり、時代の呼び名が改まりました。新しい時代の幕開けを告げる大きなイベントが、今月20日に始まるラグビーのワールドカップです。なんとその第一戦こそは、日本対ロシアです。私は、もちろん日本の勝利を信じています。すみません、ウラジーミル。でも、ロシア選手の皆さんにも頑張ってもらいたいと思います。日本以外の相手であれば、全て勝っていただいて結構であります(笑)」

私もこの場にいたのだが、この話の瞬間、会場はドッと沸いたものだった。

ワールドカップ初戦の9月20日。私はご招待にあずかり、スタンドで観戦することができた。一番高い席で15万円もするようなゲームを間近で見ることができて、大変興奮した。

猛牛のごとく突進していく選手たち。人間と人間とがぶつかり合い、激しい攻防戦が繰り広げられる。

サッカーをかつて観たことがあったが、全然点が入らないし審判の見ていないところでズルをして転んだり、引っ張ったりして、あまり観ていて気持ちのいいものではなかった。

野球も好きな人が観れば面白いのだろうが、球技についてなんにも知らない私にとっては、ルールがわかりにくくて苦手だ。ホームランはわかるのだが、それが1試合に数本しか出ない。

その点、私にとってのラグビーは、相撲を観ているような楽しみがあった。ルールは、野球やサッカーより複雑じゃないかという人もいたが、細かいルールはあっても、とにかくボールを白い線まで運べばいいという点が単純明快に感じた。

どの球技も好きになれば、きっとそれぞれに面白いのだろうが、球技がまったくわからない私のような人は同じ感想を持つのではないか。

それにしてもスタジアムの熱気はすごかった。満員の観客の8割は、日本の赤と白のユニフォームを着て観戦をしていたし、試合中に起きたウエーブも地鳴りのように響いた。

写真=時事通信フォト
ラグビーとは戦争だ!/世界が驚いた日本代表の大活躍。飯島氏は「前回のイングランド・ラグビーワールドカップの決勝が初めてのラグビー観戦だった。決勝でルールを教えてもらっていたことを、『飯島さんは贅沢ですね』などと皮肉を言われたものだった」という。 - 写真=時事通信フォト

ラグビーのことが気になって少し調べてみたが、いろいろと興味深いことがわかった。1823年のイギリス、まだサッカーとラグビーという競技は存在せず、フットボール(蹴球)として各学校が独自のルールを設定して楽しんでいた。その中で、ラグビー市にあるパブリックスクールでは手で持って走ることが許されたのがラグビーの起源である。ラグビー校で、はじめて手を使ってボールを運んだのがウィリアム・ウェブ・エリスという名の少年とされ、ワールドカップの優勝チームに与えられる純銀の賜杯は「ウェブ・エリス・カップ」と名付けられている。

と、ここまではNHK「チコちゃんに叱られる!」などの番組でも紹介されたものだが、では、そもそもラグビーの起源であるフットボールの起源はどうなっているのであろうか。調べていくと、大きく2つの説があるようだ。

一つは、中国の神話上の黄帝が軍事訓練の一つとしてつくり出したというものだ。10世紀の北宋時代に2つのゴールを使う競技が行われていたというから驚きだ。

もう一つは、8~11世紀、戦争に勝ったイングランド人がデーン人の将軍の首を蹴り合っていたとされている。それが「モブフットボール」という祭りとなって広まった。これは、川を境に南北で2チームに分かれ、離れた2つの石臼をゴールとする。何百人もの男たちがもみ合いながら、サッカーボールより一回り大きい革製ボールを自陣ゴールに運ぶものだ。ルールはほとんどなく、噛み付くのも殴るのもOKで、いがみ合う同士が敵味方になって戦うものだから、人々が暴徒化して街を壊し、中世には禁止令が出たこともあったという。

■森喜朗元総理の人脈力のつけかた

日本のラグビーを語るうえで、なくてはならない存在が森喜朗元総理であろう。首相在任当時は、メディアからの猛烈なバッシングを受けた。その多くは根も葉もないデマ、今でいうフェイクニュースだった。

今回の日本大会の招致でも、決定的な役割を果たしたのが森元総理だった。パーティーやレセプションにも元総理が出席しようものなら、世界中の閣僚やスポーツ協会がひっきりなしにあいさつに訪れる。2時間以上にもなる会が終わるまで、森元総理の前にずっと行列ができているのは関係者にとって見慣れた光景だ。

自民党の文教族(教育とスポーツ分野の族議員)一本で、何十年間も政治活動を徹底的にやった努力の賜物であろう。文教分野に関する知見も人脈も日本どころか世界でもトップと言って過言ではない。

今の自民党の若手政治家は、特定の得意分野をつくろうとせず、オールラウンドに活動しようと考えてしまうが、完全に誤った考え方であろう。それぞれの分野で要求されるレベルが高いので、どこかに根を下ろさないと、知見も人脈も一切深まらない結果になってしまう。官僚もそんな人物を必死で支えようとはならないだろう。

森元総理は、小泉純一郎内閣のとき、官邸に対して非常に厳しい指摘や注文をドンドンしてきた。国を思い、郷土を愛する心は本物だ。それが森元総理と会った人物にも伝わっていき、それが信頼感につながっていったのだ。

今回のワールドカップ初戦でも、スタンドで森元総理の姿を見つけた関係者が森元総理に手を振ると、森元総理がそれに気づき手を振り返す。すると別のところからも手があがり、森元総理はそれに応えるというやりとりが延々と続いた。どれだけすごい数の人脈をもっているのかと、あの場にいた人間は全員思ったに違いない。

■道路は大混雑 東京五輪は大丈夫か

それにしても試合終了後の会場付近の混雑には参った。味の素スタジアムから自宅まで通常なら車で30~40分もすれば着くような距離だが、試合終了の21時に現地を出発して自宅へ着いたのが深夜1時前になってしまった。

それで心配になったのが来年の東京オリンピックだ。東京都が豊洲移転時期の無駄な引き延ばしを行ったものだから、東京五輪で使う環状2号線のトンネル開通が間に合わなくなってしまった。五輪期間中に、道路が混雑し、首都機能がマヒしてしまっては大変だ。

先が思いやられてならない。

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飯島 勲(いいじま・いさお)
内閣参与(特命担当)
1945年、長野県辰野町生まれ。小泉純一郎元総理首席秘書官。現在、内閣参与(特命担当)、松本歯科大学特命教授、ウガンダ共和国政府顧問、シエラレオネ共和国名誉総領事、コソボ共和国名誉総領事。

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(内閣参与(特命担当) 飯島 勲)

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